ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

新刊作業報告

デイリーメイドもほぼ終了しました。これで、スティルルーム・メイドに続き、2つめの職種が終わりました。どちらも醸造が必要ですので、チーズの如く、寝かせておきます。次はスカラリー・メイドの執筆に取り掛かりますが、その前に、一般的な知識などを語る部分の整理を始めようかと思います。



以下、去年作ったアウトラインです。



4巻『貴族と使用人(三)』



第五章 使用人の立場

(概論)

 ・労働条件と賃金

 ・主人との絆

 ・妊娠

 ・実在と物語のメイドさんの恋愛と結婚

 ・パーティー

 ・ミニコラム:日々の料理

 ・ミニコラム:プディング



第六章 メイドさん(料理系)

(種類)

 ・コック

 ・キッチンメイド

 ・スカラリーメイド

 ・デイリーメイド:80%

 ・スティルルームメイド:80%

 ・メイドオブオールワーク



料理系は何度も書いていますが、当時のレシピに縛られることに意味があるのか、悩んでいます。どちらかというと、「料理」よりも「台所事情」ともいうべき、物資の流れや保管方法、責任者といった話の方が「他ではほとんど見ない」分だけ、面白いし目新しいと思います。



レシピやメニューだけならば、『英国ヴィクトリア朝のキッチン』や『シャーロック・ホームズの家政読本』で済んでしまいます。そうした「迷い」もあって、執筆は後回ししていますが、今回もPamera Sambrook女史の本に依存してしまっていますね。



ひとまず、料理系は読解を進めて視点を増やしつつ、今までに読んでいた情報で間に合う使用人一般の話を今週末の土日を目処に、書き上げるつもりです。労働条件と賃金は今までにも若干書いていますので、今回は一個人として暮らす使用人について目を向けていきます。



百年以上昔とはいえ、アルバイト経験や社会人経験のある人ならば、メイドさんが直面した孤独感や職場での喜び、困った上司、君臨する主人、仲間との葛藤、仲間に認められる幸せ、責任感と達成感、社会的に自立する意味という部分が、現代となんら変わらないと共感していただけるとは思います。



恋愛や結婚は当時のエピソードや、創作から拾い上げてきます。パーティは上流階級の資料を何冊も買っているものの、今回は盛り込みすぎる可能性が高いので、使用人視点での情報だけにすることになります。映画『ゴスフォード・パーク』を見直さないといけませんね。



という感じで、創作魂(調べ物?)に火がつきました。