ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

コミケのサークル視点の注意事項:搬入・搬出

サークル参加の際の注意事項をまとめてみました。一般参加の方には役に立ちませんが、裏側の姿ということで。


心構え

失敗を想定して、退路を確保しておくこと。

全体の数字を見ず、手にとって下さった読者の方を忘れずに。

マンレポ、読みましょう。


更新履歴

2014/12/15 コミケ公式での「識別用の紙」ダウンロード追加

2007/12/22 「識別用の紙」追加

2008/08/04 「宅急便受付までの距離は意外と長い」「カート導入しました」追加

2008/11/02 通常「島中」スペースに持ち込めるダンボール数を追加

2009/12/06 コミケ77・東館のクロネコヤマト受付場所変更を追加+搬入情報リンクを最新に更新

2010/07/31 ペリカン便からゆうぱっく切り替えにつき更新



事前に出来ること

搬入は宅急便を使う

コミケは宅急便搬入が出来ます。正直なところ、手で運ぶ数倍便利で、融通が利きます。一旦使ったら、止められなくなるほどです。コミケの搬入は日本通運ペリカン便限定ですが、ネットで申し込むと若干安くなります。日通



2010年07月以降(今回のコミケから)宅急便搬入の業者が郵便事業株式会社の「ゆうぱっく」に変更されました。集荷受付は日本郵便/インターネット集荷のお申し込みをご参照下さい。



また、コミケ87の搬入についてはコミケ公式サイトの情報もご覧下さい。



また、家にまで取りに来てくれるので、そのあたりが気にならなければ、非常に便利です。ただ、事前の宅急便搬入は1週間ぐらいしか受け付けていません。



***識別用の紙:2007/12/22補足
よゆう入稿様のサイトにより詳細な「手続き」についての情報が出ています。こちらのサイトではダンボールに貼る「サークル情報の貼り紙PDF」も配布しています。



久我は2回連続で使わせていただいていますが、超便利です。

識別用の紙:2014/12/15補足

識別用の色紙、コミケ公式サイトで提供されるようになっていました。

http://www.comiket.co.jp/info-c/C87/C87HandbookOfCarrying-c/index.html


前日搬入

宅急便が嫌な人、或いは車を出せる人、または前日に足を運べる方は前日搬入も便利です。事前に申請が必要ですが、自分が参加する前日に会場に入り、荷物をおくことが出来ます。



久我は一度だけ、やったことがあります。このときはコミケに普通に参加し、17時ぐらいに会場入りしました。印刷所の方々がダンボールを搬入していくのですが、壁際の大手サークルともなると、巨大なトラックからフォークリフトで同人誌の束を降ろして、置いていくのです。



あの光景は、圧巻でした。


ダンボールは大きすぎないように

この時、注意事項があります。搬入に用いるダンボールは「自分が持てる大きさ」にしておく、ということです。久我は印刷所から搬入されたダンボール(A3ぐらい)を使っていましたが、本を大量に入れられるので、非常に重たいです。



過去最大では、1箱23kgありました。



会場でそれを運ぶのは、あなた自身です。「搬入したい数」だけで考えず、「その先に何があるか」を考慮して、箱の大きさを選ぶのが大切です。そうしないと、腰を痛めたり、大変な目に遭います。


宅急便受付までの距離は意外と長い:2008/08/04補足

コミケの会場地図を見るとわかるのですが、ホールによっては泣きそうなぐらい宅急便まで歩きます。久我がコミケ74で配置される東4ホールの場合、最悪のケースでは東4→5→6の外を横切って、搬出場所(クロネコヤマト)に到達できます。



それ以外の選択肢は東4ホールの中を通り、東1を横切ってペリカンを目指す、となります。距離的にはこちらの方が近いですが、人が大勢いる中を通るので、見極めが重要です。



こうした情報はサークルが受け取る封筒に入っていますし、コミケの公式サイトでも確認できます。



C78搬入・搬出の手引き【サークル向け】コミケ公式)/2010/07/31更新


カート導入しました:2008/08/04補足

上記のように、ダンボールを長距離運ぶのは至難です。イベント後はさらに弱っています。会場内でダンボールを運ぶのに苦労した経緯もあり、マンレポなどを参考に、2007年冬からは荷物運び用のカートを導入しました。海外旅行のトランクを載せたり、或いは非常時やキャンプの時にポリタンクを運べると言う折りたたみ式のもので、40kgぐらいの重量に耐えてくれます。



会場内でダンボールを運ぶのには便利ですし、宅急便搬入をするまでも無い場合に、持込用で使うことも出来ます。とはいえ、市街地で使うには操作が難しいのですが……今のところ、このカートのみは手で持ち込み、手で持ち帰っています。それ自体を宅急便で送付する上級テクニックも、確かマンレポなどで出ていた気がします。運びにくいのは確かです。



