ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

トマス・ハーディに仕えたパーラーメイドの記録『Domestic Life of Thomas Hardy』

Domestic Life of Thomas Hardy

Domestic Life of Thomas Hardy





最近、『A WOMEN'S WORK IS NEVER DONE』という近代英国の家事環境(水道・料理・掃除・洗濯・家事使用人など)を考察した本を読んでいたところ、ふと、「トマス・ハーディ(Thomas Hardy)の家に1920年代に仕えたメイドのエピソード」が出てきました。



この情報が初見だったので、出典を確認したところ、1921年からハーディが亡くなる1928年までパーラーメイドを務めたE.E. Titteringtonという女性による、『Domestic Life of Thomas Hardy』と確認しました。本自体は非常に薄いパンフレットのようなもので24ページ、さらに序文や導入もあって、彼女が実質的に書いた本文は9ページしかありません。



いずれにせよ、文豪の晩年をその家庭内のメイドから描くというスタイルは個人的に大好きな方向なので、読み終わったら感想を追記します。



No man is a hero to his valet.ですね。



ある意味、文学を書ける人は一定の財力があり、メイドや手伝いを雇える階級にあったはずなので(もちろん、そうでない人もいますが)、19世紀を代表するどの文学者もメイドと無縁ではなかったはずということで、作家を知る視点として重要だと思います。