そもそも、なんでイブリン・ウォーの本を読んだかと言えば。
使用人の歴史を勉強がてら、ちょうど今、1960〜70年代にイギリスでなぜ使用人の資料本が数多く誕生したのか、外堀を埋めている最中です。ある方に、イブリン・ウォーの影響も若干あったのではないかと示唆されましたので、人に聞く前に自分でも知っておかなければならないと、同書に手を広げた次第です。
ちょうど今、新訳で『回想のブライズヘッド』(Brideshead Rivisite)が出ていますね。
- 作者: イーヴリンウォー,Evelyn Waugh,小野寺健
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/01/16
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 13回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
映画も去年作られたようですが、過去のドラマに比べるといまひとつのようです。
- 出版社/メーカー: ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
- 発売日: 2009/03/18
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 42回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
久我が屋敷研究を始めた際に『図説 英国貴族の城館』を読み、そこで取り上げられたドラマが『Brideshead Rivisite』でした。こちらはカースル・ハワード最高な雰囲気です。久我はアメリカ版を買ってしまいましたが、今はイギリス版も出ています。
話が逸れまくりです。
イブリン・ウォー以外の観点で、他に視点を探したところ、過去に購入していた『英国カントリーハウス物語』を思い出しました。
これを読み直すと、1945〜1955年の間に、400ものカントリーハウスが取り壊されたとあります。相続税や経済情勢の変化で、屋敷を手放さざるを得なかったのです。こうした背景を踏まえると、その見直し・文化の維持というのが反動で生じ、屋敷の保護や屋敷で働いていた人たちに注目が集まった、のかもしれません。
- 作者: 杉恵惇宏
- 出版社/メーカー: 彩流社
- 発売日: 1998/05
- メディア: 単行本
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
国が最も豊かだった時期の象徴である屋敷が壊されていった現実、ウォーと言う文学者の存在、大戦後の復興が落ち着いた時期、或いは『Upstairs Downstairs』が社会背景に関係せず作られて、その存在感が賛否両論を巻き起こしたのか?
まだ見えていない視点が多いので、仮説を構築しつつ、答えを知っていそうな方々にアプローチするつもりです。
※2009/05/04注
『回想のブライズヘッド(上)』のウォーによる前書きを読んだところ、初版刊行時の1944年と、改訂した1959年当時の「屋敷に対する空気の違い」を述べるコメントが出ていました。
1944年には「現在のように(1959年)」カントリーハウスを礼賛する風潮は予想できなかった、と記されていますので、やはりその頃に、時代の変化があったようです。
あと、手元にNational Trustが入手していった屋敷の年代別リストがあるので、そこで取得数をカウントしてみようかと。