ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

コミックマーケット71・サークル参加感想

出発(05:30)

だいたいいつも通りに家を出ます。まだ空には星が見えて、日が出ていません。思ったほど寒くは無いですし、天気も悪くないようなので、久々にいい気候に恵まれたようです。



いつも手伝ってくれる友人と合流し、大崎へと向かいます。その途中、熱くなった話は『帯をギュッとね!』『モンキーターン』でおなじみの河合克敏先生が、ヤングサンデーで新連載を始めたこと、その題材が「書道」だということ。



まったくイメージ出来ません。読みたい……


到着(07:00)

国際展示場の駅は混雑していて、ここに来ると「コミケに来たなぁ」という実感が湧きます。待機する列の多さ、そしてトイレの前の行列。サークル参加者はその脇を通り抜けて、会場入りします。今回は東2ホール、それも真ん中です。



初めての場所でしたが、スペースの奥行きが他の場所よりも机0.5〜0.7個分ぐらいは広く、荷物置きにまったく困らないという絶好の配置でした。以前、「広い場所を」と願っていましたので、配置担当の方が考慮して下さったのかもしれません。本当にありがとうございます。



という余裕が持てる状況なのですが、今回は宅急便での搬入の荷物を運ぶのが大変でした。配置された場所から壁を隔てた場所にペリカン便の荷物置き場があり、最も遠いポジショニングだったのです……この荷物運びのおかげで、体温が上がりました。


準備(07:20〜10:00)

机の上のレイアウトを友人に任せて、ひたすら在庫の確認です。十種類もあるので、もう大変な状況です。ディスプレイに関しては、友人がA5サイズの本を四冊並べられる縦置きのアクリル板をシモジマで買ってきてくれたので、かなりわかりやすい構成になりました。



今回、うちのブロックはブロック担当者の方により、机の前面にポスターを貼ることを「自粛」するようにと依頼がありました。元々、テーブルクロスも含めて、防火加工をしていないものはなるべく使わないで欲しい、ということですので、そのとおりにしました。



今までポスターについては一度も注意されたことが無いので、米澤さんが亡くなってから最初のコミケ、なるべく不安材料を消すように何かあったのかもしれません。



その後はいつものごとく、知り合いのサークル様にご挨拶して、会場内を歩き回ります。



今回は、去年お隣になった本格的コスプレにて活動される『英国メイドさん協会』様と、ビートン夫人の書籍や風刺雑誌『パンチ』などの「原資料」を翻訳される『MaIDERiA出版局』様、それにきっしーさんや『M.O.E.』でご一緒しているなゆみさんともお会いできました。



年に数回しか会うことが出来ないのですが、同好の士として、表現の仕方こそ違えども、近似する価値を希求して同じ場所にいる者として、そういう「仲間」に会えるのは嬉しいことです。ゆっくり話せないのがいつも心残りなのですが……



その後、今回売り子をお願いしましたGENSHIさんも合流し、開場を待ちます。


開始(10:00〜16:00)

全体に「1時間早い」展開だったと思います。だいたい十時ぐらいはそれほど大きな動きが無いのですが、今年はややアップテンポな形で忙しさの波が続きました。あとはご挨拶いただくことや、話しかけられることが多く、気づいたら時間が経っている、という感じでした。



GENSHIさんのお絵かき会関連で知り合った方や、ネットでサイトを見て興味を持った方など、でしょうか。数年前にはあまり考えなかったような繋がりや経緯での訪問が増えており、あらためてネットのすごさを感じます。


イラスト・ゲスト様

『ノースノマド』ののわきさんにもお会いでき、新刊を無事にお渡しできました。プロとして活動を始め、多忙な中での気合の入ったゲストイラスト、是非、多くの方に見ていただきたいです。のわきさんの新刊も「おぉ!」と言う展開で、続きが気になります。(残念なことに悠々さんにはお会いできませんでしたので、次回2月コミティアにてお会いするつもりです)



で、いざ、振り返ってみると、いろいろな繋がりでいろいろと同人誌の絵をお願いできる方がいることに気づきました。贅沢なぐらいに、です。自分自身があまりに無自覚でしたし、「ヴィクトリア朝を再現」することだけに気を奪われて、視界が狭まっていたとも。



同人誌をひとつのメディアとした場合に、絵師の方々に「選んでいただける」場になりたいなぁと思っていますので、諸々、動いてみます。


新刊下さい

最も多かったのは「新刊下さい」との言葉だけで買っていって下さる方々です。こうした方々とはほとんど会話をすることも無いのですが、一瞬の短いやり取り、見せて下さる笑顔、「同人イベントだけで繋がれる、無言の信頼関係」のようなものも感じて、幸せになれます。



だからこそ余計に、リピーターの人の期待を裏切るようなものは作れないですし、想像を超えるようなものを提供していきたいとも願っています。特に今年は「新刊三冊下さい」と言うように、友人に頼まれた方もいるのか、そういう買い方をされる方も目立っていて、あらためて参加し続ける大切さを実感しました。


