ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

実在の使用人の整理と夏の新刊

冬に向けて総集編を作っている最中、過去に読んだ資料を見直しています。英語が得意で無い久我は基本的に、「そのとき必要な場所しか読まない」ので、他の場所で必要になるかもしれないエピソードを忘れてしまいます。



なるべくINDEX化しているのですが、そういう棚卸の意味も込めて、まず足元固めのために過去に読んだ使用人の手記を整理して、いっそのこと、「実在の使用人のマッピング」をしてしまうことにしました。



要するに、使用人の手記に出てくる「屋敷・主人・使用人(同僚)」を全部ピックアップして、手記を書いた本人を中心にしたネットワーク図を作ろう、という計画です。



今日はフットマン・フレデリック・ゴーストの『Of carriages and Kings』を斜め読みましたが、名前のある使用人は50人程度、登場しました。本当は個別に彼らのエピソードを紹介したいのですが、なかには名前しかない人もいるので、ひとまず何人かをメインに取り上げていくつもりです。ひとりで数エピソードある人もいます。



ゴーストが勤めた二番目の屋敷の執事、ミスター・リンは「主人の飼っている鳥を食べる」「ぐでんぐでんに酔って給仕をして叱られる」など、かなり面白い人です。そういうのを集めてみます。人軸にするのか、エピソード軸にするのかは整理してからにします。



比較的興味深いのは、「最初の頃の職場ではそこそこ人名を描いていた」のですが、最後の職場であるポートランド公爵家では、あまり人名が出ていないことです。王宮に仕えた仕事なので、不都合なことでもあるのかと邪推しましたが、実際のところは、「他の使用人と縁が無かった」のかもしれません。



ゴーストは公爵夫妻に仕えるフットマンで、他の使用人と協調して仕事を行う立場というには微妙な立ち位置です。また、公爵家の使用人は多すぎることもあり、個人同士の関係性は薄かったのかもしれません。彼のエピソードには主人、王宮の晩餐会の話や、同僚(フットマン)の話が多くなっています。



ゴーストの部分は終わったので、これから、マーガレット・パウエルの『BELOW STAIRS』にチャレンジします。それから、ロジーナ・ハリソンに繋ぎ、後は既刊の同人誌を整理すれば、かなり厚みを増すことになるでしょう。



フィクションの使用人(ドラマやマンガや小説)を混ぜれば余裕で百人ぐらいはいけそうですが、今回は資料性を重視して、実在に限って進めようと思います。



最近は忙しくてめちゃくちゃな感じですが、新刊は「準備号」だけではなく、久しぶりに資料性の高い(そして読み物としても役に立つ)ものを用意できそうです。



ちなみに、今回は職業と人名をピックアップするだけなので、速読をしています。コツは「大文字で始まる文字」を拾うことです。前置詞にLORDなどがついていたら主人たち、それ以外ならば地名か同僚である使用人の名前、という判断です。



でも本当に、データ化して欲しいです。人間による検索には限界があるので……