ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

エアコミケ2参加情報・同人誌一覧(2020/12/30-31)

はじめに

2020/12/30-31のエアコミケ2に参加します。

新刊

・新刊はありません。
・活動報告として、新しい本は商業出版で2020/08/27に、星海社から刊行した『「名探偵ポワロ」完全ガイド』があります。


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初めての方向けに自己紹介とおすすめ本

久我真樹の同人サークル「SPQR」は、2000年から活動を行なっています。元々は、英国ヴィクトリア朝から第二次大戦までを中心にした屋敷や家庭で働いた家事使用人の職種・仕事内容・生活を考察する資料と、それらをテーマにした創作小説を作ってきています。



2010年以降は、日本のメイドブームや執事ブーム関連の調査、2017年から2020年にかけては屋敷・メイド研究のきっかけになった作品の一つであるドラマ『名探偵ポワロ』を、屋敷・家事使用人の観点で考察する研究を行い、同人誌(ドラマの家事使用人特化)と商業本(ドラマの考察・解説)をそれぞれ刊行しました。


ポワロが好きな方へのおすすめ

ドラマ全70話に登場した家事使用人の紹介と、制服考察に加え、ホテル・ウェイトレスにも範囲を広げています。
ドラマの解説も家事使用人観点に特化しています。
spqr.sakura.ne.jp
spqr.sakura.ne.jp

同人誌をベースにしつつ、「ドラマの解説・見どころガイド」をより一般的に作り直したものです。また、ドラマ全体の考察を、専門である家事使用人に加えて、犯人の動機や手段、現場、そしてポワロの探偵としての要素に注目したコラムを書き下ろしています。
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ドラマの舞台となる英国の屋敷・カントリーハウスでの生活を支えた、数多くの家事使用人の職種・仕事内容・生活を解説した辞典的な一冊です。これを読むと、英国のクラシックなドラマにおける家事使用人の描写を楽しむ視点が身につきます。紙本は7刷までいきましたが絶版となり、電子書籍化しています。
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ドラマのポワロの舞台となった「家事使用人の雇用が衰退していく1930年代」の雇用事情・社会事情を解説する同人誌です。
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より屋敷の生活を知りたい方へ

英国メイドの自伝から、彼女の職場・出会った人々・職種についてをリスト化し、解説する同人誌です。メイドがどのような職場遍歴をしていたのかが、わかります。
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第二次世界大戦で国により接収された屋敷がどのように使われたのか、そしてそこでどのようなダメージを受けて、戦後に住めなくなっていくのかなどを考察する同人誌の準備号です。ドラマ『刑事フォイル』の時代になります。
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メイド創作が好きな方へ

これまでに発表してきた英国メイド創作短編をほぼ網羅する総集編です。メイドが生きた時間をテーマにしています。
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メイド表現が好きなプロの作家や、メイド喫茶の店主、同人サークルでの発表者など、メイド表現・研究に携わる方達へお声がけをしてゲストに迎えて「好きなメイド」を語っていただく企画本です。
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日本のメイドブーム・執事ブームに興味がある方へ

物語において、背景・脇役だったメイドが主人公化して、日本の漫画・アニメ・ゲームなどに広がるメイドブームを考察した本です。ファミレスの制服ブームやコスプレブームとも合流したメイド喫茶の広がりも扱っています。
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執事ブームに特化した本で、主人公化・青年または少年化していく執事イメージを考察しています。
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同人誌の電子書籍Kindleのみ(リンク先はAmazonで全商業作品も含みます)

amzn.to

とらのあなが最も取り扱い種類が多く、続いてメロンブックスです。

エアコミケ・頒布予定物

No.刊行年月タイトル
012008年12月spqr.sakura.ne.jp
022009年08月spqr.sakura.ne.jp
032010年12月spqr.sakura.ne.jp
042011年12月spqr.sakura.ne.jp
052014年08月spqr.sakura.ne.jp
062014年12月spqr.sakura.ne.jp
072016年08月spqr.sakura.ne.jp
082017年12月spqr.sakura.ne.jp
092018年12月spqr.sakura.ne.jp
102019年12月spqr.sakura.ne.jp

