ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『コードギアス 反逆のルルーシュ』を見る

機会があって、『コードギアス 反逆のルルーシュ』を見ました。久しぶりに「来週」が楽しみな感じの話です。



このアニメ、超大国ブリタニア帝国に日本が占領されている状態です。で、その帝国の人々の呼びかけが、僕が今までに見たアニメ・日本の作品の中で、きちんと「呼びかけ」をしようとしている作品、になるのかもしれません。



支配されている日本、という設定なので、基本的に英語で話していると想定されますが、会話の端々に呼びかけが織り込まれています。



My Lord/My Lady.(貴族、或いは上位者)

Your Majesty.(国王・女王)

Your Highness.(王族)

Your Grace.(公爵・公爵夫人:上流階級以外の者が呼びかける場合)



このあたりは『19世紀のロンドンはどんなにおいがしたのだろう』に詳しく出ていますが、「呼びかける対象」と「呼びかける側」の組み合わせで、微妙に言葉が変わります。英語でドラマを見ていると、この辺のニュアンスが非常に面白く、翻訳では伝えきれない妙味になります。



また、第三者にその人々を紹介する場合や書面にする場合にも若干の応用があったりもします。この辺、あまり詳しくないのですが、使用人ドラマの場合も同様です。主人に対しての回答なども、相手の立場に応じて、「Sir」「Madam」「My Lady」「My Lord」と言います。



で、日本でなじみのある「旦那様」という呼びかけは、上記の言葉に属すると思います。「ご主人様」はその言葉の響きから、「Master」だと思います。この場合の「Master」は幼い主人たちに対する呼びかけ、となります。なので、「様」に近いです。



で、日本アニメにこうした英語による呼びかけ概念を持ち込んだのは、相当初期から英国メイドを登場させていた永野護さんだと思います。そもそも『エルガイム』の主人公が、「ダバ・マイロード」、『ファイブスターストーリーズ』でも、ファティマは騎士を「Master」と呼びます。(そういえばミューズ卿は「Yes , My Lord」と静に呼ばれてましたね)



長くなりましたが、日本語で使用人やヴィクトリア朝の世界を書いていると、いつも、「呼びかけ」の表記には苦しみます。しかし、今回、『コードギアス』を見ていると、意外と日本語でもいけるのかなぁと、感じた次第です。



おまけですが、ロボット「ナイトメア」の機種「サザーランド」の色彩・デザインは「黒騎士バッシュ」に酷似しています。



・文学+現在含め、詳しく言及しているところ

Ineffabilis!

イギリス大使館ページの「エチケット」

さらに資料:英国の軍隊階級/内閣役職対照表



それらの参考文献・規定の根源

Debrett's Correct Form (Debretts)

Debrett's Correct Form (Debretts)