尚、搬出時だけではなく、宅急便を朝に引き取る場合にもこのカートは活躍します。イベントの最初から腰を痛めていたのではシャレになりません。朝に関しては比較的空いているので、手数料追加で運送会社の方に運んでもらえるサービスなんかがあると、楽ですね。


搬入してくれる印刷所を選ぶ

新刊を刷る場合、なるべく「コミケに搬入」してくれる印刷所を選ぶのが良いです。印刷所によっては、「送料無料」で事前搬入してくれます。こちらはそれほど面倒なことも無いので、なかなかに便利です。



もちろん、搬入する量には気をつけましょう。持って帰るのは自分なのです。


2009/12/06追記

コミケ公式サイトにて東地区でのクロネコヤマト(宅急便)の受付場所が、東駐車場からガレリア東エントランス1階に変更となりました。との告知が出ました。



狭い場所で、閉会時は帰りの人々とぶつかる可能性が高いので、注意が必要です。自分にとって最適な搬出ルートは、コミケカタログ同封の地図を参照すると見つけられますので、搬出部数が多区なりそうなサークルはご注意下さい。


搬入する数

完売を許容? あるだけ持っていく?

宅急便のメリットは、「数を気にしない」で持ち込み、また持ち帰れることです。自分や友人の手で運ぶだけでは、在庫が無くなる可能性も高くなります。



・在庫がある分に関しては、完売を避けたい。

・だからといって、多く持ち帰りたくない。



このジレンマがあるかと思いますし、久我も相当、苦しみました。完売を避けるために大量に持ち込んだものの、結果は四箱残ったこともあります。といって、控えめな部数に絞ると、なぜか風が吹いて、すべて完売、ということもありました。



コミケにおいて、部数の予想は、不可能です。(個人的経験)



結論からして、「多く持ち帰りたくない」のは、気持ちの問題です。もちろん金銭的にもかなりの額になりますが、「多くの人に読んで欲しい」のか、「凹む自分を避けたいのか」、という選択になるかと思います。



大量持ち帰りを何度も繰り返し、凹みましたが、今は「多くの人に読んで欲しい」を最優先で考えるようにしました。この機会にしか上京できない方も大勢います。本との出会いは偶然、そこに立ち寄るのも偶然なので、「自分の気持ちと宅急便費用」に目を向けず、ポジティブな要素で、乗り切りましょう。


凹まない技術〜退路の確保

しかし、それでも、結果として売れない場合もあります。



大量にダンボールを持ち帰るのは気持ちが辛いです。



そこで編み出した、というのが、「随時撤退」です。宅急便の受付が始まる時間は午後。コミケは、だいたい午後二時の時間帯になるとピークタイムを過ぎます。午前中の様子からその日の流れを読み取り、残り二時間で何人ぐらい来るのか、想像しましょう。



残り2時間で、それ以前の時間帯よりも多く来ることはまずありません。(久我のジャンルだけかもしれませんが)



そこで、だいたい午後二時ぐらいに、「さすがに、もう出ないだろう」と思った在庫を搬出します。残っている分の1/3〜1/2ぐらいですね。友人の手助けが得られるのが前提ですが、さらに時間帯や隙を見て、どんどん宅急便へ持っていきます。



閉会してから何箱も持っていくのは、非常に大変です。その時間までに、そのすべてが無くなるかどうかを判断し、引き上げていくのが、在庫を大目に持ち込むとき、気持ちを凹まさない技術です。



箱を大きくしすぎない、というのも、こうした持ち出しの量・きりのよさにも関係しますので、意識してみてください。


会場で苦労すること

「スペース」による荷物量

公式には「90cm*70cm*150cm」の搬入が認められていますが、スペースによって保持できる在庫量は違います。久我は運良く、壁以外のすべて「島」「誕生日席」「島角」「内壁」を体験しました。晴れ舞台ともいえる「島角」「誕生日席」、実は在庫を置くスペースが非常に限られます。



マンレポをお読みの方はご存知のことですが、誕生日席のすぐ後ろは島への入り口になっており、通常よりも置ける荷物が少ないのです。「誕生日席だ、やったー!」と喜び勇んで搬入するも、他のサークルに白い目で見られる、と言うことは十分にありえます。


通常「島中」スペースに持ち込めるダンボール数:2008/11/02追記

個人的な経験談ですが、大き目の段ボール箱でだいたい10〜18箱が限度と思われます。(※あくまでも島中の話で、誕生日席は、多分、この半分以下です。誕生日席は後ろが通路になる為、搬入部数は大きな制限を受けます)



テーブルの下にぎりぎり2個×縦2個。椅子に座らないのを前提として、後ろに2個×縦5箱。縦はもう少し可能かもしれませんが、崩れた場合は危険です。また、よほど勢いよく数がさばけない限りは、後ろにダンボールを8個以上置くのはリスキーに思えます。



