思うところがあると、いつも司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』を読みます。ところが、中学時代に親から買ってもらった単行本版を何かの機会に処分してしまって、手元にありません。図書館で借りようとしたものの、単行本も文庫もどちらも1巻が無く、困りました。
久しぶりに司馬遼太郎さんの作品で何か読むものはないかと探したところ、『菜の花の沖』を見つけました。ちょうど最近読んでいた本に「エカテリーナ2世にスカウトされたガーデナー」の話があったので、「ロシア」と関係のある本として、『菜の花の沖』を思い出した次第です。
『菜の花の沖』は江戸時代の生活に関わる資材を扱う交易の話で、読んでいて非常に楽しいです。生活で必要な品々がどこから来るか、というのはLand AgentやGardenerへの興味とも重なりますし、そうした商業に携わることで社会的に上昇していく(結果としてで、楽しさの根幹は「問題解決」「課題達成」にありますが)主人公を見るのは、心地よいです。
他に、『Cranford』や『North & South』とBBCドラマでお世話になっているエリザベス・ギャスケルの作品を読もうと思い、『ギャスケル短篇集』も借りました。
- 作者: ギャスケル,Elizabeth Cleghorn Gaskell,松岡光治
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これに掲載されていた「ジョン・ミドルトンの心」をまず読みました。「ジョン・ミドルトンの心」にはエレナ(愛称・ネリー)という少女が登場しますが、注釈を読んだところ、「ヘレナ・エレンの愛称」「ギリシャ語で『光』」を意味すると、とありました。
ネリーという名前は、自分が大好きなドストエフスキーの作品『虐げられた人びと』(彼の作品の中では一番好きです)に登場する少女の名前でもありますが、なぜエレーヌという名の彼女の愛称がネリーなのか、よくわかりませんでしたが、長年の疑問(といっても解答を求めていませんでしたが)が氷解しました。
- 作者: ドストエフスキー,小笠原豊樹
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このネリーはロシア文学史上最大のツンデレだと思うのですが、その辺りは機会があれば。命がけですからね(にしても、ブログに文字としてツンデレと書くのはなんか気恥ずかしいですね)
そして、ギャスケルのその次の短編「婆やの話」を読もうとしたのですが、どう見てもメイドの一人称物語です。ちょっと心が落ち着いてから読もうと思います。多分、昔読んだ場合と、今の知識で読んだ場合では、見える世界も違うのでしょうね。行間読みまくりで、心が落ち着きません。
さらに余談があり、翻訳者は日本ヴィクトリア朝文化研究学会所属で、久我に声をかけてくださった松岡先生でした。
そんな感じで並行して何冊読んでいるんだという感じですが、GWを楽しんでいます。
『坂の上の雲』は忘れずに読まなければ……
あ、そういえば新しい執事の手記発掘に成功しました。尊敬するPamela Sambrookさんのとある寄稿を読んでいたところ、今まで見たことの無い名前の執事を見つけました。