ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

ギネスビール社長・初代Iveagh伯爵のGamekeeper

ということで、Gamekeeperにも領域を広げています。最初はWestminster公爵2〜6代目に仕えたGamekeeperの話を読みました。お仕着せがあったり、「数千羽を一日で虐殺した」(=ではその数千羽はどこで調達した?」)という観点での補強資料があったり、領地の領域を巡ってAgentとGamekeeperの繋がりを示す内容も確認できました。



他に2冊、手記を入手しました。そのうちの1冊が、件名のものです。「Iveagh? 読みにくい名前の貴族だなぁ」と思っていたところ、文章の後半で「Guinness」の社長、という文字が登場し、びっくりしました。



http://en.wikipedia.org/wiki/Edward_Guinness,_1st_Earl_of_Iveagh



もう一個、面白かったのがその伯爵の領地の前の所有者がインドから亡命してきたMaharaja Dalip Singh、という人物だったことです。



http://en.wikipedia.org/wiki/Duleep_Singh



以前、別の執事の手記で「インドの王子」に仕えた話を見ましたが(リアル「ハキム」(NOT ホビット)に仕えた執事)、イギリスで屋敷を持っていた人までは知りませんでした。



『エマ』でハキムが出てきたときは深く考えていませんでしたし、そういうことがあるのかないのかも考えたことはありませんが、こういう話もあったというのを意図せずに知るのはとても面白いです。



話を戻すと、前述のGamekeeperの手記は非常に面白く、視点がWestminster公爵のところでの話と異なっています。



公爵家では「フィールドワーク」(今までに言及)や「超有名な2代目公爵Bendorのゲストの話」が多いのに対し、Iveagh伯爵の方では手記を書いた人が体が弱かったこともあって、「内勤」(数字管理や配送、販売)をしています。これも補い合っています。



アウトドアの使用人というと「体力重視」「朴訥」なイメージを勝手に持っていましたが、実際のところ、ガーデナーもゲームキーパーも、頭を使い、数字を理解し、時間管理が出来ないと仕事として成立しませんでした。ひとりですべて出来る必要はありませんが、管理する数が多い屋敷なればこそ、数字は大切なのです。