ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

一般人が英語の資料を軸に研究をしていて気づいたこと

使用人関係の英書参考文献を大量に購入して読んでいますが、読み込みに時間がかかることが多いです。根本的には単語力の問題で、辞書を引く時間で思考が飛んでロスすることにもなるんですが、そのこと自体はあまり重く見ていませんでした。強くそれらを実感したのはガーデナーとゲームキーパーのところで、育成していた花や植物、それに狩猟の害となる獣の名前が、あまりにもわからず、単語帳を作りました。



だいたい使用人の歴史や扱うトピックスの概要は理解しているので、専門用語が出なければ、単語を読み飛ばしても大きな問題になりませんが、長くやっていても劇的にスピードアップした気がしませんでした。ガーデナーのように「そもそも、日本語でも詳しく知らない名詞」ならば気づきやすいのですが、それ以外にも、細々とした単語を調べてもいたので、時間はかかっていてました。



英語の根本的な読解力が上がっていないなぁと悩んではいたものの、なんとかなるやとやってきましたが、最近になって、根本的な原因が分かった気がしました。それは、ある試験を知ったことがきっかけでした。



最近英語勉強の目標を失っていたので、友人のススメでTOEICを受験することにしました。生の力が知りたいので事前勉強はしていませんが、「イギリスで屋敷を調べたい・研究したいと望んだとして、留学に必要な語学力は何か?」と思って調べたところ、TOEFLに遭遇しました。



そこで幾つかページを見つつ、その後、書店で単語集を見ていたところ、愕然としました。ページでも読んだはずなんですが、英単語が学問の系統(天文学、自然科学、歴史など)ごとに分かれていたのです。先方の大学で授業を受ける前提なのですから、先方の大学授業で必要な英単語は専門的になって当然ですが、ここでようやく、自分の英語読解が成長した気がしない理由を理解しました。



要は、大学の先生が使う専門的な言葉、学問を学ぶ人間にはその方が伝わりやすい単語という基礎が、自分にはなかったのです。自分が今までに読んできた本はそのほとんどが引用をしっかり明記した、その業界向けの人に向けられた英書です。そのことを自覚していなかったので、ある意味、筋力を鍛えずに、身体を作らないアマチュアが、根性だけでプロスポーツに参加しようとしていたようなものです。



とはいえ、実際にそうなのかはこれから次第でもありますが、確かに難しい言葉ばかりを辞書で引いていた気がします。時々覚えていたそれを英会話学校で使い、「?」という顔をされたこともありました。



「資料読むのを優先」して、基礎的な単語力を見直すということを考えもしませんでしたが、ひとまず、英語力を伸ばす目標として、TOEFLを軸に専門性の高い英単語を身につける時間を作ることにしました。本来的には辞書を引く度にすべて覚えるのが効率的ですが、資格試験で「自分の成長を見たい」気もするので、そこは試験用の単語集を軸にやることにしました。



大学で専門研究もせず、社会に出てから趣味の延長で我流にてやってきましたが、流派どころか考えていなかっただけなので、少し自覚的に勉強方法を変えてみます。多分、大学のゼミにでも入れば、当たり前に気づくことなのでしょう。急がば回れです。(使用人の手記というものも、もしかすると時代的なものや、文法的にいろいろと読みにくい要素があったりもしそうですが、そういうことすら知らないわけです)


『THE ハプスブルグ』を見に 国立新美術館へ

今日は休みだったので遠出をしようかと計画していましたが、ふと『THE ハプスブルグ』が今日始まったのを思い出し、行ってきました。この機会を逃すと、もう行かなさそうなので。



http://www.habsburgs.jp/


国立新美術館は初めての来訪でした。あの建物が立つ前の六本木やあの辺りの公園の風景を知っていたので、「地形が変わった」ショックがありました。久我が知っている頃は六本木への直通路が無かったんですよね。そういう懐かしさもあったので、六本木ではなく、青山一丁目から歩いていきましたが、暑い……昔あったはずの保健所も無くなっていて、警察署になってました。



初日と言うことで若干込んでいる印象がありましたが、目玉は皇妃エリザベートです。久我は100年以上前の女性の衣装、特に緩やかなラインを描くスカートが好きです。ハウス世界名作劇場宮崎駿作品の影響ですが、肖像画や絵画に描かれたそうした絵を好んでいます。いろいろと探していくと、必ず辿り着くのは皇妃エリザベート肖像画です。ヴィンタハルターはヴィクトリア女王も描いていて、宮廷画家としては最高峰の人です。



今回のような機会が無ければ多分、二度と実物は見られないと思うので(ウィーンにこの先行くとは思えないので)、しっかりと目に焼き付けたつもりです。他にも幾つか有名な画家の絵が来ていましたが、2つ興味深かったことがあります。



ひとつは塩野七生さんの中世イタリア小説で出てきた女傑イザベラ・デステの肖像画に期せずして出会ったこと。名前を見た途端、思い出しました。彼女の肖像画がウィーンの美術館にあるのも驚きでした。



もうひとつは肖像画として「鍵」をぶら下げている人がいたことです。ハウスキーパーが鍵をぶら下げていることが権威の象徴であり、他の国でも似た風習があるとうかがったことがありますが、この鍵をぶら下げていた人は王宮の貴重品を預かる人だったらしく、信頼と地位の証としても使われていたのだなぁと。



他に面白かったのは明治天皇オーストリア皇帝に寄贈した画帖です。同じ美術館にあると、東西の文化の違いというか、色彩の使い方や絵の描き方の違いがより際立って、日本の絵の華やかさと繊細さが伝わってきて、当時初めてこの絵を見た人たちはどんな気持ちになったのだろうかと、想像しました。色が綺麗でしたし、大切にされていたのだなぁとも感じました。



他の工芸品も見たことが無いものが多くて新鮮でしたし、フルプレートの鎧が意外と小さかったり、良い髭オヤジの絵が沢山あったので、エネルギーを充填しました。あれ、緩やかなラインのスカートを見に行ったはずなのに……



ショップはザッハトルテ?が売っていたり、様々に商魂たくましい品々が置いてあったりしますが、これも楽しみの一つですね。


いろんなことがありすぎて忘れていることばかり

4月から環境が変わったのと、入稿やら何やらで、『Lark Rise to Candleford』第二期を見るのをすっかり忘れていました。3話目ぐらいまで見たような。



『ハリー』6を見に行きつつ、村上リコさんのブログで見た『エンバーミング』2巻を買いつつ、ドラマを見るのであります。



他にも何かを忘れていそうです。あ、思い出しました。