ちょっと興味深かったのが20世紀に入っても尚存在した、「小作人」と「農場主」の関係です。今回調べていて、「農場で働くメイド」たちが何人か出てきました。ほとんどが『テス』のように住み込みのメイドで、牛乳搾りや農場の手伝いをしつつ、メイドとして料理の手伝いやお茶の準備をしたり、主人の家で働きました。
こうしたメイドたちが「大変厳しい」(賃金が出る奴隷、とまで言ったメイドもいます)職場で働きました。
その背景には親の強い意志が働いていたと言うのです。小作人である親たちは雇い主である農場主に、娘たちを差し出していたような構図があると。
親の権威が強かったのか、こうしたエピソードに出てくる少女の何人かは、「ある快適な農場で働いていた」「でも給与が安いから、父親の意向で、他の農場に送られ」、そこで大変な目に遭っていました。
そういえば『イギリスのある女中の生涯』で登場したメイドのウィニフレッドの両親も、地主のところで働いていました。それはウィニフレッドの将来に少なからず影響しました。
農場主とは関係ない話ですが、屋敷に勤める親を持ったある少年は、就職を決められてしまっていました。屋敷の執事が、親に話をして、親が勝手に承諾したのです。これが1930年代ぐらいというのですから、それより前はもっとひどかったかもしれません。
- 作者: シルヴィアマーロウ,Sylvia Marlow,徳岡孝夫
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