ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

メイドブーム関連はひとまずここまでに

いろいろとメイドブーム関係を調べるうちに、「あまり詳しく無い領域」に足を踏み入れてしまいました。元々、「あまり詳しく無い方によって語られることへの釈然としない気持ち」があったことで書き始めましたが、自分が同じことをしつつある、というオチです。



結構、普段と異なる場所へ戦線を拡大しすぎた反省もあり、通常営業に戻りますが、書くことによって詳しい方のお話もうかがえたこともあり、後日、この辺りはしっかりとまとめてみるつもりです。(自分の力だけでは無理だとも分かったので、お力を借りられる体制作りを考えます)



メイドブームの終焉は「衰退」か、「定着」か

補足・メイドブームの断続性と連続性を考える

メイドブーム関係の言及をしている理由



リソースが限られている中でのことなので一旦は終了しますが、気になったことや今後につなげたい2つを挙げます。


日本で表現されるメイド服は、いつ「ヴィクトリア朝」的になったのか?



殻の中の小鳥』関連のリンクを探していたところ、下記サイトでメイド服についての言及があり、それによると、今で言うところの「クラシックなメイド服」ではないそうです。



『殻の中の小鳥』(DISCOVERY/Win95/1996)(2010/04/05)



ヴィクトリア朝をモデルとしているというので、てっきりそうなのかと思っていましたが、制服は違っていたというのです、というぐらいに、私はこの界隈に疎いので、語る資格は無いだろうと反省する次第ですが、私が『エマ』に出会った頃(2002年末ぐらい?)には既に確立していたと思うので、ここについては前述の「コスプレ・喫茶系」の影響でしょうか。



しかしここで強引に話を広げると、「日本で言うところの創作表現におけるメイド服の変遷」を知りたいなぁと思いました。どの作品でどんなメイド服が登場しているのか、「描かれたメイド服の歴史」というのでしょうか?



元々、メイドの雇用は世界各地に広がっていて、国によって微妙にメイド服のデザインも違います。香港のメイド事情を扱った資料本に掲載されていたメイド服(香港のショーウィンドウに陳列されている)は、1994年の撮影という注釈でしたが、明らかにヴィクトリア朝をモデルとしていました。(以前、若干錯覚してしまいましたが、日本のクラシカル的な服に近いです)



英国でメイド服が変遷してから数十年の歳月を経て、古いデザインの服を着せているようなところから、メイド雇用の速度というか、制服に求めているものが何かというところが可視化できると面白いかなぁと思いましたが、それと似たもので、「メイド作品」「メイド服」を時系列で整理すると、面白そうな気がしました。



同人誌で誰かが作っていそうですが……



と、ここまで書いてなんですが、年代別に描かれた作品から何かを読み取るのは、まさしくブラム・ダイクストラ『倒錯の偶像』のような。これは私の手に負える仕事ではないと思うので、どなたかにお任せしたいところではあります。(何度もすみません)


屋敷とメイドか、ヴィクトリア朝を扱った作品の系譜

年代別作品の発想につながりますが、どの時期にどの作品が放映・刊行されていたかも重要な要素なのではないかと思います。



たとえば、英国では1970年代に非常に強力なメイドイメージを生む使用人ドラマ『Upstairs Downstairs』が生まれました。1970年代・イギリスのメイドブームに対して作られた資料本(2008/05/16)について過去に書きましたが、年代別に周辺作品を洗ってみるのも面白そうです。



手始めに、英国ヴィクトリア朝・屋敷関連の資料を英書・和書で年代ごとに整理した一覧を、そのうち公開します。これにコミックスやマンガ・小説、そしてエロゲーなどを重ねていくと広がりが見えるのではないか、という考え方です。



こちらも部分的にどなたかがリストを作っていると非常に助かるのですが、私ができる範囲で、事実ベースで整理していければと思います。



自分が初めて「英国メイド(ヴィクトリア朝風)」と認識した作品は、なんだったのでしょうか? ちょっと記憶が曖昧です。『英国ヴィクトリア朝のキッチン』? 『名探偵ポワロ』のドラマで見たはずですが、1920年代以降なのでやや制服のデザインが新しいはずです。



デザイン的に『はいからさんが通る』が思いつきますが、英国風かどうか。ふと、漫画的にも、白と黒の基調の制服は映えて描きやすいのかなぁと思いました。