ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

帝國メイド倶楽部向けに何か

毎回毎回、何かしら「これだ!」という英書を見つけ、その翻訳の抜粋を本巻の合間に出していましたが、今回は哀しいぐらいにネタがありません。制服系の資料(制服学部メイドさん学科で紹介されていた絶版本・英書)はあるのですが、整理するのが大変で、諦めました。



珍しいところでは去年の没ネタ「使用人による玄関での応接方法」なるマニュアルもあります。これは、「家にいても不在という権利がある」とか「この人だったら通していいよ」など、社交ルールにうるさかった当時を反映して、玄関で来客の応対に当たる使用人へのマニュアル本です。ただ、19世紀の文章なので正直なところ冗長で読みにくく、翻訳に苦闘して途中で匙を投げました。



「役立つもの」でかつ、「高いレベル」でなければならないと思いつつ、短編小説ならばコピーするよりオフセットのほうが安い、しかし印刷所は間に合わない、イラストのお願いもしていない……という状況下、「『エマ』ユーザ向けに何か紹介本……」と考えたのですが、このところ、『エマ』が盛り上がる以前から興味を持っていた「リピーター」の人向けに、あまり尖ったものを出せないでいます。



そこで、『AVOID BEING A VICTORIAN SERVANTS!』の冒頭にある、メイドについての解説を簡単に翻訳しようかと思いました。分量的にペーパー1枚で済ませます。ある種、『MANOR HOUSE』のRuleの焼き直しに近いかもしれませんが、メイドの仕事と価値観が端的に示されている文章ですので、コアな人でも初めての人でも読める内容かと思います。



「作れるもの=読み手が喜ぶもの」とは必ずしもいえませんが、一冊によくわかりやすくまとめられている同書への関心が高まるのを期待して、明日に翻訳を済ませます。なんとなくの勢いで作ります。50枚ぐらい配布する予定です。