ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。同人・出版活動の報告を含みます。

コミックマーケット81・サークル参加無事終了と振り返り

2011年最後のイベント・コミックマーケット81へのサークル参加が無事に終了しました。サークルスペースにご来訪いただいた皆様、誠にありがとうございます。私が作った同人誌との出会いが、何かしらプラスとなることを願っております。


訪問される方々との出来事

基本的にコミケはサークルを来訪される方々が、なるべく短時間に多くのスペースを回る行動を原則としているので、忙しいです。そこでサークル側としても如何に来訪される方々の時間を無駄にしないかを意識しています。そういうところで、ノウハウ的な情報も出せそうな気がしてきました。私と言うよりも、売り子として手伝ってくれている友人が良く気付く人なので、常に改善はなされています。



今回も含めての感想となります。


「新刊下さい」

コミケのサークル参加を連続で続ける「ご褒美」は、この言葉です。新刊同人誌を読まずに「サークルの新刊」として欲して下さるのは、いわば「信頼」のやりとりのようなものです。その期待を裏切らないように活動したい、またその信頼を超えるものを提供したいという目標にもなります。


「新刊2冊下さい」「友人の分を買いに」

このところ多いのが、ご友人の分も購入されていく「新刊2冊下さい」です。この冬のコミケでもある程度の方がこのような形で本を手にしていかれました。変則的なところでは「自分の分を買う→友人と合流して、その友人が買いに来る・友人に頼まれてもう一冊買いに来る」パターンです。他に、友人に頼まれてスペースに来られる方もいます。


初めての方&「既刊全冊下さい」

ジャンルが隆盛するには「常に『初めてこのジャンルに興味を持つ方』が入りやすい」必要があり、「その入り口となる」ことを、私は同人活動で意識します。そのために、なるべく「分かりやすい」(その上で深く)同人誌を目指しています。また、新しく始めやすいように最近は続刊方式を避け、既刊も確実に変えるように運営しています。



そうした中、既刊全冊購入される方も毎回いらっしゃいます。さらに今回は、初めてでしょうか、「既刊全冊を2冊ずつ下さい」という方がいらっしゃったと売り子の友人から聞きました。その場に私が立ち会いたかったです。


「あれ、これ買ったかな?」

久我の同人活動も長く、既に19冊を刊行しています。またサークルを訪れる方々が毎回私のサークルに来ているとも限らないので、「あれ、これ買ったかな?」との言葉はよく出てきます。だいたい刊行時期と内容を説明していますが、ここ最近は机に並べる冊数を絞って分かりやすくするようにしています。


「以前買った本が良かったので」

「裾野を広げる入口となる」手ごたえのひとつが、この言葉を頂ける瞬間です。前回ためしで一冊だけ買って、それが面白かったのでもう一度来ていただける。私の同人誌の中では『MAID HACKS』と『英国執事の流儀』が、この「初めての方向けに、分かりやすい切り口」になっています。


ウェブ・Twitter経由でやり取りのある方々

自分の何気ないTwitter上の呟きから話が広がり、いろいろとご教示くださる同好の士の方々ともコミケ会場ではお会いできています。「ずっと会場でお会いしていた常連の方はあなたでしたか!」と思うこともありますし、「Twitter上ではお世話になりました」という方もいらっしゃいます。



Twitter上で同人サークルとしての存在を認知されて、足を運ばれてくる方々も毎回コンスタントにいらっしゃいます。どんな形にせよ興味を持っていただけれるのはありがたいことで、ウェブの活動は今後も続けます。


サークル観点で思うこと

過剰搬入

前回のコミケは「100円玉が足りない!」と言うところから始まりましたが、今回のコミケでもトラブルが生じました。搬入した同人誌の量が多すぎたことです。今回、新刊の同人誌が分厚かったことを忘れて搬入依頼をしてしまったために、過去最大の14箱(A3サイズ:A5サイズの220ページの同人誌が52冊入る箱)が!



