ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

祖母の洋装を見る

伯父が大往生しました。



たまたま葬儀の場に、定年後に一族の歴史を調べている方(祖母の甥)がいて、祖母の洋装や祖母の兄弟たちのスーツ姿の白黒写真を見せてもらいました。祖母の一族は元々士族でしたが人の借金の保証人で没落し、明治時代にカナダへ移民しました。



祖母の父が移民した時代が1860年代で、写真に残っていた祖母の写真は1890〜1930年ぐらいまでのもので、自分が集めている歴史の資料本に出てくるような、見事な白黒写真でした。自分自身が英国の同時代を勉強しているのですが、同じ時代に、自分の先祖が英国の影響下にあったカナダにいた、というのには驚きました。



赤毛のアン』の時代、ですね。



歴史が、繋がっていました。



以前会社の同僚と「せいぜい、由緒正しい武士でもない限り、一族の歴史でさかのぼれるのって明治時代ぐらいかなぁ」と話していましたが、非常に面白い話でした。(祖父は農民→役人、という生き方でした) 死しても尚、こうして子孫に語り継がれていく、子孫と繋がっていくのだなぁと。



老いた祖母しか知らなかったので、洋風のコートを着ていたり、おしゃれな眼鏡をかけていたりした令嬢時代の祖母を見て、本当に驚きました。きっと、英国におけるメイド研究と言うのも、そうしたルーツ探し、先祖への興味から生まれたものなのでしょうね。家に残る、祖母の若い頃の写真。何を見て、どう生きていたのか? 誰と、出会ってきたのか?



自分と同じように(それ以上に)、アマチュアながら研究している人が、血の繋がった人の中にいることも、世の中の不思議を感じました。海外で仕事をした祖父と伯父、その歴史は三代目に受け継がれませんでしたが、いつか久我はこの趣味を通じて、海外にて仕事をしたいとも思っています。