ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

好きな作家さんは方法論がある

そんな今日は、塩野七生さんの新刊を買いました。



ローマ亡き後の地中海世界(上)

ローマ亡き後の地中海世界(上)





もはや作家としての方法論・表現手法が確立しており、何かをインプットすれば一定以上の素晴らしい作品が出てくる、そんな気がしています。久我が英書の参考文献に視野を広げたのも、塩野七生さんの『ローマ人の物語』の参考資料に、和書がほとんど無かったことも影響しています。



今回のテーマはローマが滅んだ後、『ローマ人の物語』後期はキリスト教の政治面を巧みに描きましたが、今回はイスラム教を同じ精度で描いていて、わかりやすい・読みやすい内容になっています。



テーマがローマではなくても、もう幾らでも書けると思います。似ているのは漫画家の森薫先生(メイド・英国→遊牧民族)や河合克敏先生(柔道→競艇→書道)ですね。緻密な取材でテーマそのものに興味の無い人を引き込みつつ、自分が得意な温度で世界や人物を色付けして、多くの人を魅了する。



万人に受けるような劇的なヒット作にならないかもしれませんが、多くの人が楽しみ、それで人生が変わるような影響力を持った、対象世界を輝かせてしまう力を持っているのかなぁと。その点では司馬遼太郎さんもそうでしたね。



願わくば、同人において「何かをインプットすれば」「その世界に興味を持ってもらえる」「紹介する世界の魅力を伝えられる」、そういう存在を目指したいものです。



そういえば、これもでてました。



鋼の錬金術師 21 (ガンガンコミックス)

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