ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

資料収集はそこそこ順調

インプットが無ければ、アウトプットも無いわけで。アウトプットできるのはインプットしたものを蒸留して、時々濁りも入りますが、仕上げていく頃には数十分の一ぐらいには減っているのかなぁと。



資料面では、今まで日本にいる間は手がつけられないと思っていた「Oral History」について糸口を掴み、緩いレベルですが、何冊か関連書籍を入手することに成功しました。「資料本の参考文献」を当たるのは、精度が高いですね。



Google Booksをさまよいつつも、男性使用人の整理も徐々に進んでいて、残りはコーチマン・グルームとなりました。



以前はゲームキーパーの所におまけ程度に「ハンティング」(Hunting)を入れていましたが、調べれば調べるほど、実は「グルーム」の項目なのだと、学びました。



そもそもゲームキーパーの仕事とハンティングは両立しません。シューティング(銃撃での狩猟)の獲物となるキジや鳥たちは狐がいると、大量虐殺されてしまい、ゲームキーパーからすると駆除対象です。



ハンティングでは狐を狩るので一定数は保護しなければなりませんので、ゲームキーパーにとっては矛盾が生じます。Westminster公爵家のゲームキーパーの手記を読むと、彼らの領地Eatonでは狐狩りをしている様子はまったく無いのですが、別の資料を読むと、「公爵領の1/3は狐狩りに使われた」などと記されており、ゲームキーパーの仕事を語る際に、狐狩りの描写はまったく必要が無い、ということなのではないかと。



それが1点、もうひとつが狐狩りに使う馬はいわば「障害レース」に出るような訓練が必要であり、これはゲームキーパーではなく、グルーム(或いはハントマン)の仕事になるわけです。こちらの育成は結構大変で、競走馬のようにお金も人手もかかりました。



ということで馬の育成の部分で狐狩りの解説を行う方が妥当ではないかというところに落ち着きました。馬車の歴史や厩舎の歴史を振り返りつつ、諸々と詰めています。



夏の進捗はそのうちに。