コミティア133(2020/09/21)のエアコミティア参加・刊行物一覧

はじめに

2020/09/21(月)開催予定のコミティア133は、新型コロナウイルスによる影響を受け、開催中止となりました。



その代わりに、エアコミティア開催となり、参加自由であることかた参加します。


新刊はありません/新しい本は商業出版のみ

コミティア専用の新刊はありません。
・2020/08/27に、星海社から刊行した『「名探偵ポワロ」完全ガイド』が新刊になります(コミティアは著者の商業はOK)。


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初めての方向けに自己紹介とおすすめ本

久我真樹の同人サークル「SPQR」は、2000年から活動を行なっています。元々は、英国ヴィクトリア朝から第二次大戦までを中心にした屋敷や家庭で働いた家事使用人の職種・仕事内容・生活を考察する資料と、それらをテーマにした創作小説を作ってきています。



2010年以降は、日本のメイドブームや執事ブーム関連の調査、2017年から2020年にかけては屋敷・メイド研究のきっかけになった作品の一つであるドラマ『名探偵ポワロ』を、屋敷・家事使用人の観点で考察する研究を行い、同人誌(ドラマの家事使用人特化)と商業本(ドラマの考察・解説)をそれぞれ刊行しました。


ポワロが好きな方へのおすすめ

ドラマ全70話に登場した家事使用人の紹介と、制服考察に加え、ホテル・ウェイトレスにも範囲を広げています。
ドラマの解説も家事使用人観点に特化しています。
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同人誌をベースにしつつ、「ドラマの解説・見どころガイド」をより一般的に作り直したものです。また、ドラマ全体の考察を、専門である家事使用人に加えて、犯人の動機や手段、現場、そしてポワロの探偵としての要素に注目したコラムを書き下ろしています。
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ドラマの舞台となる英国の屋敷・カントリーハウスでの生活を支えた、数多くの家事使用人の職種・仕事内容・生活を解説した辞典的な一冊です。これを読むと、英国のクラシックなドラマにおける家事使用人の描写を楽しむ視点が身につきます。紙本は7刷までいきましたが絶版となり、電子書籍化しています。
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ドラマのポワロの舞台となった「家事使用人の雇用が衰退していく1930年代」の雇用事情・社会事情を解説する同人誌です。
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より屋敷の生活を知りたい方へ

英国メイドの自伝から、彼女の職場・出会った人々・職種についてをリスト化し、解説する同人誌です。メイドがどのような職場遍歴をしていたのかが、わかります。
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第二次世界大戦で国により接収された屋敷がどのように使われたのか、そしてそこでどのようなダメージを受けて、戦後に住めなくなっていくのかなどを考察する同人誌の準備号です。ドラマ『刑事フォイル』の時代になります。
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メイド創作が好きな方へ

これまでに発表してきた英国メイド創作短編をほぼ網羅する総集編です。メイドが生きた時間をテーマにしています。
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メイド表現が好きなプロの作家や、メイド喫茶の店主、同人サークルでの発表者など、メイド表現・研究に携わる方達へお声がけをしてゲストに迎えて「好きなメイド」を語っていただく企画本です。
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日本のメイドブーム・執事ブームに興味がある方へ

物語において、背景・脇役だったメイドが主人公化して、日本の漫画・アニメ・ゲームなどに広がるメイドブームを考察した本です。ファミレスの制服ブームやコスプレブームとも合流したメイド喫茶の広がりも扱っています。
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執事ブームに特化した本で、主人公化・青年または少年化していく執事イメージを考察しています。
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同人誌の電子書籍Kindleのみ(リンク先はAmazonで全商業作品も含みます)

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とらのあなが最も取り扱い種類が多く、続いてメロンブックスです。

エアコミケ・頒布予定物

No.刊行年月タイトル
012008年12月spqr.sakura.ne.jp
022009年08月spqr.sakura.ne.jp
032010年12月spqr.sakura.ne.jp
042011年12月spqr.sakura.ne.jp
052014年08月spqr.sakura.ne.jp
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072016年08月spqr.sakura.ne.jp
082017年12月spqr.sakura.ne.jp
092018年12月spqr.sakura.ne.jp
102019年12月spqr.sakura.ne.jp

