ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『Of Carriages and Kings』

読み終わりました。主人になったポートランド公爵が『主馬頭』(Master of the Horse:『19世紀のロンドンはどんな匂いがしたのだろうか』の資料では、上から22番目の地位。しかし公爵が7番目なので、そちらの方が優先?)になり、その彼の供回りとしてFootmanが必要になった、というのがGorstの立場でした。主人と一緒にバッキンガム宮殿やウィンザーの晩餐会に出られた、輝かしい経歴のFootmanですが、やはりいい職場に勤めるには「運」「同業の口利き・情報網」が必要なのだと、思いました。



エピソードはいろいろあるんですが……主人公が使用人職を辞して、何か新しい人生に進むのが記されている終わりの2ページ(1枚)が、裂けていました。そのページ以外は読んでしまったし、古本でもあり、送料も馬鹿らしいので、謎のままにしておきます。どこか捜せば、結末も出ているでしょう。



ネタの多くはこの先、同人誌に使っていきます。『THE RISE AND FALL OFE THE VICTORIAN SERVANT』の男性使用人の章には、この本に由来するエピソードが様々に出ていました。これを考えると、やはりハナ・カルウィックの本も入手しないといけません。



資料として入手した『使用人の実践的ガイド』も、『英国ヴィクトリア朝のキッチン』に限らず、『THE RISE AND FALL OFE THE VICTORIAN SERVANT』にも頻出です。如何に、「良書の中で紹介されているエピソードの元ネタである当時の資料」を見つけられるか。重要です。



男性使用人は数が多いので、小説部分を限って書くつもりですが、解説部分は今からやってしまおうかなという感じですね。ランドリーメイドが65%を占めるPamela Sambrook女史の『THE COUNTRY HOUSE SERVANT』も、15%ぐらいはFootmanの話だったのですが、多分、今読み直すと、『Of Carriages and Kings』の話が多いような気がします。