ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。同人・出版活動の報告を含みます。

Twitterでのつぶやきから:19世紀末のケータリング事業からメイド喫茶まで

日本の女中(メイド)関連資料一覧を公開した理由

[特集]近代日本の女中(メイド)事情に関する資料一覧と題して、私がこれまでに収集していた資料名のリストを公開しました。



ここ数年、英国に限らず、世界中のメイド事情の構造を調べています。英国レベルですべてを深めることはできませんが、自分が生まれた国でもあるので日本での事情を重点的にも調べてもいました。



その興味を持たせるきっかけの一つは、2010年の直木賞受賞作『小さいおうち』(2010/12/20)ですし、今年になってNHKで同時代ともいえる昭和を描いた『おひさま』を見たこともあり、NHK朝の連続ドラマ『おひさま』と女学生と女中奉公について(2011/04/13)と、アウトプットしました。



とはいえ、時間が限られることから、自分ですべてを行うことはできませんので、自分が収集した情報を公開することにしました。『女中イメージの文化史』を含めて多くを読み込みましたが、まだフィルタ越しに感じます。



自分が『英国メイドの世界』で描いたような、メイドや家事労働者の仕事・日常を軸とした、日本のメイド事情の本が読んでみたいです。他の方による研究や考察に繋がる何かが、いつかどこかで、私の活動に繋がっていけば嬉しいです。


メイド好きのルーツやメイド服を巡るTwitter上でのやり取りなど

この前、結構長めのやり取りがあって、自分としても新しい視点をいただけたのでまとめました。このところ、風邪気味で調子が悪く更新が諸々止まっていますが、病院で薬をもらってからだいぶ症状が改善しました。コミケの当落通知が06/03あたりなので、その結果次第でまたアウトプットが変わってくると思います。現在書きかけのものが多く、まとまったテキストはそのうちに。




制服軸での1990年代のメイドブーム考察を公開

2月から準備していたコラムを公開しました。3月上旬に公開しようと思っていたのですが、いろいろとあって、見直しも入れるなどして遅れていました。見直しは際限がないので、この辺で区切りをつけました。



[特集]第2期メイドブーム(1990年代)〜制服ブームから派生したメイド服リアル化・「コスプレ」喫茶成立まで



異常に長いのですが、1回目の[特集]第1期メイドブーム「日本のメイドさん」確立へ(1990年代)を読んだ方が良いと思うので、ご興味とお時間のある方にオススメしています。



基本的には1990年代初頭のアンナミラーズの出店ラッシュが1980年代からの制服ブーム(女子高生)と重なり、1993年前後ぐらいからファミレスへの眼差しが強化されていったのではないかと。



アンナミラーズ(並びに外食産業)の衰退とともにファミレス・カフェを軸とした制服ブーム自体は弱まっていったと思いますが、メイドはこのブームの波と相乗して勢いを得ていったように見えます。



この1990年代はメイド服を着たメイドは、「創作」か「コスプレ」の中にしかいない存在でした。そして「非実在」だったが故に、「外食産業における閉店」といった外部の経済環境の影響を受けずに済んだのではないかと。



最近、メイド喫茶2ちゃんねるまとめサイトで、パリにメイド喫茶が開店 フランス人客は当惑気味と取り上げられていましたが、フィリピンのメイド喫茶の事例を見る限りは「日本文化のコスプレ」として受け入れられています。



「制服」を軸とした視点で見ると、名前はメイドでも、「家事使用人的な色彩を帯びていない」のです。「日本文化のコスプレ」として同様に受け入れられるように伝われば、良いのではないかと思います。



その辺りの「差異」も、今回更新したテキストで見えると思います。



ところで、海外には忍者・侍カフェとかないんですかね?


制服軸での1990年代のメイドブーム可視化を試行中

1月は仮説『日本のメイドブームの可視化(第1〜5期)』と題して1990年代〜2000年代のメイドブームを5期に分類し、第1期メイドブーム「日本のメイドさん」確立へ(1990年代)を書きました。



現在はその続きの第2期として、1990年代の日本で生じた制服・コスチュームブームの中で描かれたメイドイメージのテキストを書いているところです。あくまでも主体はカフェ・レストランの制服にあり、その中の派生としてメイドが含まれた、というところを再確認している感じです。



そして、こちらのトレンドの方が、世の中で受け入れられているものであり、一般的で分かりやすいものなのではないかと。



その作業の派生物として、[特集]同人におけるメイドブームの可視化(1990年代〜2000年代前半)を更新しました。1990年代後半からメイドにまつわる創作表現、そしてコスプレが、こうした場で加速していったように思われます。



