ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

2013年は同人だからできること、商業だからできることを

例によって元日には2012年の振り返りを記し、2013年に向けた抱負を書くための情報整理を行いました。そこで明確になったのは、2012年に行いたかったことは、仕事の優先度を高めてしまったために、十分に時間を取れませんでした。



その点で、2013年の課題は、2012年までに積み重ねてきたことを結実させ、ひとつずつ形にする、それに尽きます。正直なところ、2012年の年始の方が軸がぶれておらず、方針を大きく変更することはありません。というか、同一人物なのかと思えるぐらい、風呂敷を広げていますね(笑)



2012年はメイドジャンルを繋いで描き、10年後にも残るものを(2012/01/02)



設計がしっかりしていたおかげで、2012年に書いた方針はこれからの5年ぐらいの指針にも出来そうです。その方針を、昨年の自分の言葉から引用します。




2012年の方針の核は、「自分だけでは出来ないことを実現するために、同じ目標を持つ・同じ方向を向く人に出会って一緒に何かをする」と、「自分のテーマ領域を広げて、非サブカルチャー以外との接点を作っていく」ことを挙げます。



前提として、「自分の好きを表現し、かつ好きを表現する人たちにとって心地よい環境作りに寄与できることを探す」ことがあります。私も周辺環境・ジャンルに育てられた恩義があるので、作品を出すこと以外で返せるものがあるならば、積極的に返すつもりです。


1. 同人活動を広げる

1-1.メイド総合同人誌(または表現の場)の構築

2012年の抱負で記したように、「メイドを横断的に扱う『雑誌的な表現の場』を作りたい」かつ、「メイドが好きな人のための本」だけではなく、「読んだ人がメイドを好きになる本」です。



そこで、コミケ83(冬コミ)ではこれまでにご縁があった方々に、「同人誌のイラストを是非描いていただけませんか?」とお声掛けしました。これまでに表紙や挿絵をお願いした方々も含めて、どれぐらいご参加いただけるか分かりませんが、日本におけるメイドの多様性を示す上で、「メイドを書きたい」と思う創作者の方たちにとっての表現の場を作りたいと思います。



昨年記したように、「英国メイド」に限るつもりはありません。「日本におけるメイド表現の多様性」を10年後に残す意味でも、幅広く考えています。こちらは1月中に企画をまとめて、冬コミを目指したいと思います。


1-2.英国家事使用人関係は2013年後半から 『階下で出会った人々』と貴族の生活

これらは2011年から予定していた同人誌ですが、2012年は「日本のメイド」研究を優先した関係で英国研究の優先度が下がりました。[参考資料]英国メイドの世界(著者による紹介)の後半に私が資料から登場させた家事使用人の人名リストをあげた人々の人生模様を、職種を軸とするのではなく、個人と軸として見たいとの気持ちがあります。



情報は集まっているのですが、アウトプットする機会を逃しています。



その一方で、冬コミで質問を受けたのが「貴族の生活」についての発表です。ただ、この領域は私以外の方が出版してくれそうな雰囲気もあると思うので、当面は時間を使うことを保留します。2014年になった時点で特にその気配が感じられなければ、或いは、刊行された本が私の知りたい情報を載せていないならば、その方面での発表は実現に向けて動かしていきます。


1-3.同人ノウハウ本の作成

これも去年と同じですが、同人活動を続ける技術論を展開したいと思います。同人活動を続けるためのノウハウを考える(2011/09/01)に詳細を記したように、私が蓄積してきたノウハウを公開することで、同人活動を楽しまれる方にお役に立ちたいと考えています。



2012年末の冬コミでは、『黒子のバスケ』作品への脅迫があり、その脅迫への対応として同作品のサークル参加を会場や警備側から要請される事態が生じました。コミケ自体が巨大化し、過渡期を迎えていると思いつつ、私はコミケの運営側ではありませんし、主体的にかかわっていく方法も分かりませんし、そのための時間も作れません。



私に表現を続ける場を与えてくれたコミケに対して私が出来ることは何かと考えると、それは「自分のサークルがきっかけで同人文化に興味を持つ方を一人でも増えていく」ことであり、「同人サークルの楽しさを伝えることを通じて、表現する側に回る方が増えること」であり、さらに言えば、表現を続ける方が続けやすいために何が必要かを考え続け、発表し続けることだと思っています。



同人誌即売会で得られる「創作を続けやすい環境」(2010/04/17)で書いたように言語化をするのもその一環です。



最も大切なのは、コミケには「好きを表現する」「共有する」場が形成されていることです。日常を生きていて、何か好きなことについて力説する、共有したい、伝えたいと思う方々と愛することは稀です。日常と言ってもだいたいは会社に時間を費やしますし、会社の中ではそうした自己表現は無用かもしれませんが、自分が生きる時間にあって触れる機会が少ない「好きのエネルギー」が発露される場は、大切に思えるのです。