机の下に4箱、後ろに2列5箱という形でスペース内には収まりましたが、これは誕生日席の内側の席だったがために偶然スペースが広かったことによるものです。本来的にはここまでの箱は入らないと思います。



毎回、コミケの前には宅急便受付場所を確認します。今回のサークル配置は東4ホールのスペースでしたので、搬出場所は東6ホールの先のクロネコヤマトか、東ホールの中間通路を通って東1ホール近くにあるゆうぱっくのどちらかを選ばなければなりません。近い方のゆうぱっくは「中間通路」である点で人の密度と動線が混乱していることが予想されたので、距離的にあるクロネコヤマトの利用を決め、この距離を分かっていたので、今回は運搬用カートを持ち込みました。



いずれにせよ、次回以降、もう少し在庫数は厳密に想定します。今回は忙しさもあって「厳密」どころか、感覚的に行ってしまったので……


お会いできなかった方々と交流について

今回、想定を超えたのが搬出量でした。とにかく遠いことで、時間がかかりました。今回の過剰在庫で時間がかかることをを想定して、当日は14時から随時搬出を行いましたが、4往復で1時間を費やしました。その1時間にスペースを訪問して下さった方々とお会いできなかったという、大きな失敗をしてしまいました。



その中で一つ感じることは、ここ数年、同人イベント「だけ」で得られる交流のようなものが減少している気もしています。その一因は、普段からコミュニケーションできているからかもしれません。



今回は上記のように「わざわざ私に会いに来て下さった方々」との機会を自ら逃してしまったこともありますが、同人で得られていたことの変化はマイナスと言うより、時代・環境の変化というところで、ではそこから一歩踏み込んで、同人イベントで得られていることは何だろうと、自分なりに考えるつもりです。


感想をうかがう機会の減少

「同人誌の感想」を直接聞く機会も本当に減りました。その点で、過去の遺産でやっているような気もしますし、『英国メイドの世界』という過去最大に感想を引き出せた経験をしてしまったが故に、それに比肩する価値を大きく作れない中、無いモノを望んでるのでしょうか。



もしかすると昔の自分は、もっとスペースを訪れる方々と会話を楽しみ、結果として感想を引き出せていたのかもしれません。つまり自分が変わってしまった可能性もあります。新刊を買いに来ていただけることだけでもありがたい「感想」です。この点で今すぐ答えはないのですが、この視点は今回の感想を書いていて思いついたものなので、結論は出さず、しばらく温めてみます。


久しぶりに新刊をジャンル買い

自分のサークル以外の感想を書くのは久しぶりでしょうか。今回、Twitterで縁が生まれたtakatoraさんの同人誌を買いに出かけました。メイド喫茶データベースを作られており、活動が始まる経緯も拝見していたので、その研究成果を読みたい気持ちが強くありました。



メイド喫茶データベース構想/実在したメイド喫茶のデータベース化について2011/01/09夜に交わされたつぶやき。



何よりも、実際にtakatoraさんにお会いしたかったです。takatoraさんは私の世界を広げた方で、『月夜のサアカス』『うさぎの森』へ行ってみようと思ったのは、takatoraさんが薦められていたからでした。



そんなこんなでtakatoraさんにご挨拶し、新刊を手にしました。地道な作業でしか作り上げることができない貴重なデータで構成された本で、何度か比喩として使っていますが、本当にリンネのようなコレクションへの情熱を感じます。ここからより分析が広がっていくことが楽しみになりました。サークルスペースでは同じくTwitter経由で縁があった秘め子さんが参加されているカフェシカロでメイドをされている凪さんが売り子をしているサプライズもありました。



その後、サークル「くぬぎやま通信社」シャッツキステの有井エリスさんが表紙を書かれている同人誌『アキハバラ カミラジオ』を、そしてサークル「秋葉に住む」へ。確かこのサークルの同人誌は、私がイラストをお願いしていた2005年ぐらいにGENSHIさんから教わっていましたが、今回はtakatoraさん経由で興味を持った、そこに委託された『JAM AKIHABARA FanBook』が目当てでした。



