ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

小説『比類なきジーブズ』

執事マニアにはたまらない作品です。



筆者はヴィクトリア朝の生まれの作家P.G.ウッドハウスです。



なぜ、これに辿り着いたかというと様々な経緯があります。1年ぐらい前に、「AskJeeves」という検索エンジンを会社の人に教えてもらいました。これは「Jeevesに聞けば答えが見つかる」というコンセプトでした。その時はそこで止まりましたが、最近、ある本を読んでいたら、「なんでも執事に聞こう!」という駄目な主人と、完璧な執事ジーブスの存在を知りました。



ふと、「もしかしたらそのJeevesってこの人?」と思い至り、新しく立ち上がった日本版のFAQを見てみると、まさにその通りでした。



( a ) ジーブス(Jeeves)とは何ですか?



そんなこんなで興味を持っていたところ、4月のある日、新聞の一面の広告に『比類なきジーブス』との文字を見つけました。きちんと広告にも目を向けたその日に、です。最近になって、刊行されているようなのです。



比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)



「比類なき」との賛辞を受けるのは、執事ジーブス。お金持ちの坊ちゃんバーティは事あるごとに執事ジーブスに頼り、執事は完璧に期待に応える、かと思いきやそこには毒やユーモアが有り、対応はしてくれるものの、強い個性の執事と主人とのやりとりには笑ってしまいます。



今までにいろいろと使用人関連の本を読んできましたが、ジーブスの個性は際立っています。笑いの質で言うと、オスカー・ワイルドの「真面目が肝要」が似通っているかもしれません。



こういうふうに、自分の中でストーリーの出来た本との出会いは、幸せです。向こうから呼ばれていると思えるほどに。



尚、文芸春秋からも別の配本(ASIN:416324090X)があるみたいなので、どちらを買えばいいのか迷いそうです。今のところ、刊行されている国書刊行会の3部作の1冊を買いました。