復刊する『黒猫館』『続 黒猫館』に解説を寄稿しました

ご縁があって、星海社が復刊する『黒猫館』『続 黒猫館』の解説を寄稿しました。メイドブームで必ず言及される作品の解説ということと、私が選ばれたというところで、メイド的観点と英国的観点での解説を行いました。

解説での広がり

散歩をしている最中に思考が発展することがあり、今日、ぽんと言語化できたのでメモしておきます。限られた分量で書くというところで省いたものと、手元にあった素材が時間を経てぽんと発酵した感じです。

アニメと小説のエピソードの違い

1. 時間軸:過去、現在、未来
2. あやをめぐる環境:富本氏は『表面張力』の前日譚で純粋なSM的展開を描く
3. 正樹を助ける理由:好意の対象の違い

「信頼できない語り手」問題はあるのか?

『黒猫館』を含むレーベル全体を包括する話

ライトノベル史の研究者で、『黒猫館』を発行した富士見書房を開設した"ライトノベル史入門  『ドラゴンマガジン』創刊物語―狼煙を上げた先駆者たち"の著者である山中氏が、論文を公開されました。

こちらもぜひ。

エアコミティア 2020/05/17参加予定

2020/05/17(日)開催予定のコミティア132Extraにサークル参加予定でしたが、コミケ同様、新型コロナウイルスによる影響を受け、同イベントが開催中止となりました。



その代わりに、エアコミケ同様に、エアコミティア開催とのことで、参加予定です。


新刊はなし/絶版同人誌の通販

コミケ同様、新刊はないです。ただ、印刷所を応援したいと思い、絶版にした同人誌『英国執事の流儀』『英国メイドがいた時代』『ヴィクトリア朝の暮らし 終わりの始まり』の3種類の委託もあります。


委託先

spqr.booth.pm
ec.toranoana.jp
www.melonbooks.co.jp

とらのあなが最も取り扱い種類が多く、続いてメロンブックスです。

(エア)コミケ98(2020/05/04、3日目)西3-P40aで参加

2020/05/04(月)のコミケ98・3日目にサークル参加できる予定でしたが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響を受け、同イベントが開催中止となりました。



その代わりに、エアコミケとして、Twitterハッシュタグやネットのサービス、そして同人誌通販を活用した「エア即売会」となる「エアコミケ」が行われており、そちらに参加します。「エア即売会」的なものは、コミケよりも前に開催中止になった即売会の参加予定者の方達が行なっていたもので、それをコミケが取り入れた形になります。



一応、5/4が参加予定日だったので、5/4にTwitter上でのサークル参加を予定しています。



なお、サークルスペースは西3ホールのP40aで、冬コミと全く同じという初めての出来事でした。


新刊はなし/同人版『英国メイドの世界』や絶版同人誌の通販

2月末に自主的サバティカルとして会社を辞めて時間はあったのですが、体調回復と諸々の優先事項があったこと、そして間に合いそうなテーマも情報が集めきれなかったので、新刊はありません。noteあたりで、何かテキストを公開できればと思っています。



代わりに12年前に絶版になった同人版『英国メイドの世界 ヴィクトリア朝の暮らし総集編』3部が見つかったので、5/4(月)10時の開催時からBOOTHで委託します。



また、新刊は出せなかったのですが、印刷所を応援したいと思い、絶版にした同人誌『英国執事の流儀』『英国メイドがいた時代』『ヴィクトリア朝の暮らし 終わりの始まり』の3種類の委託も始めています。


委託先

spqr.booth.pm
ec.toranoana.jp
www.melonbooks.co.jp

とらのあなが最も取り扱い種類が多く、続いてメロンブックスです。

同人活動19年で作ってきた本28冊(2001-2019年)

