ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

コミックス『アンダーザローズ』

Under the Rose (2) 春の賛歌
『エマ』ヴィクトリア朝のメイドと上流階級の子弟を主役としましたが、こちらは広壮な邸宅カントリーハウスを舞台とした、貴族と愛人、その子供たちの愛憎渦巻く世界を描いた力作です。



公爵令嬢を母に持つ少年ライナス。彼女の母は伯爵家の女家庭教師となり、また愛人とも噂されていましたが、その邸宅で自殺しました。伯爵家に引き取られたライナスは、自分自身と周囲とを傷つけながら、母の死の真相を探ろうとして必死に動き回ります。



死の真相と、それに血縁にまつわる不可思議な雰囲気、君臨する貴族の子弟たち、そして彼らに仕え、屋敷で働く使用人たちの姿は丁寧に描かれています。話の筋立てと人物描写に引きこまれる作品です。



これもヴィクトリア朝を舞台としなければ成立しない作品なのではないでしょうか?



2巻ではガヴァネス(女家庭教師)の女性が主人公となり、物語の幅が広がりました。2巻に登場するメイドの子がオススメです。