(PDFで第一章すべて立ち読み:約23MB:http://spqr.sakura.ne.jp/data/EikokuMaid_Web1.pdf)
お陰様で、講談社BOXより刊行した『英国メイドの世界』は1歳を迎えることが出来ました。今までにお買い求めくださった読者の皆様、心よりお礼申し上げます。多くの縁にも恵まれて、自分にとって「出産」にも等しい一冊でしたので、このように無事に2年目を迎えられたことにも感謝いたします。
出版の時の目標は、「常に新しい読者・未来の読者が本を入手できる環境を用意するため、絶版を避けるための最大限の努力をする」でした。刊行後の返本もありましたが、今でも書店で見かけるとの声をうかがったり、自分でも見る機会があるので、この目標は果たせていると思います。
「産休」のように、この本を書くために正社員として勤めた会社を辞めたのが2年前です。
出版決定後、仕事と執筆を半年続けたものの、出版社との約束の期間に間に合いそうもなく、どちらもダメになりそうだったので、出版を優先して半年とリミットを切って専念しました。しかし、出版の作業は想定以上に膨らみ、転職活動をしようにも出版が終わっていない状況では中途半端でした。
そこからが本当に大変でしたが、自分の将来に繋がる経験を積めるだろうと、仕事で培ってきた経験や伸ばしたい領域の実践も行ってきました。出産のために会社を辞める女性の再就職が難しい、出産での休みをどう評価されるか、というところと似た体験を積んだと思いますし、そういうこともあって夏の同人誌『英国メイドがいた時代』は、育児環境や労働環境にも踏み込んでいます。
自分も本も、リアルに生き延びたというのが出版前、出版、そして現在に至るまでの正直な感想でしょうか。という話を書こうと思ったのですが、今の職場でようやく落ち着き始めた頃でありつつ、冬コミ原稿に追われるタイミングのため、なかなかブログでの更新ができていませんので、ざっくりとした振り返りとして、1年間で『英国メイドの世界』が経験した主だったものを書き連ねます。
2.Amazon本全体で31位・bk1で3日間売上1位・ネットでの売れ行き好調
書店(オンライン含む)でのランキング調査・定点観測(2011/11/16)
出版社の方ともお話ししたのですが、この本はネットでの売上比率が他の本よりも高かったようです。これもウェブにおける定期的な情報発信や、ニュースサイトなどで取り上げていただいた過去の同人活動などのバックグラウンドもあってのことだと思います。
爆発的なヒットというわけではありませんが、この手の本としては適度に欲する方に見つけられやすい、目に入りやすいポジションにいるのかとは思います。私は、「見つけてもらわなければ評価もされない」と考えますし、「一生懸命作ったし、かかわった方も含めて努力が報われるように、著者が読者の方々の視界に入るように宣伝をする」のは自然だと思っています。
出版した本に1日でも長く生きてもらうため、著者に出来ること(2011/01/16)
実数ベースでは90冊、私のアフィリエイトIDで販売しています。これも『英国メイドの世界』が大書店を含めて1店舗に入荷された数を凌駕するものではないでしょうか? 逆に、これだけ努力をしたつもりでも、書店での売り上げは中心となっています。著者がコミットできないものの、売って下さっている書店の方たちがあってこそ、自分の本が読者の方たちと出会えていることも実感しました。
余談ですが、Amazonランキングの体感値としては、1冊も買われない期間が長く続くと10万位以下へと落ち込んでいきます。1冊買われると多分、2〜5万位台となっていき、やはり時間経過でどんどんとランクが落ちていく印象です。
3.著者がラジオ出演&マンガにこっそり&ラノベの参考文献に&本がテレビに映る
最後は、メディア露出的なものです。
残念ながら「新聞・雑誌メディアの書評・紹介文」に掲載された様子は一切ないのですが、まず一番大きなものは、水樹奈々さんのラジオ番組にゲスト出演したことです。FM-TOKYO『水樹奈々のMの世界』のメイド対談を振り返って(2011/10/09)に感想を記しました。素人だったので緊張しまくってしまいましたが、出ること自体に意味があったと思います。
偶然、番組プロデューサーの方が『英国メイドの世界』の帯にある鶴田謙二さんのイラストで私の本に目を留めた、という経緯があったとのことでした。鶴田謙二さんのおかげで生まれた縁です。
次に、星海社・最前線『非実在推理少女あ〜や』のメイド喫茶モデルがシャッツキステ(2010/12/19)で言及しましたように、『非実在推理少女あ〜や』の作中で『英国メイドの世界』が登場しています。
さらに最近では、
NHK『
MAGネット』第47回「
ライトノベル」に登場された方の本棚に『英国メイドの世界』があったと教わり、ご本人にお礼をお伝えしました。
Twitterのこういうところは大好きです。
そして、やはり
Twitterで気になるタイトルを呟かれているfollowerの方から「
ラノベの参考文献」になったと伺いました。教えて下さった方、そして著者の方、ありがとうございます!
自分の活動は、野菜を作るようなものだと何度か述べてきました。生で食べても、私が調理して出すものでも楽しめますが、他の方が調理出来る素材であると思っています。元々、この「野菜」が好きなので、調理された「料理」をご存知の方、是非、お伝えください。
2011/11/18追記
著者のおかゆまさきさんから、このブログのエントリと『英国メイドの世界』をご紹介いただきました!
本当に、この本を出版できてよかったです。
終わりに
ゲームの世界と違って、現実世界ではなかなか結果が見えにくく、何を経験値としてきたのかを自分でも分かっていないこともあります。ひとまず、書くことを通じて「何があったのか」を記録して振り返り、自分の本がどのような体験を積んできたのかを可視化できたと思います。
これがすべてではありませんし、まだまだ把握できていないものもありますが、ある種、子どものアルバムみたいなものかもしれません。また、私は生涯で何十冊も本を刊行するとは思えませんので、この一冊を大切にして、時間をかけて育てたいです。
手短に書くつもりでしたが、長くなってしまいました。
時代は追い風に思います。
メイド(服)がテレビCMに進出する時代(2011/10/23)
そして目指すところは、2010年を振り返る&2011年への抱負に記した、「認識を変えて世界の見え方を、目に映る色彩を増やしたい」というところですね。
今の読者の方々にもこの「輪」を広げていただけるよう、趣味を話せる方が繋がっていくようなところでご支援いただければ幸いです。引き続き同時代性や話題や、「メイドを普通に話せる」環境の構築に尽力したいと考えますので、よろしくお願いいたします。