諸々

今回は『エマ』のコスプレをされている方が四名やって来て下さいました。これはなかなかに本望な出来事です。また、既刊十冊での全冊買いの方も何名かいらして、友人から「書店でもこんなに一気に買うのは珍しいですよ」と言われて、あらためて、感じ入った次第です。



また、前面ポスターを貼らなかった結果、2004年から使っていたバッキンガム宮殿で買ったティータオルの存在を「初めて」指摘して下さった方がいました。こういう小さなところに気づいていただけると、かなり嬉しいのです。


既刊は発行を停止予定

既刊の同人誌については今後、再版を見合わせます。初期段階で欲しい方々には行き渡っていることもありますし、かなりの部数を発行しており、そろそろ改訂版や総集編を考える必要が出てきました。



冊数が次回で11冊になる、というのも現実的な数字ではありません。読者の方も選びにくいでしょうし、コストもだいぶ高くなっています。机の上は大変な状況ですし、在庫管理も大変です。今までは「新しい読者に出会いたい」との意識を強く持っていましたが、慎重に検討したうえで、時期と対応策を明示していきます。


黙祷

16時の閉場のお知らせの際、米澤代表の死を悼んで、会場全体で黙祷がありました。コメントでも書きましたが、あの瞬間、非常に騒がしかった会場全体が水を打ったように静まり返り、その静けさに、涙が出そうでした。



その後に鳴り響いた拍手、忘れられません。


メイドジャンルへの回帰

会場で尋ねられた場合にお答えしましたが、2007年を使用人編の完結の年にします。これまでは「創作少年」であることにもある程度、意味を置いていましたが、コミケにおいては「創作少年・メイドジャンル」であることにこだわって、次回以降はメイドジャンルから離れないように、アンケートにてお願いします。



「創作少年・メイドジャンル」を離れると、寂しいです。以前よりも見つけていただける可能性は高まりましたが、同じ世界を好きな方々と、近くにいたいのです。メイドが好きな人たちが集まる場所で、その雰囲気を作っていきたいなぁと。



表現に関するテキストを書いてもいるので、「創作」でも評価されたい欲求もありましたし、だからこそ余計に様々な場所で新しい読者の方に出会っていきたい気持ちも強くありましたが、今回の参加で、落ち着きました。



同人誌サークルとしては、時期と機会と知り合いの方、そして読者の方々に恵まれ、予想外に楽しむことが出来ました。今回、お隣は中吊り広告で名前を拝見して覚えていた方だったり、同じブロックには名前を知っているプロの方々が多数いたりもしました。

もうそれで十分です。



ここで、「足るを知る」ことにします。



サークルとしての成長・拡大路線は、自分自身に何か劇的な変化が無い限り、起こらないでしょう。これ以上の成長を望む場合、次には「壁」しかありません。そこは、絶対に越えられない部分です。



であれば、そうした「成長・拡大路線」から外れ、自分が楽しんできたことの恩返しをする時期なのだと思います。元々、メイドさんの資料系を育ててくれたのはこのジャンルです。自分を育ててくれたジャンルにて、終わりを迎える準備をするのがよいのかなと、思った次第です。



今年は多分『エマ』のアニメ化第二部もあります。メイドがここまで一般化するとは思いませんでした。依然として需要はあるかもしれませんし、ブームは続くかもしれませんが、同人の世界から生まれた「クラシカルなイギリスメイドを多様な形で理解する」一翼として、その火を絶やさないように続けていきます。



本日お越しいただいた方々、ありがとうございました。どれかひとつでも「今まで見たことが無い」「心に残る」情報・物語を提供できていれば、幸いです。



昨年はありがとうございました。

今年もよろしくお願いいたします。


今年の参加予定

2007/02 コミティア

2007/05 コミティア

2007/05 帝國メイド倶楽部

2007/08 コミケ/改訂版か新刊予定

2007/08 コミティア

2007/11 コミティア

2007/12 コミケ/新刊予定



ここでひとまず打ち切り。この先は「貴族編」?



総集編を出そうと思うものの、総ページ数が1000ページを超えるので、個人レベルでは難しいかもと思ったりしています。



夏は整理の意味を込めて、「登場人物リスト」「同人誌概要」「本編補足の短編」(1巻からの公爵家の話が進んでいない・レカミエが出ていない)「本当に役立った参考資料本紹介」、という「これまでの穴埋め」本を作るつもりです。久しぶりの外伝的なものですが、無料配布の方向で進めます。


補足事項

新刊8巻『この倫敦の、空の下で』の個別作品の解説ページを明日から更新します。毎回あとがきで登場人物や背景を説明していましたが、8巻は「時間が足りない」「ページ数が足りない」こともあって割愛しました。



作品として印刷されたものから伝わったものがすべてですが、背景に興味がある方、より楽しみたい方には、選択肢としてお楽しみいただければ、と思います。



友人より「人物が多すぎて分かりにくい」とも言われておりますので……


連絡事項

本日より、『とらのあな』で新刊の委託始まりました。



『ヴィクトリア朝の暮らし8巻 この倫敦の、空の下で』通販開始:とらのあな



店舗では「秋葉1」「名古屋」「なんば2」においてあるそうです。