ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。同人・出版活動の報告を含みます。

2007年メイド関係ニュース・コンテンツ編(10:50)



こうして振り返ってみると、2007年はかつてないほどに豊作だった年です。特に5月と、年末の追い上げは激しいものでした。そして2007年を越えるクオリティを期待できるのが、今年2008年であると言えるでしょう。


2007年の出来事

5位:『英國戀物語エマ』第二幕アニメ化

脚本や物語の進行自体は原作への思い入れがある一ファンとして、受け入れにくい要素が非常に多くありましたし、この日記にて、作品上の矛盾を指摘しました。



しかし、アニメ化自体は多くの人に関心を持ってもらえる機会であるので、その点で、作品としてのコミックス『エマ』がより広く伝わるきっかけになったことは素晴らしいと思います。



また、映像が放送されることで、自分自身が何に魅力を感じ、何に不調和を感じるのか、様々にヴィクトリア朝・メイド・屋敷、というものを考える機会も与えてくれました。



『英國戀物語エマ』第二幕感想〜全体を振り返って


4位:『荊の城』DVD化

BBCが放送した『Fingersmith』が、2007年12月にようやく待望の日本語化です。本当に、あの小説をよく映像で見られるものに仕上げたと、まとめきったと驚く映像作品です。



もちろん、その前にサラ・ウォーターズの処女作『Tipping the Velvet』をドラマ制作していたBBCなればこそ、その時の経験や筆者が再現したい世界観をより深く理解できたのでしょう。



近頃、世の中的な題材でも百合がだいぶ増えているとも思いますので、その点では非常に美しい世界が描けています。なので、「ヴィクトリア朝」というより、「お嬢様とメイド」のフレーズにピンと来るものがあれば、そして女優の雰囲気が気に入るならば、映像を気軽に楽しんでいただくのが良いかと思います。



個人的には時間がかかりますが、「小説」からの入りをオススメします。特に使用人、と言う観点でのお嬢様との関係性を深く描けているのは小説版なので。



久我は百合を題材にした作品を積極的に入手していませんが、サラ・ウォーターズの作品は、その気が無くても、小説で描かれる強すぎる感情に引きずり込まれます。何をもって、どこが美しいと思っているのか、その視点も、その想いの強さも、興味深いです。



BBCドラマ『荊の城』待望の日本発売(2007/10/27)


3位:『エマ』9巻&『エマ』8巻刊行

2位との順位付けに迷いましたが、最終巻が2008年に出るであろう事を考慮して、3位に位置づけました。もはやペンを動かせばメイドもヴィクトリア朝も自在に描く境地に達したと思える森薫先生。



短編集を通じてヴィクトリア朝と屋敷とメイドを描き続けていますが、『エマ』8巻と9巻には様々に魅力的なキャラクターたちが登場しました。



なかでも、ネットに出ていた『エマ』9巻の感想を読んでいて、いろんな人が異なるエピソードをいちばんに押していたのも印象的でした。



それだけ、物語に幅が出て、また受け取る人によって思いいれの度合いも違うだけの多面性を、物語が持つようになってきたのかなと、感じ入った次第です。



『エマ』8巻感想

『エマ』9巻感想


2位:『Honey Rose』配信

感想にも書きましたが、『Under the Rose』に連なる作品、過去に連載された『Honey Rose』の配信は、久我にとっては衝撃的でした。



作品自体の面白さやヒロインやキャラクターたちの魅力はもちろんあるのですが、この作品によって、『Under the Rose』の作品から感じられる深さが、尋常ではなくなったからです。



ひとつの物語として完成度が高かった『Under the Rose』。その完成度を更に高め、また貴族・屋敷・メイド・家族、と言う観点でもこれまでに見たことが無いレベルで「一枚の絵となって」見えた世界には、賞賛の言葉しか出てきません。



物語同士が繋がって、描かれる美しい世界。



1月発売の『Under the Rose』5巻が待ち望まれます。



『Under the Rose』『Honey Rose』は最高に美しい(2007/12/22日記)


1位:DVD『MANOR HOUSE』限定版&普及版発売

2004年ごろに出会い、ネットや同人誌で積極的に紹介してきた映像作品『MANOR HOUSE』が、日本でも発売されました。限定版では森薫先生ともとなおこ先生、それに字幕監修に村上リコさんと、豪華で「わかっている」キャスト起用でした。



久我が紹介していた英語版は日本の機器で再生できないRegion1であったり、ビデオ版は字幕が無いとも聞いていましたので、そういう点での障害がなくなったことは大きいと思います。



値段面で普及にはちょっと障害があったかと思えましたが、ジェネオンから値段を抑えた普及版の発売もあり、今後、じわじわと広がっていくことを期待しています。



これを見ずに、メイドも屋敷も執事も、語れません。



最高のメイドさん・屋敷映像『MANOR HOUSE』(2004/04/15日記)

DVD『MANOR HOUSE』日本語化決定・森薫先生・村上リコさんも協力(2007/03/07日記)

『MANOR HOUSE』通常版発売の様子(2007/09/02日記)


2008年の展望

『エマ』の完結

最大のニュースは『エマ』の番外編の完結、と森薫先生の次回作となるでしょう。『エマ』がどのような結末を迎えるのか、注目です。(補足ですが、『エマ』関連の詳しい情報を載せている『黒い天使のブログ』さんが引っ越されたようです。リンクは新URLにはってあります)


Under the Rose』の続きと、『Honey Rose』

そして、今月の『Under the Rose』5巻と、『Honey Rose』の配信の続きがあります。これから物語がどう展開していくのか、非常に期待が高まります。


執事ブームに真打登場か?

村上リコさんのサイトで、最近、ジーブス(イギリスで『ホームズ』に並ぶ存在と言える執事の代名詞)を熱くプッシュしてします。



以下、村上リコさんブログ記事へのリンクです。



ご主人様、使用人部屋に入らず(1)

ご主人様、使用人部屋に入らず(2)

勝田文『プリーズ、ジーヴス』予告

スティーヴン・フライさんについて



短期間に、これだけ押しています。何かスイッチが入ったのでしょう。



ジーブスの書籍は数年前から日本でも単行本化されて(小説『比類なきジーブズ』(2005/05/02日記)、最近ではコミックス化の話も出ているようで(上の勝田文『プリーズ、ジーヴス』予告)、昨今の執事ブームに「本物」の一石を投じるかもしれません。



久我はこれまで、理由があってあまりジーブスを取り上げていません。物語として面白いですが、これから広げるには広すぎる領域で、他の使用人に時間を費やしたいのが理由です。ドラマも、小説のあとがきを鵜呑みにして、2005年に小説を読んでから、まったくノーチェックでした。



あとはどの辺りに来年のトレンドが来るのかはわかりませんが、新しい発見や驚きがあることを期待しています。


正月の番組

東京MXTVにて2008/01/02と01/03『シャーロック・ホームズの冒険』が放送されます。



2007/01/04深夜、日本テレビ系で映画『めぐりあう時間たち』が放送されます。