書いている途中の感想をTwitterで呟いていたので、再掲しておきます。





メイド服はすべての違いを包み込み、というのでしょうか。


2月の更新情報

1月に比較して、2月はあまり大きめの更新をできていません。テキストを書いているものの、まだ公開するレベルにないものが多数あります。とりあえず、過去のブログに書いた参考資料紹介を中心に、資料サイトの方に情報をまとめました。



最近の一覧です。



[小説/コミックス]半身
[小説/コミックス]荊の城
[参考資料]自転車に乗る漱石―百年前のロンドン
[参考資料]牧野義雄画集 霧のロンドン
[参考資料]階級にとりつかれた人びと
[参考資料]不機嫌なメアリー・ポピンズ
[参考資料]Avoid Being a Victorian Servant!
[参考資料]The National Trust Manual of Housekeeping: The Care of Collections in Historic Houses Open to the Public
[コラム]パクストンから再考するガーデナーの役割とコスト感覚
[小説/コミックス]Under the Rose(アンダー・ザ・ローズ)

メイド喫茶ブームの可視化を行う素晴らしいデータが公開される

TAKATORAさんがメイド喫茶などの店舗データを自ら収集し、可視化を行いました。これはメイドブームを巡る日本の考察をする人間にとって、最も欲しかったデータです。欲しくてもその労力を思うと、とても出来ませんでした。



秋葉原のメイド・コスプレ喫茶&リフレの店舗数推移 3年後まで生き残れる店舗はわずか3割?



感覚的に「ブーム」といっても、数字としてどうなのかというところで、私にはあまり明確にし切れていない部分もありました。過去にメイド喫茶についてテキストをまとめられた方々の業績を継承しつつ、最も変動が激しかった2005年以降のデータを収集したことは、大げさではなく、メイドブーム研究の歴史に残る業績です。メイドブームを論じるならば、この数字を見てからと、スタート地点を引き上げるものになるでしょう。



目に見えたブームは去ったかもしれませんが、総店舗数は増加しているというのは、「衰退」ではなく「定着」なのかと考えさせる事象です。ただ、指摘されるように閉店数も増加しており、数字の変化はこれからかもしれません。



今の日本でメイドは目立つ存在になっていますし、語られる・伝えられる機会も増えています。だからこそ、好きな人・詳しい人がより情報を出して、言説の精度を上げていくところ(少なくとも事実情報に基づいて話されるレベルに)は必要かもしれないと、私は思います。私自身、詳しい領域とそうでない領域があるのでこの言葉は諸刃の剣ですが、メイド喫茶を愛好される方によるこのデータ化は、多様な可能性を持ちます。



たとえば、ここに7丁目のキセキ様にて公開されている(ページ下部)、「2010年版秋葉原メイド系飲食店ポジショニングマップ」の店舗の属性情報を掛け合わせると、「世の中でメディアが取り上げるメイド喫茶」がすべてではなく、「そうではないメイド喫茶」の比率が明確に示せるでしょうし、時系列や位置情報を重ねれば、また面白い絵が見えるでしょう。



ちょうど1か月前にメイド喫茶データベース構想でまとめられているTwitterでのやり取りに参加していたので、TAKATORAさんのデータ収集アクションを知っていましたが、それから1か月でこれだけのアウトプットをされた情熱に敬意を表します。上記のように活用方法を考えてしまうぐらいに、刺激的なデータです。



データに基づき、皆が同じ視点に立って議論をしていく上で、非常にありがたいものです。私はメイド喫茶界隈に詳しくありませんが、このデータの助けを得て、コンテンツベースでのブームの考察とクロスさせ、よりブームの可視化を行えそうです。



また、「形に見える」ことで、抜け漏れの指摘による精度向上や、話が広がるきっかけになると思います。Twitterやはてぶを見ていると既にそういう動きが見えています。私も過去にメイドブームの主観レベルの考察を行い、その後、自分での情報収集と様々なご指摘を頂いたことで、ある程度、情報をまとめることができました。



Cure Maid Cafe秋葉原に誕生したのが2001年ですから、秋葉原メイド喫茶誕生から10年が経ちます。今を振り返る意味でも、これから先がどうなるかを知る意味でも、非常に貴重なアクションです。



ではなぜ、このトレンドになっているのかという考察は別途出てきますが(2003年『ガイアの夜明け』にメイリッシュ、2004年メディア露出やアキバブーム、2005年ドラマ『電車男』や『エマ』アニメ化など)、その辺りはいろいろな方が事実情報を出して補っていければ、より見えてくるはずです。メディア露出との相関関係が高いと思うので、私の方でもメディアの目立つ動きをまとめたものをそのうち公開するつもりです。



何はともあれ、素晴らしいアクションです。形にすると学ぶ機会が増え、調査や修正で作業が広がっていくところもありますが、とても刺激的でした。