ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

メイドイメージを映し出す雑誌・新聞記事の調査

ライフワーク的に、2010年から「日本のメイドイメージ」を調査しています。その一環として2012年は、1990年代から2010年代の「ライトノベル・漫画」で表現されるメイドの変化を追いかけた『メイドイメージの大国ニッポン 漫画・ラノベ編』を記しました。



今年の夏コミは「雑誌・新聞記事」にフォーカスした同人誌の準備を進めています。昨年から1年半以上に渡って雑誌記事と新聞記事におけるメイドイメージの出現頻度を調べ続けており、その掲載数と取り上げられ方を分析する内容です。方法論は『漫画・ラノベ編』と同一です。



対象記事は、雑誌で700以上、新聞で800以上です。



新刊は、コミックマーケット84当選・2日目(日曜日) 東地区“マ”ブロック−34aにて頒布予定です。


同人誌『メイドカフェ批評』にゲスト原稿を寄稿

仕事の優先度が上がってしまったこともあって、研究をなかなか進められなかったのですが、たまたま昨年末に「メイド喫茶データベースやネットでのメイド喫茶の取り扱われ方を研究する」たかとらさんから、『メイドカフェ批評』へのゲスト原稿の依頼をいただき、「そろそろ本気出す」と6月から一気に取り掛かりました。



夏コミ(C84)にて新刊『メイドカフェ批評』を頒布します(2013/07/15)



上記、たかとらさんのブログで告知が出ている、本格的な「メイドカフェ」に特化した批評です。



私は長く、「メイドカフェが大好きな人による、メイドカフェへ言及したテキスト」を読みたいと思っていたので(いわゆる身内向けの言葉ではなく、初めて読む人に届く言葉として)、そうした場を創出されるたかとらさんの同人誌に寄稿できることを誇りに思います。



今回は「メイドカフェを報じた新聞記事の傾向分析」と、「メイドカフェを論じた寄稿者による言論軸」を整理したテキストを寄稿しました。私のゴールはあくまでも「メイドイメージ」であって「メイドカフェ」に限定される研究ではないのですが、世の中のメイドイメージをブームに押し上げたのは紛れもなくメイド喫茶で、今回は真剣に向かい合いました。



そして、私がメイド喫茶に強く関心を持つのも今年を最後にしたいと思っているので(本来の英国メイド研究に戻りたいので)、できる限りの最大を伝えるために、悔いが無いように本気を出しました。



結論から言えば、雑誌は多様なメイドイメージを伝える媒体として成立していますが、メイドカフェに限定すれば記事を書く人のほとんどが取材をしており、極端な偏見で報じるものは少なく、「偏見を持っていた」「テレビメディアのイメージと違う」との感想も見られました。どちらかと言えば個人の発言というより、メディアが提供するメイドイメージが、「メイドカフェ」だけではなく、「メイドコスプレビジネス」や、「メイドコスプレグラビア」などを混在させて、イメージを錯綜させていると、私は結論付けました。



テレビメディアは方法論を私が確立できていないので今回はアクセスできませんのと、時間的都合で雑誌のみとなりましたが、きちんと網羅的にメイド喫茶を中心としたメイドイメージの「雑誌報道」を精査した最初のテキストだと思いますので、その伝えられる世界を、語られた世界を、お読みいただければ幸いです。


自分の同人誌は製作中

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、本気を出しすぎて、自分の同人誌原稿になるぐらいの原稿をゲスト原稿として寄稿したという自体になりました。とはいえ、ゲスト原稿というきっかけが無ければ書けなかったテキストなので、そこは別物として、切り替えて進めています。



まったく同じ原稿は載せられないので、切り口を変えて書くつもりです。時間的にどこまで出来るかは分かりませんが、ゲスト原稿ではあまりメイドコンテンツ(『エマ』や『花右京メイド隊』や『ハチワンダイバー』など)に言及していないので、広範な「メイドイメージ」に光を当てたいと思います。



今現在は「新聞記事」を舞台とした、新しい原稿を書いています。こちらの方はこれまでデータ整理がなかなかできていなかったのでそこからの開始でしたが、今日になってようやく目途がついたので、視点を決めて、テキストを書くつもりです。



新聞はまた雑誌記事と違って、メイドイメージを伝える異なる役割を持っており、とても面白く、別の世界が広がっているのを感じていただけるテキストになりそうです。



日本人、メイドが好き過ぎです。



そんな感じで、ここまで締め切りがピンチなのは初めてでありつつも原稿を作っています。



「発見」を伝えるテキストを書くことは、最高に楽しいです。