ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

階級にとりつかれた人びと

階級にとりつかれた人びと―英国ミドル・クラスの生活と意見 (中公新書)
ヴィクトリア朝関連で書籍を探している時にアマゾンの推薦で見つけました本です。イギリスの資料を読んでいると、「中流階級」には、上下があることに気づきます。真ん中はさておき、アッパー・ミドルクラスと、ロワー・ミドルクラスです。上・中流階級と、下・中流階級、と直訳すればそんな感じですが、この本はイギリスにあるこうした階級の差による、様々な文化や文学、表現を紹介してくれます。



メイドさん関連の話題で言うと、一人ぐらいしか雇えない・無理をして雇おうとするのが「ロワー・ミドルクラス」、それ以上を雇えて上流階級に近いのが「アッパー・ミドルクラス」という区分になるかと思いますが、使用人階級を「下層階級」(文章の中ではワーキングクラス)として、その階級がどう見られていたかなどの話も出ています。



具体的に言うと、これまでに取り上げてきた『比類なきジーブズ』『日の名残り』『ハワーズ・エンド』など、様々な作品の中にある階級的な描写について丁寧に説明してくれていて、そういう視点で見るということすら知らなかったので、新鮮な気持ちになりました。



使用人というワーキングクラス内でも、上級使用人と下級使用人がいるぐらいです。「メイドの制服が発展したのは、増加した雇う側の人々が、その使用人たちの階級に近い人だったから」との知識は知っていましたが、その近さ・距離感というものを、実感できる本なのではないかと思います。



使用人関連の内容にもそれなりにページ数が割かれていました。



もうひとつ、似たような本で『不機嫌なメアリー・ポピンズ―イギリス小説と映画から読む「階級」』というのもあるようなので、これも買おうかなと思います。彼女もメイドですから……
ASIN:4582852734:IMAGE


アニメ版『エマ』を何話か見た時点で、「生活レベルの違いはあるけど、階級差が伝わらない」とちょろっと描きましたが、この本を読むと、より『エマ』の背景世界が理解できるでしょう。それが面白さを増すかは別問題ですが。



こうした本の傾向として、どうしても研究者がいるジャンルの学問の領域に限られる傾向がありますが、多岐にわたる本も紹介してくれるので、値段の面でもいい本です。ただ、紹介されている参考文献がほとんど未訳かもしれないので、その点の障壁を越えるのは大変そうです。


衝動買い

イギリスのアマゾンでDVDをかなり買い込みました。イギリスのAMAZONですと1枚5.0ポンドぐらいで安く、送料を入れても、いい値段で買えます。下手な和書より参考になりますし、日本で絶版になったトマス・ハーディの映画もあったので、楽しみにしています。



ちなみに、今視聴しているのは、ナースメイド3人が主人公の連続ドラマです。『Upstairs Downstairs』になぞらえられている、ようでもあります。かなりイベント盛りだくさんで、面白いです。



なんだかんだで、忙しいときの方が集中できるんでしょうね。


WEB拍手

書き込み、ありがとうございます。



今時点では同人イベント(次回は受かっていたら夏コミとコミティア)でしか、頒布しておりません。ただ、さすがに時間の経過があったり(1巻の刊行は2001年)、書いた頃には無かった知識も増えていますので、時期は未定ですが、1〜2巻の総集編を出すつもりではいます。そちらは、『とらのあな』で委託できれば、したいと思います。



外伝1と外伝2は完全にイベント向け(委託してもらえるか不安。方向性が突き抜けていて、手にとって見てもらう必要性が高い)なので、こちらは委託をしていません。



以上の点、ご了承下さい。

興味をお持ちいただき、ありがとうございました。




ありがとうございます。久我はファンタジーが好きだったので中世とか近世とかの生活にも興味がありましたので、似た流れかもしれません。ここで何か、楽しみの幅を広げるのにお役に立てたら、と思いますので、今後ともよろしくお願いします。