隠しネタ、多分本邦初です。
音楽にはそれほど詳しくありませんが、イギリスの有名な音楽家の一人といえば、ヘンデルがいます。ヘンデルその人は1759年に逝去しており、ヴィクトリア朝には関係ありませんが、彼が作曲した『メサイア』に、メイドさんにまつわるエピソードがあったのです。
18世紀のロンドンでは、年間1000人以上の赤子が捨て子となっていました。『Foundling Hospital』はそうした孤児を引き取り、教育を受けさせました。
育った子供のうち何人かはメイドとして勤めに出ましたが、この施設の運営費として、ヘンデルは『メサイア』の収益金の一部を寄附していたのです。「メイドさんを育てた音楽」と言えるかもしれません。
ヘンデル以外では、主唱者のトーマス・コーラム、それに様々な絵画で名高いウィリアム・ホガースが協力していました。
尚、この情報はイギリスに旅行した際、ホテルに置いてあった『The Foundling Museum』のパンフレットに基づいています。帽子にエプロン姿の少女たちの白黒写真が気になって手にしました。
また、もし万が一、『メサイア』作曲の瞬間についてのエピソードをお読みになりたい方がいましたら、シュテファン・ツヴァイク『人類の星の時間』(ASIN:4622050064)をご覧下さい。ドストエフスキーやトルストイが好きな人にもオススメできる短編が入っていて、とても素晴らしい本です。