ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

発売から16週間経過と近況の振り返り

気がつけば、2010/11/11の発売から16週間(約4か月)を経過していました。本当は具体的な振り返りをしようと思っていたのですが、今のところ出来ていないので、もう少ししてからします。


在庫は安定期と思えるが補充されないケースも

この前、担当編集の方に販売部数/出版部数の数字を確認したところ、業界平均は知りませんが、個人的には高いように思えるので、しっかりと届くところに届いているようです。



反面、私が個人的に好きな大書店のいくつかで欠品したまま、全く補充の注文がないとも知り、ショックでした。一過性の本ではなく、少なくとも5年以上は残る本で、かつしっかりとこの手の本にしては売り上げを出している(=読者のニーズに応えている)つもりですが、棚を飾れない本だと思われているかもしれません。



完売して、しかし在庫があって補充されていないとなると、どうしたものかと思う次第です。入荷されれば棚に並べるけれども、常備するようなものでもない、と認知されているならば、もう少し書店の方に認知されるように、何かしらアクションは必要なのかと思います。そうした意味もあって書店・店員様向けの案内を告知するカテゴリを、サイトに新設を作成しましたが、もう少し伝え方を考えるつもりです。


アクション数の減少と今後の課題

このところしっかりしたアクションをできていませんが、「どうしたらいいのか」が見えにくくなっているのかもしれません。とはいえ、数字は物語っています。発売後は「長いテキストによる説明」に時間を費やしてきましたが、たとえばはてなアフィリエイトに見るように、「購入: 3人 クリック: 190回」と、クリック数は多いもの、まったく購入に繋がっていません。



私のAMAZONアフィリエイトID単位でも、クリック数が多く、購入されていないところも多いので、もう少し分かりやすさや具体的な効果を伝える1枚のページを作ろうかなと思う次第です。私の説明が多すぎてよく分からない、というところがあると思います。



私の認識として甘かったのは、「興味がある人は大勢いる」ものの、「3000円は興味本位で買うには高い」というところです。では、「興味本位で買っても3000円が高いと思わない」ような伝え方をできているかといえば、そこは今の数字を見る限り、出来ていませんので、ここを改善するとまだ変化があると思います。


読者の方の楽しみを広げるアクションもしていきたい

読者数の拡大に目を向けすぎているとも思うので、少なくとも今、読者となっていただいた方々が楽しめるようなテキストも書いていくつもりです。同人時代よりも多くの読者の方と接点を持てているのは、財産です。



そこでユーザーサポートというのでしょうか。元々、作品が増えて欲しいことや、一緒に楽しむ仲間が欲しい、好きを語れるインフラのつもりで『英国メイドの世界』を作っていますので、その機能を使える・楽しめるような方向での活動です。



具体的には最近更新しているようなテキストを増やすことや、今までやっているような参考書籍の紹介、そして時事的なネタに関連させていくことです。



パクストンから再考するガーデナーの役割とコスト感覚

パーラーメイドは屋敷案内をした? しなかった?

屋敷に仕えた執事に求められた4つの能力

ヴィクトリア朝の1ポンドって日本円でいくらぐらいですか?


伝わっているのは確実

同人の頃から同じで、「売り上げという数字」だけを見ていると、読者の顔や興味を持っている方個人個人の顔が見えなくなります。過去に書いた同人誌1トンを刷った経緯と部数決定のプロセスのサブタイトルは、"売れない「自分」だけを見ず、訪れた「読者」に学ぶ"でした。



数字以外に変化がないかといえば、まったくそんなことはありません。ネット上では感想を書いて下さる方も増えていますし、プロの作家・イラストレーターの方々が『英国メイドの世界』を講談社版だけではなく、実は同人版から買って下さっていたとの話も聞き及んでいます。



同人や創作をされる方にも届いている印象を受けるので、自分の素材が誰かの材料として使われることは幸せなことでもありますし、自分も負けていられないとも思います。もちろん、「資料本」「学術書」として伝わることで、「物語を作りたいわけではないから、必要ない」と判断される面も多分にありますが、この辺りは自分の伝え方で変えていけると思います



それに、書店で応援して下さった店員の方々や、この本を買ってから知人に推薦してくれたり、我が事のように本を見守って下さる方もいらっしゃるのを知り、大変嬉しいです。世の中的な数字で言えば大きなものではありませんが、大きくなければこそ見えるものがある、とも感じます。



はてなキーワード・英国メイドの世界を見ると、言及している自分の率の高さに驚きますし、反省もしました。



今の自分に必要なのは焦らず、地道に広げていくこと、そして読者の方が知人に伝えたくなるような価値を今後も提供していくことなのかと思います。そういえば、同人版の『英国メイドの世界』も、「友人のために」と複数冊買っていったり、「友人が持っているのを見て」と買いに来る方とも出会いました。



思い起こせば、同人時代に出会った方々へ「今、お陰様でここまで出来るようになりました」というのをお伝えする意味も、出版には込められています。同窓会というのか、今の自分をお伝えする、というのでしょうか。



他の人に、好きを伝えやすい・シェアするきっかけとして使ってもらえればとも思います。



数字を見つつ、足元を固めつつ、今、手元にある価値を忘れずにいたいなぁと、自戒を込めてのテキストとなりました。