ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

新刊『メイドイメージの大国ニッポン 新聞メディア編』入稿完了

無事、夏の新刊の入稿受付が終わりました。後は当日を待つだけです。新刊『メイドイメージの大国ニッポン 新聞メディア編』は、新聞メディア(四大新聞)に意外と登場する「メイド」のキーワードから、日本各地に偏在する多様な「メイドイメージ」をお伝えするものです。



表紙は前回に続き、umegrafixさんにお願いいたしました。今までと少し違った色調、雰囲気で、良い本に仕上がりそうです。






「めぐりあうメイドたち」
by umegrafix on pixiv


メイドイメージを映し出す雑誌・新聞記事の調査(2013/07/21)で新刊の内容を「雑誌・新聞記事」としていましたが、今回、「雑誌」を書き上げる時間を作れませんでした。そもそもゲスト原稿に寄稿した内容で今時点で出し切ってしまった感じもしますので、その「姉妹編」ぐらいの位置づけで、たかとらさんが主宰された『メイドカフェ批評』とあわせてお楽しみいただければ幸いです。



正直なところ、メイドが日本の文化かどうかは私には分かりません。しかし、「ブーム」を過ぎて、「日常」として新聞報道にとけこんでいる様子を、今回の同人誌を通じて描き出すことができました。



メイドブームの終焉は「衰退」か、「定着」か(2010/08/28)を記した頃は、あくまでも「メイドコンテンツ」でのブームに少し触れるだけでしたが、イメージの中のメイド/メイドが「いて」「いない」現代日本の風景(2011/10/23)で幅が広がり、そしてちょうど3年が経つに際して、「メイド喫茶」と、そのさらに先の「メイドイメージ」を描き出すことができました。



尚、前巻の『メイドイメージの大国ニッポン 漫画・ラノベ編』は、ブーム以降の方が作品展数が増えている事実を示し、これもまたメイドの定着を物語る同人誌です。そして今回、たかとらさん主宰の同人誌『メイドカフェ批評』に寄稿したゲスト原稿では、「メイド喫茶ブーム」と呼ばれるものが雑誌上でどう伝えられたのかを可視化しました。誰が、どのように伝えたのか、ある意味勝手に「語られている」言葉を集めたのが「雑誌記事」編です。



個人的には、「ブーム」というものを初めて学ぶ機会になりましたし、「メイドイメージ」を巡る情報整理は、ブラム・ダイクストラ『倒錯の偶像―世紀末幻想としての女性悪』の数歩手前、という感じでしょうか。イメージが受け入れられた社会背景の考察はしていないので、それは別の方にお願いします。



それにしても、新聞と雑誌とメディアが違うだけで、こうも見える「メイドイメージ」が違うことは、本当に驚きでした。だとすると、「テレビ」もまた本格的にデータ化すると、とても面白そうです。



本当はこの界隈の研究はやるつもりが無かったのですが、待っていても出てこなかったのと、情報が集まるようになっていたので、自分なりに知りたい情報を集めたというところです。他にも、様々な縁が自分を導いたように思います。



とはいえ、まだ書きたいことすべては書けていないので、引き続き、年内を目処に完結させていきます。