ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。同人・出版活動の報告を含みます。

『The Victorian Kitchen』を見る・1

ようやく、待望のDVDが手元に届きました。メイドさん関連の資料本としては最高のひとつ、和書『英国ヴィクトリア朝のキッチン』の元になったBBCの番組、『The Victorian Kitchen』です。



過去に書いた日記で、DVDを入手する経緯を書きましたので、初見の方は、そちらを先にどうぞ。



2006-08-27 『英国ヴィクトリア朝のキッチン』DVD化


あらすじ

まず英語字幕つきなので、ヒアリングが苦手な久我でも、なんとなく意味はわかります。DVDは2枚組で、1枚目の内容は、四部に分かれています。



Introduction

Breakfast

Luncheon

Afternoon Tea



内容はそれぞれの時間帯の料理を追いかける形になりそうです。最初に見たIntoroductionは、前作の『The Victorian Kitchen Garden』の続きとなっていました。前作の菜園で育てた野菜を、ヘッド・ガーデナーのハリー・ドドソン氏が収穫し、キッチンに届ける。



しかし、キッチンも無い、コックもメイドもいない、と言うところから始まります。和書の中ではちょっとしか扱いがありませんでしたが、番組プロデューサーが、元コック/ハウスキーパーのルースを伴い、見つけ出した邸宅のキッチンを尋ねます。



ルースは1920年ぐらい、14歳からメイドとして働き始めます。両親が働いていた領地の屋敷に勤め、そこからFrilsham Houseで3年、Lavington House(Sussex)、Elveden Hall、そして戦後はBasildon Parkで働き、この番組の出来る(1986年?)3年前まで、コック/ハウスキーパーとして働いていました。



ルースは過去の経験を元に、初めて訪問するキッチンの中にある様々なものを言い当てます。



『EAGLEのレンジ』

『苺の形のアイスクリーム型』(Bomb)

『ここはLarder』(肉類を保管する場所)



荒廃したキッチンには改修が入り、レンジもぴかぴかに磨き上げられ、ヴィクトリア朝のキッチンが再現される次第です。ちょっと面白かったのは、「オーブンの下の方の空間に足を入れる」シーンです。火傷しないようにですが、なんでも、冷えた爪先を暖めるためだとか……



傍らには、メイド役のアリソンがいます。



ぴかぴかに磨かれた銅の調理器具を使い、肉のスープ(ストック)を作ったり、コンソメスープを作ったり、タミーで漉したりと、ベテランと初心者はまずまずの呼吸で、止まっていたキッチンの時間を動かしていきます。



「数時間かけた料理は、数分で消費される」との言葉を残して、番組は次回へ。


和書との相違

和書は書籍の特性を活用し、メイドの話や野菜、衛生観念など、適切にカテゴライズされています。映像では時間軸を優先し、様々なテーマが並行して動いていますので、資料的な価値で言えば、参考資料による補足も非常に多い書籍が上です。



しかし、何よりも「キッチンを動き、当時のコックとキッチンメイドの間であったであろう会話をしながら、動いている」人たちを、料理している光景を見られるのは、貴重です。



映画ではほとんど表に登場しないキッチン。観光で訪れる屋敷も、レンジの火は消えて、往時の光景を想起するのは、そこそこ大変です。『MANOR HOUSE』では本物の屋敷で、料理するメイドが出ていましたが、あくまでも主役はシェフでした。しかも本物のフランス料理のシェフです。



しかし、今回登場しているのは元コック/ハウスキーパーのルース。彼女が昔話を、相方のアリソンに語っていく、それも仕事をしながら、と言う展開は、わかりやすく、面白いです。ただ、彼女たちは現代の服装をしています。メイド服ではないです。



ということで、これから朝食の話を見ます。



The Victorian KitchenAMAZON.CO.UK