ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

7 イギリス行き1日目

長々となりましたし、既に旅行終了から七ヶ月以上を過ぎていますが、イギリス旅行記を再開します。前回までは日本での準備でしたが、あとは実際に行ってから経験したことなどを中心に書きます。旅慣れた人や語学に堪能な人では遭遇し得ないような事態にも、いろいろと直面しました。



書き溜めてはいるので、その分を1週間間隔で続けていきます。『エマ』アニメ版の解説更新は、週の半ばぐらいにします。



飛行機



成田からヴァージンアトランティック航空の飛行機で、出発しました。30分ぐらい出発が遅延していましたが、帰りもそうだったので、あまり気にしてもしょうがないのかもしれません。直行便とはいえ機中にいる時間は13時間ぐらいと非常に長いです。



ヴァージンアトランティックはエコノミーの席でも目の前に個人向けの映像端末があり、好きな映画や音楽を視聴できます。以前、イギリスに留学していた会社の人に、絶賛されていましたが、その通りでした。



とりあえず最初は映像を見ていましたが、さすがに時間が長過ぎ、途中で飽きてきます。眠ろうとしても眠りきれず、仕方が無いので、目をつぶって身体だけを休めていました。



いざ、ロンドン!

ヒースロー空港に近づき、着陸しようかと言うときに、機体が大きく傾きました。ヒヤッとするようなバランスの危うさでしたが、なんとか無事に飛行機は着陸し、空港に着きました。



空港の中は広く、特にヴァージンアトランティックの降り立った場所は遠いところにあり(2004年当時は第三ターミナル)、かなり歩くことになりました。体力の自身の無い人には、かなり厳しい道のりです。動く歩道があったか記憶に無いのですが、地図には出ているので、あったのでしょう。



入国管理官からの質問は英語でしたが、「何日滞在するの?」という最初の質問が聞こえているのに、答えられないと言う舞い上がりっぷり。自分のことながら、想定していた英会話でさえこの対応、先が思いやられました。



ヒースロー・エクスプレス



地下鉄で行くか、ヒースロー・エクスプレスで行くか迷っていましたが、パディントンまでわずか15分と言う点で、値段の13ポンドには目をつぶりました。これがイギリスで最初に使ったお金でした。



地下へ潜るエレベーターに乗り、いよいよイギリスに来たという実感がわいてきます。電車の何両かは乗れないところがあるみたいなので、そこを避けて、無事に乗り込みました。



動き出した電車の中から見える石造りの街並みは、とにかくもう感動でした。目に映るものすべてが新鮮に見え、ずっと窓に釘付けでした。一緒に行った友人たちも、デジカメで写真を撮りまくっていました。



パティントンからホルボーンまで


電車は無事にPaddington駅まで辿り着きました。本格的、と言うよりもイメージそのままのイギリスの駅だったので、思わず、写真撮影を始めてしまうのが、観光客らしいでしょうか。オリエント急行らしき車体も止まっており、なかなか立派な感じの駅でした。



駅を降りてから、向かう先はHolbornです。地下鉄のCircle線に乗り、Notting Hill GateでCenterに乗り換えます。このCircle線のPaddington駅は昔ながらなのか、レンガ造りの壁が残っているような感じで、丸の内線の四ッ谷駅同様、地下ではありますが、一応、空が見えます。何十年も前からのままなのだろうなぁと、思いつつも、階段ばかりで、大きなトランクを抱える身には辛かったです……



チケットは、この後に行動することを踏まえ、「1&2ゾーン」の1日乗車券を買いました。というよりも、1日乗車券を使わないと、地下鉄は非常に割高な感じがします……



ホテル


Holbornを降りてから向かったのは、大英博物館に程近い、ボニントンホテルです。いわゆるビジネスホテル、という感じでしょうか。高級ホテルではありませんが、歴史があるらしく、結構カッコいい面構えです。



ここではチェックインの時にいろいろと事件がありましたが、クレームやこちらの怒りを伝える、表現するのは難しく、ホテルの受付の人に適切にこちらの意思を伝えられたか、反省するところがあります。



