ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『英国王のスピーチ』感想というより雑感

第二次大戦の際に国王だったジョージ6世を描いた作品です。主演は19世紀英国ドラマと相性がいいコリン・ファースということで、見に行こうと思っていたところ、アカデミー賞主要4部門受賞とのことで話題となりました。



感想を書き忘れていたのでざっくりとしたものを書きたかったのですが、記憶がいろいろと薄れてきているので、DVDが出てから見直します。



主に屋敷や俳優の観点です。



尚、即位前も含めて扱っていますが、文中ではジョージ6世の表記で統一します。



また、興味があったのと整理する意味で[特集]ヴィクトリア女王以降の英国王室映画・ドラマ一覧を作りました。リンク先では、エドワード8世の退位後に仕えた執事Ernest Kingの話や、ジョージ5世に出会った執事Eric Horneの話を少し書いています。


屋敷と使用人

ジョージ6世が王子時代に住み、まだ若い娘たち(後のエリザベス2世と妹)と一緒に過ごした建物の雰囲気(装飾や色彩)がRobert Adamっぽかったので調べたところ(The King’s Speech film locations)、1775年にAdamが建築した33 Portland Placeでした。



公式サイト33 Portland Place



Robert Adamの魅力は派手すぎず、控えめな感じでありつつ、色彩が豊かで、さらには家具や装飾品(壁紙や絨毯、天井、階段の手すり)まで意匠を凝らしている点です。様々な職人の技術を組み合わせ、総合的に美しいというのでしょうか。私がこの建築家を知ったのは田中亮三先生の『英国貴族の邸宅』です。



英国貴族の邸宅 (ショトル・ミュージアム)

英国貴族の邸宅 (ショトル・ミュージアム)





Filming locations for The King's Speechによると、他に登場した屋敷はHatfield House、Knwebworth House、それにSandringham Houseでした。ただ、これらの屋敷は私の記憶になかったので、明確にわかりません。



唯一、記憶に残っていたのはLancaster Houseです。Englefield Houseと共に、バッキンガム宮殿として撮影されていたこの場所は、非常に有名な階段ホールが知られており、同じくコリン・ファースが主演した『アーネスト式プロポーズ』でも登場しています。



しかし、自分が訪問したり、積極的に情報を集めたりしていないと、屋敷の識別ができません。もっと修行します。



使用人はメイドやフットマンが出てきていました。ただ、今回はあまり注目していなかったので特に書くことがありません。強いて言うならば、エドワード8世とシンプソン夫人と主催したパーティーで、エドワード8世が使用人の職場となる階下に入り込んだ辺りが、見せ場だったかもしれません。


俳優繋がり

ジョージ6世を演じたコリン・ファースは、19〜20世紀前半のクラシックドラマで見る機会がかなりあります。『アナザー・カントリー』(1983年)、『高慢と偏見』(1995年)で一躍有名になり、『アーネスト式プロポーズ』(2002年)、『ナニー・マクフィーの魔法のステッキ』(2005年)、最近では『Dorian Gray/ドリアン・グレイの肖像』(2009年)が記憶に残っています。



ジョージ6世の妻はヘレナ・ボナム=カーターが演じ、彼女も『眺めのいい部屋』(1985年)、『Where Angels Fear to Tread』(1991年)、『ハワーズ・エンド』(1992年)、『フランケンシュタイン』(1994年)、『鳩の翼』(1997年)、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007年)、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)と、クラシックドラマの名作に出ています。



映画『ハリー・ポッター』のベラトリックス・レストレンジ役でも知られていますが、同じハリーを軸にすれば、ジョージ5世を演じたマイケル・ガンボンダンブルドア校長役で出ていますね。マイケル・ガンボンは『スリーピー・ホロウ』(1999年)、『ゴスフォード・パーク』(2001年)、それに『The Lost Prince』(2003年)ではジョージ5世の親エドワード7世を演じました。



映画を見る前にTwitterで教えていただいたのが、コリン・ファースと『高慢と偏見』で共演したジェニファー・イーリー(Jennifer Ehle)です。ローグ夫人を演じた彼女は『Wilde』(1997年)、『抱擁』(2002年)と、ヴィクトリア朝作品にも出ていました。



というところで、最後に驚いたのが、『Brideshead Revisited』で美青年セバスチャンを演じ、『Upstairs Downstairs』にも出ていたAnthony Andrewsが、ボールドウィン首相(Stanley Baldwin)を演じていたことです。これが現在ですが、若かりし頃はテディ・ベアを抱えても似合う青年でした。(画像検索:anthony andrews brideshead


終わりに

内容があまりないテキストでしたが、今年2011年はマドンナが監督でエドワード8世とシンプソン夫人を描いた『W.E』が上映されるそうです。興味があって調べていたところ、気づきました。



昨年に紹介されていた方のブログを以下に。



マドンナ監督「王冠をかけた恋 W.E.」にリチャード・コイル出演(2010/09/03)