ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

短編「すべて、始めから」のように

「すべて、始めから」は、キャリア志向があって、メイドという仕事の中で上を目指したい、その機会を得るために馴染み深いカントリーハウスを捨て、新しい世界へ漕ぎ出すメイドの短編でした。去られる側の視点も入れましたが、基本的に、久我個人の思いや、「会社を出て外で自分を試す」「機会を外に求める」というような、体験が反映されています。どちらかというと、「もといた環境を巣立つ」視点が強く出ています。



ところが、事実は小説より奇なり、あの小説を書いた後、いろいろとあって、久我は残される側、小説としてメインで描かなかった立場になりました。そして図らずも、最後の砦になりました。辞めて欲しくは無い、けれど、それは相手にとっての可能性を潰すこと、自分が大変になるからと言う理由では、止められません。



残されたものは取り残された気持ちになりますが、それでも踏みとどまって、新しい仲間に出会う為に、頑張っていくのでしょう。会社という場所は本当に様々な機会と出会いを与えてくれるのだと、思いました。そして久我は、自分と同じように、働く会社員の方に、同人誌を、百年前のメイドという「先輩」の姿を、捧げていきたいと思います。



それが多分、森薫先生とも、他のメイドさんを描く人との、根本的な違いになるのでしょう。



だいぶ気持ちも落ち着いてきたので、また何か描こうと思います。ただ、もう面倒なので、帝國メイド倶楽部は出ません。コミケか、いいものが作れたらコミティア、ですね。本当、お金では買えない、いい経験させてもらっています。辛いですけど、耐えられないほどでもなく、押し潰されるほどでもなく。