2008年夏コミは過去最大13箱を持ち込みましたが、午前中で新刊が無くなるという奇跡があったので、持ち帰りも3箱で済み、なんとかなりました。しかし冬は部数が読めず、苦戦しそうです。



尚、サークルの配置される「列」によって、若干スペースの広さが違います。去年の冬に配置された東"ミ"ブロック16aは、通常の1.5倍以上のスペースがありました。大通りに面している、或いは特殊な形状をしている島は、搬入数の多いサークルが配置される傾向にあり、壁とはいかないまでも、広々としたスペースをもらえます。


在庫の管理

久我はなるべく既刊をそろえるようにしています。このため、今回の新刊で種類は9冊になってしまいました。新刊は最も取りやすい位置に置き、残りについては自分たちでわかるような場所にまとめておいておく、ということをしています。



また、「既刊全冊買い」も毎回絶対にあるので、そうした方に向けて、袋なりセットを用意しておくといいでしょう。今思いついたのですが、このとき、大き目の付箋なりで「1冊ごとの値段」を記しておくのがいいでしょう。セット売りは「全部で〜円になります」と言うこともありますが、きちんとこうした情報を付与しておけば、受け取った方も安心します。


判型はきちんと考える

かつて、久我は何も考えず、B5で本を作っていました。しかし、「製造コスト」「在庫のスペース」「サークルスペースでの容積」など、あまりにも不利な点が多かったので、A5に切り替えました。テキストが主体の場合の資料本はA5で十分間に合いますし、市販の資料本・教科書などのレイアウトも、参考になるでしょう。



とにかく、B5は、ページ数が多い本を作る場合には、大きく、重たいのです……


その他・個人的な体験談

資料本と言う非常に限定的なジャンルに限っての体験談ですが……


ジャンルはきちんと選ぶ

自分の本を手にとって貰うにはどうすればいいのか? 答えは、「手に取りやすい場所に行く」ことです。久我はかつて、「資料本だから歴史ジャンル」と申し込んでいましたが、落ち続けました。カタログを見ると、久我の志向したメイド系は「創作少年・メイドジャンル」だったのです。



・まず、イベントに参加する。

・自分の言葉で考えず、自分の本に似た本がどのジャンルかを調べる。


コミケ:アンケートに配置の感想・希望を書く

初めて誕生日席になった時、非常に嬉しかったのを覚えています。しかし、在庫数が増えたときにこの場所になった前回の冬。スペースで非常に苦労しました。また、メイドジャンルを離れて、ほぼ最高と思える「リ」の場所(非常に太い通路を挟む目抜き通り)に配置された時、まだ実力が足りなかったこともあって、人の流れが普段と違い、苦戦しました。



実際にその場所に行かなければわかりませんが、何か困ったこと、不具合に思えることがあったら、きちんと申し込み用紙の裏に書くことをオススメします。今時点で、きちんと配置担当の方に対応していただけている、そう感じています。


一般参加してからサークル参加すること(オールジャンル系)

久我はかつて、一度も一般参加しないまま、コミティアに参加しました。コミケでは創作少年・メイドジャンルに守られていたのを理解せず、コミケの気持ちで参加しました。しかし、相違点ばかりでした。



・スペースは、コミケよりも更に狭い。

・文章ジャンルを選んだが、「創作漫画」主体なので、人が通らない。



結果、「アムリッツァ」級の敗戦を経験しました。ここで問題なのは、大部数を持ち込んだことです。イベントによっては雰囲気や志向が違うことを、理解するのは非常に重要です。


イベントの差を楽しむ

逆に、コミティアにもメリットはあります。コミケの会場にいる人の多くは、「時間を大事に、多くの本を見たい」ので、会場の雰囲気はせわしなくなります。この為、正直なところ、読者の方とのコミュニケーションは、なかなか難しくなります。



一方、コミティアはそこまで忙しい雰囲気ではなく、ある程度、読者の方と話すことも出来ます。また、コミケでは「忙しい」と来ない人なども、ここでは落ち着いて買い物を出来るので、新しい読者になってくれる可能性もあります。



今の久我の参加成績で言うと、「委託の方が数が出る」状況なのですが、今度は文章を離れて、歴史で参加します。こういう「実験」が出来るのも、年四回、ほぼ落選が無いコミティアゆえだと思います。



とまぁ、こんな感じで書きましたが、あくまでも久我個人の体験談ですので、人によって違うとは思います。何かしらの参考になれば幸いです。



「退路の確保」は、コミケの後の「打ち上げ」にも影響しますので、気持ちよく会場を後にして、「打ち上げ」で凹み続けないようにしたいものです。
 


……と言えるようになるまで時間がかかりましたが、初めて参加して、内側のスペースに立って、本を手渡しした瞬間、自分の本を見つけて顔を輝かせてくれた方々のことを思い出して、数だけを見ずに、手にとって下さった方への感謝を忘れずにいたいものです。