ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『THE ハプスブルグ』を見に 国立新美術館へ

今日は休みだったので遠出をしようかと計画していましたが、ふと『THE ハプスブルグ』が今日始まったのを思い出し、行ってきました。この機会を逃すと、もう行かなさそうなので。



http://www.habsburgs.jp/


国立新美術館は初めての来訪でした。あの建物が立つ前の六本木やあの辺りの公園の風景を知っていたので、「地形が変わった」ショックがありました。久我が知っている頃は六本木への直通路が無かったんですよね。そういう懐かしさもあったので、六本木ではなく、青山一丁目から歩いていきましたが、暑い……昔あったはずの保健所も無くなっていて、警察署になってました。



初日と言うことで若干込んでいる印象がありましたが、目玉は皇妃エリザベートです。久我は100年以上前の女性の衣装、特に緩やかなラインを描くスカートが好きです。ハウス世界名作劇場宮崎駿作品の影響ですが、肖像画や絵画に描かれたそうした絵を好んでいます。いろいろと探していくと、必ず辿り着くのは皇妃エリザベート肖像画です。ヴィンタハルターはヴィクトリア女王も描いていて、宮廷画家としては最高峰の人です。



今回のような機会が無ければ多分、二度と実物は見られないと思うので(ウィーンにこの先行くとは思えないので)、しっかりと目に焼き付けたつもりです。他にも幾つか有名な画家の絵が来ていましたが、2つ興味深かったことがあります。



ひとつは塩野七生さんの中世イタリア小説で出てきた女傑イザベラ・デステの肖像画に期せずして出会ったこと。名前を見た途端、思い出しました。彼女の肖像画がウィーンの美術館にあるのも驚きでした。



もうひとつは肖像画として「鍵」をぶら下げている人がいたことです。ハウスキーパーが鍵をぶら下げていることが権威の象徴であり、他の国でも似た風習があるとうかがったことがありますが、この鍵をぶら下げていた人は王宮の貴重品を預かる人だったらしく、信頼と地位の証としても使われていたのだなぁと。



他に面白かったのは明治天皇オーストリア皇帝に寄贈した画帖です。同じ美術館にあると、東西の文化の違いというか、色彩の使い方や絵の描き方の違いがより際立って、日本の絵の華やかさと繊細さが伝わってきて、当時初めてこの絵を見た人たちはどんな気持ちになったのだろうかと、想像しました。色が綺麗でしたし、大切にされていたのだなぁとも感じました。



他の工芸品も見たことが無いものが多くて新鮮でしたし、フルプレートの鎧が意外と小さかったり、良い髭オヤジの絵が沢山あったので、エネルギーを充填しました。あれ、緩やかなラインのスカートを見に行ったはずなのに……



ショップはザッハトルテ?が売っていたり、様々に商魂たくましい品々が置いてあったりしますが、これも楽しみの一つですね。