Victorian Farm: Rediscovering Forgotten Skills
- 作者: Alex Langlands,Peter Ginn,Ruth Goodman
- 出版社/メーカー: Pavilion Books Ltd
- 発売日: 2008/10/20
- メディア: ハードカバー
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日本のAMAZONではまだ本のみの発売ですが、英国でDVD『Victorian Farm』が出ました。
至高の映像資料です。これを見ると、日本におけるヴィクトリア朝の見方が、がらっと変わると思います。
元々、久我がこのジャンルの研究を始めて、気になっていたことが、ヴィクトリア朝を扱う和書の視点が「暗い」ことでした。
「切り裂きジャック」に代表される猟奇的な事件や、『シャーロック・ホームズ』の世界にある殺人事件、公害や労働争議、児童労働、格差、売春といった社会問題、そして帝国主義による植民地支配。
実際に起こった出来事であり、それ自体は否定できませんが、本当にそれしかないとは思えませんでした。そんな折に出会ったのが『英国ヴィクトリア朝のキッチン』です。この本はそうした時代を生きた使用人に光を当て、彼らの生活や仕事振りを伝えてくれました。
そこから研究を進めていくと、確かに厳しい価値観や貧しい生活があったものの、「それだけではない」生活が見えてきました。それが、久我の使用人研究において大切にしている視点です。久我の本だけでは当時を知るには不十分ですが、この視点を欠いては、フェアではないとも考えています。
『英国ヴィクトリア朝のキッチン』の元になった番組が放送されたのが1989年。それから二十年の歳月を経て、BBCが制作した『Victorian Farm』はヴィクトリア朝の田園での暮らしを再現して、久我が求めていた世界を、余すことなく輝かせます。
『英国ヴィクトリア朝のキッチン』が料理に関わるエピソードがメインでしたし、当時の中流階級の暮らしを再現した『THE 1900 HOUSE』が「ロンドンの家」と言う限定環境にあったのに対して、このプロジェクトでは農場を舞台に、自給自足の生活を始めるのです。
生活を維持する中で当然、家庭内の出来事は様々に出てきます。この番組では、当時の「農場での生産活動」にも目を向けます。
馬鹿みたいなことですが、蒸気機関で動く当時の農業器具が登場したり(きちんと動いている!)、リンゴ潰してリンゴ酒を作ったり、鍛冶をしたり、当時の家を作る手順を再現したり(石工となって家を組み立てていく)、信じられないほど当時の暮らしの風景に近づいていきます。
事例を挙げるのが難しいほど、何でもやっています。
過去にご紹介した『ラークライズ』に興味がある人や、『エマ』が好きな人にとっても、ヴィクトリア朝が好きな人、そして産業革命期の「現代は失われている理想的な(多少はフィクション的な)手作りの暮らし」に興味がある方に、強くレコメンドします。
Region2なので、PCのDVDで見られます。
次の資料本にヒットする方には是非。
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- 作者: ジェニファーデイヴィーズ,Jennifer Davies,白井義昭
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