ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

その5 バースへ

■行きたいところをすり合わせる

そんなこんなで調べ物をしつつ、友人たちが作った旅行計画との調整に入ります。ひとまず大英博物館、ヴィクトリア&アルバート博物館、自然史博物館の基本を押さえつつ、アスコット競馬場、コートルード美術館、ハロッズ、カムデンロック、というところで方向性は固まりました。



ここでネックとなるのは、カントリーハウス散策を断念したのと同じ問題、「いつ着いて、他に何が出来るのか?」です。たとえば初日、ヒースロー空港に着く時間は午後三時、ロンドンに入れるのは夕方以降なので、何も出来ません。これは結局、ヴィクトリア&アルバート博物館が午後十時まで開館していたので、観光はできましたが、時間を無駄にしないようなスケジュールを重視しました。



また、アスコットに向かうと、その日は他に大きな動きは出来ません。最初に希望した「ブレナム宮殿」もオックスフォードの方にあり、鉄道で一時間半ぐらい、その日は他に何も出来なくなります。これにロンドン観光を加えると、あっという間に時間は尽きてしまいます。



「ブレナム宮殿はそこまでしていく価値があるのか」と不安でした。そもそも情報が少なく、駅からバスで行くことも、失敗したら時間を無駄にします。オックスフォードの散策も、どの程度出来るのか、強いてみたいものなのか、一緒に行く友人が楽しめるのか、そこまで考えてみると、再検討の余地がありました。



■『週刊世界遺産』に感謝

「ブレナム宮殿」の資料として持っていた『週刊世界遺産』をぺらぺらとめくっていると、バースが目に入りました。バースにはローマ風呂やジェーン・オースティンの記念館、衣装博物館もあり、街並みも非常に綺麗です。



鉄道でも一時間半ぐらい、駅からすぐバースの街なので迷う心配もありません。ショッピングする店も多く、ひとつの観光地としては完結しています。つまり、一度、そこに行ってしまえば、一日はいろいろと楽しめるのです。



こうして、「ブレナム宮殿」の話を消し、バースに行くことにしました。そしてそれは、この旅行で最も大きな成功となりました。バースは観光ガイドにも出ていますので、それなりに情報もありました。



・ローマン・バース博物館    :09:00-18:00:8.5£

・パンプルーム         :12:00-14:30:茶?昼食?

・ロイヤルクレッセント1番地  :10:30-17:30:4.0£

・コスチューム博物館      :10:00-17:00:5.5£

・バース建築博物館       :10:30-17:30:4.0£

ジェーン・オースティンセンター:10:30-17:30:4.45£

・ホルバーン博物館       :14:30-17:30:4.0£



全部は無理でしょうが、これだけあれば一日、楽しめそうです。



■最終日程

1日目:遅く着く。ヴィクトリア&アルバート博物館

2日目:ロンドン観光+バッキンガム宮殿+大英博物館

3日目:バースで1日

4日目:アスコット競馬場+コートルード美術館+ハロッズ

5日目:大英博物館+カムデンロック+自然史博物館



こんな感じのスケジュールで、決まりました。カントリーハウスに行くのは、無理でした。カントリーハウスはロンドン近郊とはいえ、往復と見学で3時間以上、使うことになります。さらに周囲には他の観光地が無いので、往復の費用対効果が非常に悪いです。



当初はひとりでも別行動で行きたいと思っていましたが、初めての旅行であり、自分だけの旅行ではないですし、そこまでこだわることも無い、「友人と行く旅行が楽しいんだ」と。



そんなこんなで日程が決まりました。これを決めるまでに使った時間は非常に長く、友人との会合も何度かに及びましたが、自分たちで作り上げた観光計画であるだけに、とても楽しみな予感でいっぱいでした。



使用した参考文献

■ガイドブック(和書)

1:るるぶロンドン

るるぶロンドン (るるぶ情報版 (B13))



主に食事・ショッピング関連の情報収集に使用。ロンドン市内のバス関連情報が一番ありました。



2:NATIONAL GEOGRAPHIC『イギリス』

最も堅いテイストの参考文献で、イギリス中を手広く扱っています。最初に買った本ですが、堅すぎて、初めての海外旅行に向いていないかもしれません。



3:ワールドガイド街物語イギリス

街物語 イギリス ワールドガイド



美術館の絵画情報やロンドン散策の細かい話など、エピソードが多く出ていて、単純に本として面白かったです。ロンドン中心なので他の都市に行くならば、注意が必要ですが、それなりに幅広く扱ってくれています。



4:ブルーガイドわがまま歩き:イギリス

イギリス (ブルーガイドわがまま歩き)



海外旅行というイベントそのものを網羅的に扱い、観光以外の「入国審査」「気候」「治安」などの情報が出ています。友人は「ロンドン」のを買っていたので、「イギリス」のを買いました。この冊子に載っているロンドン地図は重宝しました。



5:旅する会話術2:ロンドン&イギリス

旅する会話術〈2〉ロンドン&イギリス (地球の歩き方)



英会話は「なんとかなるだろう」ぐらいに思っていましたし、事実、なんとかなったのですが、役立ちそうなフレーズ、場面設定ごとのキーワードが出ている、こうした本を一冊買いました。どれを買っても一緒だとは思いますが、ロンドンとイギリス限定だったので……



■ガイドブック(英書)

1:Hudson's Historic Houses & Gardens 2004: Castles and Heritage Sites

Hudson's Historic Houses & Gardens 2005: Castles and Heritage Sites : the year of the sea (Hudsons Historic Houses and Gardens)



画像は2005年版です。ロンドン観光をされた方から紹介していただいた本です。ロンドンに限らず、イギリスのカントリーハウスや美術館の最新情報、「開園時間帯・入場料」などが全カラーで掲載されていて、二千円程度という非常にお得な本です。



分厚く、重たいので、ロンドンに持って行きませんでしたが、屋敷の名前と外観を一致させるのに使ったり、「こんな観光地があるんだ」という発見にも使えます。



日本の観光ガイドに出ていない観光地に赴く場合には必携です。