ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

メイド研究本・2011年11〜12月で続けて刊行

仕事が本格的に忙しくなる雰囲気で(来年のアクション整理)、かつ同人誌の原稿書きという状況の中、マインド的にキャッチアップできていませんが、つい先日は『執事とメイドの裏表 ─ イギリス文化における使用人のイメージ』が刊行され、来月には村上リコさん翻訳による「メイドの自伝」ベストセラー、『Below Stairs』の翻訳版『英国メイド マーガレットの回想』が出ます。



表紙は森薫さんとのことです。





英国メイド マーガレットの回想

英国メイド マーガレットの回想





メイドの自伝では最も有名な一冊で(もう一冊はたぶんRosina Harrison)、家事使用人という境遇を力強く、反骨精神を持って生き抜いたメイドの視点で描かれています。個人的にいいなと思うのは、彼女は働く中で「尊敬する人を評価している」点です。観察力が優れているので、彼女と同じキッチンメイド→コック経験者のJean Rennieの手記よりも、「自己肯定」が少なく、主人との距離も自分の人生についてもニュートラルな感じで、私は好きです。



最近、英国では『ダウントン・アビー』の効果で再版されています。



Below Stairs: The Classic Kitchen Maid's Memoir That Inspired Upstairs, Downstairs and Downton Abbey

Below Stairs: The Classic Kitchen Maid's Memoir That Inspired Upstairs, Downstairs and Downton Abbey





諸々の感想はそのうちに書きます。イメージの中のメイド/メイドが「いて」「いない」現代日本の風景(2011/10/23)では、こうして刊行が続く状況を踏まえつつ、テレビCMにメイドが出る「今」を紹介する内容を触れました。