日本だと向こうにミスがあれば、すぐに謝罪と適切な対応が期待できますが、受付の人は謝りもしませんでした。きちんと言わないと伝わらない、当たり前のことを当たり前に求める、それを出来るようになるのに、語学は重要だと痛感しました。



ホテルの部屋そのものは綺麗でしたし、お湯もきちんと出ました。なので、最初の受付以外、特にひどい目に遭いませんでした。HISのオススメホテルとのことで、立地条件のよさを含めて、次回も使っていいかな、と思っています。



ここがハロッズ



着いた日は、たまたまヴィクトリア&アルバート博物館が午後十時まで開館しているとのことでした。夕方過ぎにロンドンに着き、ホテルに入ったのは五時過ぎ。まともな観光は出来ないはずでしたが、この情報を元に、移動を開始しました。



荷物を置いてから、再びHolborn駅に向かいます。今度はPiccadilly線に乗り、ハロッズを見物しようと、KnightsBridgeで降りました。残念ながらハロッズは閉まっていましたが、ひとまず外見だけでも眺めて、それから、太いBrompton Roadに沿って歩き、ヴィクトリア&アルバート博物館へ向かいました。



さすがにこの時間になると暗いです。



ヴィクトリア&アルバート博物館



入場したのは、だいたい午後7時半ぐらいでしょうか。外観を写真に撮ろうとしたものの、ぶれまくって、ひどい出来でした。



中に入るとまず目に付いたのは、「え? ワイン?」。なんと、博物館の中央ホールは即席と言うのか、カフェ仕様になっており、中で食事をしたり、ワインを飲んでいたりするのです。



特に見たいものがあったわけではなかったので、最初に入ったのは「ショップ」です。ここでガイドブックを買い(3.95ポンド)、お土産や博物館刊行の様々な資料本を漁りながら、いざ見学に向かいます。



ところが、地図が本当にわかりにくく、適当に歩くしかありませんでした。前もって調べておくのが、吉だったのでしょう。今思うと、有名なウィリアム・モリス関連の部屋を見学できたのか、記憶にありません。



時間帯が遅いので上の階には上がれないみたいでしたので、ひとまず1階を適当に歩き回り、ルネッサンス期の宗教的な美術品を数多く見るのですが、正直、怖いです。笑ってしまうほど、怖いです。人気がなく、静かで、薄暗く、何かでそうな雰囲気の中、宗教画を見るのは、あまり気持ちが乗りません。



それから地下っぽいところに進みました。こちらはヨーロッパの近世の装飾やロココっぽい調度品、それに工芸品などが飾られており、続けて銀器や、珍しいところではミュシャの複製っぽい看板がありました。



その後、見学可能な二階の一部を見て回りました。ここではクリスタル・パレスの模型やロバート・アダムの装飾のコピーや、華やかな食器類、シャーロック・ホームズのコスプレセット、鉄製の鍵や様々な道具を眺めました。博物館収蔵の食器類の本が欲しいなぁと思いましたが、結局、買えませんでした。



あまり記憶に残っていないので、どちらかというと、その雰囲気に酔ってしまったかもしれません。種類が多すぎて、何がなんだかわからない、というところでしょうか。今、帰国してからガイドブックを見直しても、見たことがないものばかりです。収蔵品が多いとはいえ、きちんと楽しむには、事前調査が重要かと思いました。



だいたい、これで一日目は終了しました。



時間

08:35 成田到着

09:00 荷物検査(超混雑)

09:30 受付終了

10:00 出国手続き

11:30 出発(30分遅れ)



15:30 現地到着+いろいろ

16:20 ヒースローエクスプレス乗車(13ポンド)

16:35 パディントン駅到着

18:00 ホテルでようやく寛ぐ

19:30 ハロッズを眺める

20:00 ヴィクトリア&アルバート博物館到着

21:40 博物館を出る。

22:30 ホテルに戻る。



こうして考えると、ヴィクトリア朝の匂いが残る風景ばかりに目を奪われていますね。