2010年に同人活動で作ってきた本を更新してから、その後の刊行物をまとめていなかったので、10年ぶりに更新します。



No.刊行年月タイトル
012001年12月1巻:『貴族とその屋敷』:絶版
022002年12月2巻:『貴族と使用人(一)』:絶版
032003年08月外伝1巻:『Victorian Life Style Vol.1』:絶版
042003年12月3巻:『貴族と使用人(二)』:絶版
052004年08月外伝2巻:『Victorian Life Style Vol.2』:絶版
062004年12月4巻:『貴族と使用人(三)』:絶版
072005年08月5巻:『使用人の生活風景』:絶版
082005年12月6巻:『使用人として、生きて』:絶版
092006年08月7巻:『忠実な使用人』:絶版
102006年12月8巻:『この倫敦の、空の下で』:絶版
112007年08月『ヴィクトリア朝の暮らし』ガイドブック:絶版
122007年12月『MAID HACKS』:絶版
132008年08月『英国メイドの世界 ヴィクトリア朝の暮らし総集編』:絶版(講談社から商業出版)
142008年12月9巻:『ヴィクトリア朝の暮らし 終わりの始まり』:絶版
152009年08月『英国執事の流儀』:絶版・電子書籍へ移行
162009年12月『英国メイドの世界』ができるまで
172010年08月『英国メイドにまつわる7つの話と展望』
182010年12月『英国メイドがいた時代』:絶版・電子書籍へ移行
192011年12月『誰かの始まりは、他の誰かの始まり ヴィクトリア朝の暮らし短編集・総集編』
202012年08月『メイドイメージの大国ニッポン 漫画・ラノベ編』:絶版(『日本のメイドカルチャー史』へ)
212013年08月『メイドイメージの大国ニッポン 新聞メディア編』:絶版(『日本のメイドカルチャー史』へ)
222014年08月『メイド表現の語り手たち 「私」の好きなメイドさん
232014年12月『屋根裏の少女たち』
242015年08月『メイドイメージの大国ニッポン世界名作劇場・少女漫画から宮崎駿作品まで』(『日本のメイドカルチャー史』へ)
252016年08月『ある英国メイドの職場遍歴』電子書籍へ移行
262017年12月『名探偵ポワロ』が出会った「働く人たち」ガイド 上巻
272018年12月『名探偵ポワロ』が出会った「働く人たち」ガイド 下巻
282019年12月『第二次大戦下の英国カントリーハウス 準備号』


というところで、通算刊行数は28冊です。


振り返り

同人活動

・当初はコミケに落選。最初の参加は友人のサークルへの委託で、2001年12月冬コミから。
コミケへのサークル初参加は2002年12月。
・19年連続でコミケに参加し、参加する際は必ず新刊を持っていっている。
・2010年以降は仕事が忙しく、出版もあったので、年1回だけのコミケ参加の年が増えていく。
・短いページ数の冊子を出したのは3回。
・フルカラー同人誌は2回。
・500ページ超は『英国メイドの世界』で1回。

商業出版

商業出版はこれまでに4冊行なっています。

基本的には同人誌をベースにしていますが、大幅な改訂・新規書き下ろしが常に行われています。『日本の執事イメージ史 物語の主役になった執事と執事喫茶』のみ、完全に新規の内容です。



2010年11月 『英国メイドの世界』(講談社)
2017年10月 『日本のメイドカルチャー史 上巻』(星海社)
2017年11月 『日本のメイドカルチャー史 下巻』(星海社)出版
2018年08月 『日本の執事イメージ史 物語の主役になった執事と執事喫茶』(星海社)

冬コミ97新刊 『第二次大戦下の英国カントリーハウス 準備号』

何気なく、通算28冊目の同人誌ということにて。



今回の同人誌『第二次大戦下の英国カントリーハウス 準備号』は、第二次世界大戦の6年間に英国の屋敷が国に接収され、様々な目的で利用されたことを解説します。軍の駐屯地・演習地にもなるのでその利用方法は戦況によって大きく左右され、たとえば米軍が来た場合には接収先が増えますし、また制空権を握ってドイツへの空爆に転じた際には空爆に適したエリアが接収されて空軍基地となる、という流れもあります。



そして、この利用の結果、修復不能なダメージを受ける屋敷が数多く生まれました。



本来的には屋敷の話だけではなく、そこに住んでいた主人や家事使用人の話も盛り込みたかったのですが、準備時間が不足していたので相当に割愛した「準備号」となりました。完成版・続きは来年のコミケですかね?


