震災の影響(東京都下在住)は日常生活に及んでいます。いろいろと情報をチェックする中で、「被災者支援のために、こうしない方がいい」ことは伝わってきます。首都圏は落ち着き、人的・流通リソースや物資は現地へ、それ以外の経済活動は今まで通りに、というのが私の感じる結論です。
そこで首都圏に住む住人として「積極的に」落ち着く意味で、「なぜそうしない方がいいのか」「何をするとどんな影響が出るのか」を理解しておこうと思い、自分用にまとめました。この状況が相当長く続くとした場合、「言われたから行う」のと「分かった上で行う」のとで、自分の納得度が違うからです。
日常に戻ることと、以前と同じサービスレベルを期待することにはギャップがあると感じ、自分の中での水準を下げるつもりです。
改めて思うのは、こうした影響範囲はまとまって教えられた経験がなく、いざその時にならないと分からないことばかりでした。
ノウハウ・心構え的なものは提案:関東在住者向け月曜日からの過ごし方(2011/03/13)が優れていましたので、そちらをご案内しています。
※あくまでも私の体験・観測範囲のもので、家族構成や「必要性」の判断は各家庭で異なっています点、ご留意を。また、「現在の環境を受け入れる前提」での対応であり、「現在の環境を変える提案」は含んでいません。
1.電話回線
自分以外の影響範囲
- 緊急回線(警察や消防、救命)に繋がりにくくなる。
- より必要性が高い人の通話に影響する。
2.ガソリン
圧迫する引き金
- 製油所へのダメージでの供給力低下。
- ガソリンが入荷されずに給油できなくなって自家用車が動かなくなる不安。
自分以外の影響範囲
- 緊急・業務・物流関係者が必要な物資を被災地・首都圏に持ち込めなくなる。
- ガソリンをタンク等で運ぼうとする際の思わぬ事故の可能性。
- 給油所を求めて運転する人の増加での渋滞・事故の可能性。
代替策
- 必要性を考える。低ければ自家用車を使う頻度を減らす。
- 待つ。
メモ
現状、地震時に操業を停止していた「製油所の生産活動」の回復が報じられてきています(【東日本大地震】燃料不足問題、連休明けにも解消へ:2011/03/17)。待っていれば解消すると思われるので、現時点では待てる方は待つ方が混乱が少なく、被災地の支援に繋がると思います。
3.電気
圧迫する引き金
- 現時点では震災の事故によって供給量低下が原因とされる。
- 過剰な利用。
メモ
電車が動いて駅についても、計画停電で自分の家までの道のりが真っ暗な可能性もあるとのことで、お気を付け下さい。また、私の住んでいる場所では計画停電の期間中、断水が生じました。
この状況が非常に長く続くので、「現在の環境を変える提案」は今後、必須になると思います。
墨東さんの日本の「計画停電」の歴史を振り返る〜真の「無計画停電」とはと電気代と市場経済〜計画停電の歴史・続篇は、電力会社の歴史が語られていて、視点を広げてくれます。
4.食料品・生活必需品
圧迫する引き金
- 商品が供給されず、品不足に困る不安。
- これから生じるかもしれない災害を不安に思い、その対応。
代替策
- 待つか、繁華街(地元の人が少ないエリア)での購入?
- 外食する。外食産業はダメージを受けているとのこと。
- いつもと違う食料品を選ぶ。生鮮食品は被災地に届けられないので買う。
メモ
買占めを行う人も一部にいますが、一見大量に買う人がいても家族構成(実は大家族)や、買い物の頻度(平日は忙しく土日にまとまった買い物をする)など家庭の事情もあると教わりました。私の近辺では主要製品の購入制限も始まった印象を受けるので、直に解消していくのではないかと思います。
商品はちゃんと入荷してます(2011/03/15)が非常に参考になりました。
今回、歯が悪い高齢者の方がパンを好む傾向があるというのも知りました。
被災地に届けるのに…パン生産、計画停電で半減(2011/03/20)との記事も出ていました。
5.公共リソース(警察/消防/役所/医療など)
圧迫する引き金
- 普段と違う行動での事故(停電後の火事、慣れない自転車での事故)
- 普段と違うことへの怒り・クレーム(駅職員、役所、警察などに向けて)
自分以外の影響範囲
- 本当にそのサービスを必要とする人が利用できなくなる可能性。
- 現場に立って対応される方への様々なダメージ。
- 混乱の連鎖。
代替策
- 今の水準を普通と思う。便利だった時のことは忘れる。
- 無理をしない。様子を見る。焦らない。
- 風邪を引かないように気を付ける。でも医者に行くときは行く。
メモ
現場で矢面に立って応対している方の多くも、同じ状況に立っていますし、様々な解決能力を持つ方々が被災地支援に向かっている点でも、今までと全く同じ生活水準を享受(回復力というのか)はできなくなっていると感じています。
6.消費活動
圧迫する引き金
- 自粛、不謹慎という遠慮。
- 外出への不安(余震や帰路の確保など)。
自分以外の影響範囲
- 業界の売り上げが落ち、雇用が消える。
- 雇用が消えると消費可能な人が減り、支援基盤の弱体化。
- 自分が好きなサービス、お店が無くなってしまう可能性。
- 消費が減ると税収が減り、公的リソースの活動も遠からず制限される可能性。
代替策
- 無理のない範囲で買い物はする。
- 交通の便について不安があれば、近場で買い物。
メモ
消費活動は大切で「雇用を消さない」意味でも、普段通りに出来る方は普段通りにするのが大切に思います。
お店の営業難しい時期だと思います。従業員に「帰れなくなるかもしれない」リスクを負担して働いてとは言いにくいでしょう。ここはとても難しい点ですが、少しずつでも回復していくことを願います。
終わりに
「まじめな人」と「不謹慎な人」(2011/03/19)の視点も、とても参考になりました。私はこのカテゴリでは「まじめ」に属するかもしれません。
ヒットラーに象徴されるような「悪い敵」がいて、それと戦うという物語は、勝ち負けが重要だった。相手が宇宙人でも、同じ。しかし、「自然」というやつと戦うのは勝ち負けが問題なのじゃなくて、和平のみを目的にするしかない。あれだけひどいことをした自然が、もうじき桜を咲かせる。
2011-03-20 04:29:56 via web
この言葉が響きつつも、どこかで、いないはずの「敵」(もっと弱い言葉で言えば、批判する・責める相手)探しをする心理が自分の中にある気がして、そうした不安を減らす意味で、書きました。
なぜ目の前の事象が起こっていて、それがどのような影響を起こすのかをネットでは随分と学べた気がしますし、逆に既存の新聞・テレビ・ラジオからは、時間が経過するまで、この辺りの話を聞けなかったように思います。
諸々と「現在の環境を変える」必要はあると思いますので、そのあたりは考えています。まだ明確に見えていませんが、自分のできることをしっかりと。
首都圏で出来る最大の支援は、パニックに陥らず、募金をし、節電をし、買いだめを控え、なるべく普段通りに生活し、働き、消費すること。難しいことではないはずだ。そして、日本の復興の為に「日本人」でい続けること。
端的に言えば、こちらの言葉に集約されますね。