ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

絶版同人誌の整理と再構成

その時点で作れる物を作っていたので、全体にバランスが悪い箇所も残っています。使用人の時代の終わりを扱う前に、これまでに自分が書いてきた情報を見直し、整理し、すっきりしてから次へ向かおうと思います。



4年前に書いた外伝2巻の屋敷の歴史の変遷などは、よく頑張ったなぁと。自分がこだわり、他に類を見ずに突き抜けてきたのは、屋敷と使用人をセットで考え続けたことだと思います。当初は貴族+屋敷視点で、屋敷+使用人へ移行し、やがては使用人単体になりましたが、職業としての成立を考えると、屋敷と貴族は切り離せませんと、結局一周して戻ってきたのが、なんとも面白いです。



総集編では使用人の歴史と題して冒頭にある程度整理した情報を並べましたが、正直、どこかで見たことがある情報にならざるをえず(資料が少ないので、『エマ ヴィクトリアンガイド』や『図解メイド』の元ネタ、『ヴィクトリアン・サーヴァント』に帰結する)、書いていてあまり楽しくなかったのですが、今日、あらためて外伝2巻を読み直すと、この視点を入れれば完成度が高められたのかと、気づきました。



いまだに研究を続けていますが、この前のAMAZON熱で注文した資料がほぼ集まりました。アメリカに頼むよりも、航空便で送ってくれる英国は配達が早くて素晴らしいです。執事の手記、雇用者の手記、二度の大戦の間の貴族・使用人の手記集ときて、最後に届いたのはメイドの手記集です。



探せば幾らでもあるもので、これで「メイドが書いた手記」自体は4冊目です。キッチンメイド×2、侍女、そしてハウスメイド。しかも、最近入手した手記の筆者は、以前読んだ別の資料本と同じく、「ドラマで広がった、誤った使用人への見方」に対して、「こういう世界だった」と伝える為に書いたと、冒頭で述べています。



久我の同人活動もある意味、日本でそれほど伝わっていない「メイドの原型」を英国ヴィクトリア朝に求め、それをこのような形で表現しているので似ていますが(それはアメリカ人が誤解するという?忍者・侍の正しい姿を、別のアメリカ人が勉強して、その実態を伝えようとしている構図に似ているかもしれません)、英国本国においても社会現象と化したドラマの影響は大きかったのでしょう。