仕様

タイトル:『第二次大戦下の英国カントリーハウス 準備号』

値段  :100円

サイズ :A5判

ページ数:16ページ(オフセット印刷

頒布開始:2019/12/30(月) 西P40b



※言及した英国内のカントリーハウスの場所を、Google Mapでリスト化・共有しましたのでご参照ください。



goo.gl



前書きに詳しく書いたので、以下引用します。


まえがき

 私は、広大な領地に囲まれている英国の屋敷「カントリーハウス」が大好きです。元々、英国家事使用人の世界に興味を持ったきっかけは、ドラマ『名探偵ポワロ』で見た英国のカントリーハウスでした。様々なドラマの撮影地として、あるいは物語のモデルとして登場する屋敷を学んでいくと、屋敷に興味を持つだけで多様な領域に関心が広がっていきます。
 英国にあるこれらの屋敷は、第二次大戦下のわずか6年間で大きなダメージを直接的・間接的に受けました。きっかけは「requisitioned」と呼ばれる「国による徴発・接収」でした。数多くの屋敷は、戦争に勝ち抜くため、様々な目的に利用されました。

■戦時下での利用「接収」と物語

 「接収」は、第二次大戦下を描く英国の物語に反映されています。私が屋敷に興味を持ってから読んだ写真集『図説 英国貴族の城館』(田中亮三、増田彰久河出書房新社)に登場する屋敷Castle Howardは、英国のドラマ『Brideshead Revisited』(1981年、イーヴリン・ウォー原作。2008年に『情愛と友情』という新作も登場)の撮影地となりました。
 第二次大戦下、新しい駐屯地に滞在することになった英軍将校チャールズ・ライダーは、兵舎が立ち並ぶ駐屯地を散歩する中で、そこに建つ屋敷に見覚えがあることに気づきます。その屋敷Bridesheadは、チャールズがオックスフォード大学在学中に出会った友人セバスチャン・フライト(侯爵家)の実家で、若き日に滞在した馴染みの場所だったのです。
 英国ドラマの中で最も「建物が接収された英国の日常」を描いたのは『刑事フォイル』(2002-2015年、アンソニーホロヴィッツ脚本)になるでしょう。第二次大戦下の英国で起こる犯罪を捜査する刑事の訪問先となる軍事拠点は、その多くが接収された場所でした。
 第4話「レーダー基地」では接収された屋敷が空軍兵舎として登場しました。第5話「50隻の軍艦」でも陸軍の情報部は屋敷にありました。接収そのものが主題となるのが第10話「癒えない傷」で、屋敷を病院として接収するシーンから始まりました。第13話「侵略」も米軍工兵隊が農地を飛行場にするためにやってきました。他にも多くの接収された屋敷が作品には登場します(後日、コラムをネット公開しますので、Twitterでチェックください)。

■第二次大戦の「接収」に至るまでの社会環境の変化

 「接収」は屋敷に物理的損害を与え、第二次大戦後の時代に屋敷へ住むことを困難にし、放棄するきっかけを作る出来事でした。
 とはいえ、全ての「放棄」が接収によって引き起こされたものではありません。屋敷に住み続ける暮らしが難しい時代がやってきており、財政的に維持できないことによる放棄も多くあったからです(同人誌『英国メイドがいた時代』参照)。
 20世紀に入り、屋敷所有者への課税は強化される一方でした(相続の累進課税化、所得税強化)。特に相続税累進課税は強力で、第一次大戦の頃に顕在化しました。従軍した若い後継者が死ぬと年老いた当主が相続し、さらに数年後にその老いた後継者が亡くなり、短期間で相続が行われることで二度の税負担を受けることが起こりました。
 次に、家事使用人不足です。賃金が上がる傾向が続いた上、使用人のなり手不足が社会問題化しました。1)他の職種への就業機会の増加、2)労働環境が悪い・社会的地位が低いために就業への忌避などが強まったためです。屋敷の生活を維持するお金も人も不足しました。
 そして、『英国メイドがいた時代』で触れていなかったことが、この「接収」の影響です。屋敷を維持できなくなっている社会構造と同時進行で、「物理的に屋敷が傷つけられ、修復不可能な状況に追い込まれる事態」も起こっていたのです。
 本書では、その屋敷に起こった「6年間」とその後の出来事を中心に解説します。準備号なので、本格的なものは次の機会に書く予定です。

こんな感じです。