ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

その1:計画〜どこに行きたい?

背景

友人たちと今年もどこか海外に行こうと話していましたが、都合がつかず、国内で一生懸命探したのですが、素晴らしいところはいっぱいあっても、心の底から行きたい場所がありませんでした。今行きたいところは、イギリスしかないのです。


ロンドン

次にイギリスに行く時は、カントリーハウス(それもロンドンを遠く離れたところ)に行くと決めていましたが、滞在期間が長く確保できなかったので、今回は前回の旅行で行けなかったところ、ロンドン中心にしました。



イギリスでの鉄道旅行、というか、カントリーハウスを本格的に訪れるには、ロンドンを拠点にすると不便すぎました。それぐらい不便なところにある=広大な領地に囲まれている、となるのですが。



ちょうどそのタイミングで、百年前の英国に滞在した画家・牧野義雄を知りました。彼の本を読んだのも何かの縁だと思いつつ、その描いた光景を幾つか、現地で見たいと思いました。好きな作家・司馬遼太郎さんの作品『坂の上の雲』で描かれた日露戦争、去年は開戦百周年、今年は終結の百年後で、一世紀前にロンドンに滞在した日本人の気持ちを少しでも感じたいと。



ちょうど今回はひとり旅、日本人としてロンドンを見る、百年前の人と同じ視点ではないものの、彼らと同じような感覚で見れたら、と思いました。



また、最近書こうとした小説では、百年前のロンドンではなく、現代のロンドンで、少し都市から離れた住宅街(『ハリー・ポッター』のハリーの叔父さんの家ほど新しくは無いですが)を舞台にしようと思っており、その辺りで石造りの住宅街を歩きたいと、考えました。



これだけ「行きたい」と強く思い描けてしまった以上、行くしかありません。前回同様、航空機とホテルだけ手配しました。(現地でのB&Bも考えましたが、英語スキルが低く、起こりえるトラブルを楽しむ時間・余裕が無いので、普通に)。



そして次回は、絶対にカントリーハウスに「泊まって」来ます。ただのんびりするだけの時間を、階段の上と下を体感するために。


テーマ

その1:ロバート・アダムの旅

ロンドンから片道1時間以内で訪問できる、大好きな(唯一の)十八世紀の建築家ロバート・アダムが関わった屋敷を訪問する。その目標は、前回の旅行では果たせませんでした。前回の準備を掘り起こして、準備は万端のはずでしたが、それが裏目に出て、泣きそうな事件がありました……



 ■1:Kenwood House

 ■2:Apsley House

 ■3:Osterlery Park


その2:英国美術に触れる〜テート・ブリテン

 ■1:ジョン・エヴァレット・ミレイのオフィーリアが見たい。

 『ヴィクトリア朝万華鏡』に掲載されていた、オフィーリアの描写が鮮烈で忘れられず、実物を見たいと思っていました。また、個人的にですがミレイの描く女性像は好みな感じなので、この絵画のある「テート・ブリテン」(ミルバンク)は外せませんでした。



 ■2:イギリス画家の作品を中心にする。

 コートルード美術館やナショナル・ギャラリーはヨーロッパの他の国の絵画も多くありますが、今回はイギリス絵画を見たかったので、「テート・ブリテン」だけで十分かなと思いました。



 ■3:ついでにミルバンク

 サラ・ウォーターズ『半身』の舞台となった、当時のミルバンク刑務所のあった界隈も歩いてみたかったので、「テート・ブリテン」は最適でした。さらに、牧野義雄が描いたヴォクソール橋も行く途中にあるようなので、いいこと尽くめに思えました。


その3:英国海軍・グリニッジ

 ■1:旧英国海軍大学

 ■2:国立海洋博物館

 ■3:カティ・サーク号

 ■4:旧王立天文台

 ■5:クィーンズハウス



同人誌で登場させている公爵家は、海軍と深い関わりを持つ設定で、領地のひとつは広大な港町をイメージしていました(パーラーメイドが登場した方の屋敷のある港湾都市)。久我の好きな風景としてあるのは、本来的には「宮崎駿」作品『天空の城ラピュタ』『紅の豚』『魔女の宅急便』ですが、そうしたイメージと海軍大学のある都市をうまくブレンドできればと、グリニッジを選びました。



前回赴いたバースに続き、何気に世界遺産らしいです。



ちなみに、今年は日露戦争終結百年後であると同時に、トラファルガーの海戦二百年後でもあるそうで、英国では久我が渡英する少し前に、関連イベントが開催されたようです。それを見れる時期に渡英できていたら、話は出来すぎですね。