ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

牧野義雄で何かありましたか?

なんか久々にカウンタを見たら、この1〜2時間で流入が250ぐらいありました。何か大きなサイトで取り上げられたと思ったら、流入キーワードは「牧野義雄」です。テレビで放送でもされたんでしょうか。瞬間風速はもう消えましたが……火曜日なので『なんでも鑑定団』?



よくわからないままですが、一応、牧野義雄のことを扱った日記をご紹介します。



日本で最初に?英国メイドさんを描いた明治時代の画家



面白かったのは牧野義雄の自伝『霧のロンドン』です。日本人の見たヴィクトリア朝社会が詳細に描かれています。最初の頃に下宿した家庭では、そこの大家の娘たち(姉妹:エルシーとウィニー)と仲良くなって、いろいろと動物園や公園に見物に出かけたり、というエピソードがあります。



道路が怖かったというふたりは、牧野義雄に抱えられて道路を渡ったとか。日本人と、イギリス人の姉妹、という絵柄がなんとも不思議な感じですね。



さらに後日談もあります。親切だった家主は亡くなり、奥さんも後追うように逝去し、娘たちは親戚に引き取られて、寄宿舎に入り、牧野義雄との接点は消えたかに見えました。しかし、一九〇七年に牧野義雄が画集『Color of London』を出版すると、手紙が来たのです。




私は、さっそく返事を書き、絵本でも送ろうかとたずねた。ウィニーからの返事はこうだった。
『親愛なるマキノさん、お手紙をいただけてとても喜んでいます。でも、あなたはまだ私が子供用のエプロンをかけた小さな女の子だと思ってらっしゃいません? いいですか、私はいま一七歳です。背もあなたより二、三インチ高いのではないかしら?』

『霧のロンドン』日本人画家滞英記 牧野義雄著/ロンドン漱石記念館長恒松郁生訳

とまぁ、こんなエピソードがあったり、事実は小説よりも奇なりというのか、興味深い話が盛りだくさんです。機会があれば、ぜひ図書館などで。



(→2006/10/24 23:30追記 当たっていました。番組ページで見ると、牧野義雄の絵が出てきて、2000万円!の値がついたとのこと)