元々私はメイド喫茶秋葉原のコンテクストに強い関心を持っていませんでしたが、ここ数年は「日本におけるメイド」を理解するために、この領域で「好き」を持ち続ける方々の情報に接したいと思っています。ちなみに、実はここでも緩い繋がりながらも縁を見つけることができます。ひとつは『JAMアキハバラ』が私が初めて訪問した商業ベースのメイド喫茶であること、そしてこの店舗の名物店員だったイヌ発電さんが参加された同人イベント『帝國メイド倶楽部』で一度隣のスペースだったことがある点です。



他にもいろいろと広げられる要素はありますが、意外と気づかぬうちに、こうした「秋葉原」「メイド喫茶」コンテクストの端っこあたりにいたのだなぁと感じ入る次第です。


同人活動の原点回帰のために

今回のコミケでは「そこにしか書かれていない情報がある同人誌を欲しい!」との気持ちを思い出す機会にもなりました。これは久しぶりのことで、「欲しい同人誌がないから作る」をスタートとした私にとってはひとつの心境の変化かも知れません。そんな当たり前のことをと思われるかもしれませんが、同人にあってフォーカスを「自分」に絞っていたことは否めません。



また、長年創作メイド同人誌を作られて戦友とも呼べるきっしーさんのこの冬の同人誌に接したことも、「メイドが好きだった頃の過去の自分」を思い出すきっかけとなりました。2002年ぐらいの頃、日本にはメイドの資料が十分にありませんでした。そこで公開された映画『ゴスフォード・パーク』の完成度、そして『8人の女たち』エマニュエル・ベアール様が演じたメイドイメージ、さらにその原型とされたジャンヌ・モローが演じた『小間使の日記』のメイドは、いわばあの時代にメイドに関心を持って接した人々にとって、「同じ釜の飯」とも呼べるものでした。



今の自分は、かつての自分よりも圧倒的な情報量に接し、その時よりも密度の高い研究をできている自負はあります。しかし、今の自分は、昔と同じ情熱で研究し、また同人誌と向き合っているかと問われると、自信がありません。端的に言えば、コミケにおける情熱を、失っています。今回痛切に感じたのは、読者の方を「驚かせる」「突き抜けるぐらいのバカらしさ」をあまり実現できていないことでした。



2007年12月の『MAID HACKS』は一発ネタでしたが、2008年08月の『英国メイドの世界』は圧倒的存在感で、12月の『9巻 終わりの始まり』はArthur Munbyを召喚してかつ彼の登場する二次創作まで書くという勢いがありました。2009年08月の『英国執事の流儀』も切り口の独自性から、日本最高レベルの執事資料本との自負があります。



2010年12月には同人ノウハウを記した『英国メイドの世界ができるまで』を作って振り返りをしつつ、2010年08月は出版準備の忙しさからコミケ新刊では初の薄い冊子となる『英国メイドにまつわる7つの話と展望』を作り、2011年には『英国メイドの世界』の続きとなる『英国メイドがいた時代』、そして11年の創作活動の総集編『誰かの始まりは、他の誰かの始まり』を書きました。



この2010年12月以降はいわば『英国メイドの世界』という自分が作った同人誌・商業誌に代表される、「これまでの11年」との対峙だったように思いますし、そこからどのように「この先」を広げていくかの足場作りの時間だったかもしれません。その点で、来年からは再び「驚き・ここにしかない価値」を追求するつもりですが、時間的な都合から、その表現の場を同人誌に限らなくてもいいとの結論に達しました。



2012年のコミケは夏コミへの参加は行わず、冬コミのみの申し込みとします。1年かけて作りたい同人誌を作るつもりです。もちろん、途中でどうしようもなく同人誌を作りたくなるかもしれませんので、この方針は変わるかもしれません(夏コミ申し込みは2月なのでその時までにこの気持ちが生じなければ2月参加しません。



むしろ、2012年は商業発表の機会創出と、「同人誌以外の形」での「同人活動」を行うつもりでいます。2012年の目標としてもう一度書きますが、2011年はやや動きが取れず、守勢でした。2012年はもう少し機会を広げ、繋がりの中で、「10年後に残る価値」を生み出していきたいと思います。



そういった「広義での同人活動」をご支援いただければ、幸いです。2011年はありがとうございました。2012年もよろしくお願いいたします。