そういう意味で、それらが時として表現される、シャッツキステや月夜のサアカスと言った喫茶でのイベントは好きなのです。


1-4.執事のコスプレとメイドさん売り子の起用

なんとなく2012年年末に「サークル参加で、メイドさんの売り子を起用したい」と呟いていたところ、いろいろとあって、なぜか執事の格好をすることと相成りました。また、メイドさんの売り子起用もやってみたいと立候補して下さる方や、もしかするとお願いできるかもという伝手も見えるなど、大きな流れに飲み込まれてしまいましたので、飛び込むことにしました。



























夏場は無理かもしれませんので、現実的には冬でしょうか……転職後に増加した体重を落とすダイエットも開始し、無様をさらさずに済むような、おもてなしの準備をしたいと思います。



午前中は午前服で、午後は午後服というような売り子のメイドさんの服装の変化が出来たら神ですね……


2.境界線を広げる

2-1.商業出版企画の完遂と出版の実現(企画自体は通っています)

書きます。3月までにまとめ、7月の刊行を目指します。



最優先課題です。


2-2.創作への応募

保留します。


2-3.中高生に届くようための図書館への寄付はできるのか?

考えます。もう一冊出せてからでしょうか。


3. ジャンルの安定化のための振り返りと繋がりの軸として

正直なところ、2012年の抱負から先に進んでいる部分が少ないので、またしても去年からの引用です。去年はいったい何があったのかと思うぐらいに、堅牢な言葉を作れています。




2010年の出版以降、とにかく「日本のメイドについてどう思う?」「英国メイドとの違いは?」と聞かれました。さらに出版したことで多様な情報が集まりやすくなってきたこともあって、2010年からライフワーク的に日本のメイドブームについての考察や情報の整理を始めました。



考察も大切ですが、まずデータを収集すること。そこを軸に可視化を行いつつ、「一緒に取り組んだら面白い人」を探し、コラボできる余地を探していきます。2010年の出版時には秋葉原のメイド図書館『シャッツキステ』とコラボを行いました。同じように、2012年は繋がりを広げていくつもりです。



メイド喫茶に初めて行ってみたい人向けに、英国メイド研究者が書いてみるもその一環と言えば一環で、これは「あくまでも一部にすぎないメイド喫茶の形態が、すべてのように伝わること」へのカウンターのようなもので、私から私が好きな「表現」を行う方への援護射撃になればとの気持ちがありました。



3-1. リアルの場で図書公開を行い、学びたい人の場とする

『月夜のサアカス』で実現中です。



秋葉原のカフェ『月夜のサアカス』での蔵書公開とタイトル一覧(169+2種)(2012/03/31)


3-2. 学びの機会を増やし、かつ自分が学んだことを伝えていく

こちらはメイド研究をされている方々と交流を深め、自分自身が持つ情報を伝えていき、また学ぶ機会を増やします。冬コミの場にてお話をすることもできましたので、1月中旬以降にコンタクトを取って、実際のアクションにしたいと思います。


4. 「メイド以外」の人々と出会い、学び、「通じる言葉・概念」にする

昨年書いた言葉がそのまま当てはまりますので、強いて書きませんが、自分にプレッシャーをかける意味で、以下を購入し、正月から読み始めています。



監獄の誕生―監視と処罰

監獄の誕生―監視と処罰




終わりに

ここでも去年の言葉を引用しましょう。色あせない強度を持つ言葉で、何があったのでしょう、自分。あるいは、この一年で成長していないこと、劣化していることに強い危機感を覚えます。


とても盛りだくさんですが、「今年1年ですべてやろうとは思わない」「私だけでやろうとしない」ことをキーワードに、今年は活動を楽しみ、深め、より多くの人に関心を持ってもらえるような伝え方を模索していきます。会社勤めでの経験も新しいステージに入っており、仕事とのバランスをどのようにするかも課題に上がってきますが、今年はこうした目標を描くこと、スケジュール管理を行って具体化することでプライオリティを下げずにいきます。



メイドへの関心を持っていただくのも大切ですし、私の生き方や在り方を軸にメイドに興味を持っていただくことも出来るのではないかと思いつつ、水樹奈々さんのラジオで「メイドは人生」と言った手前、「人生」としてしっかり向き合っていきます。



これが全部できたら、相当、すごい人間ですね。でも、一人で出来るわけがありませんし、すごい人間になろうとも思いません。半ば誇大妄想的かもしれません。しかし、ここに描き出した「夢」を共有し、響いて受け止めて下さる方が一人でも増えれば、「世界」を見る目を変えられるとの希望があります。



見守っていただければ、そして一緒に楽しんでいただければ、幸いです。



今年強いて付け加えるならば、次の言葉に集約できるでしょう。







本年もよろしくお願いいたします。