ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『不機嫌なメアリー・ポピンズ』





前回『階級にとりつかれた人びと―英国ミドル・クラスの生活と意見』を読んだ時に紹介した関連本を今更読みました。同じ作者(今は『げんしけん』キャンパスの舞台として知られる大学:久我の母校の先生)なので、『階級にとりつかれた人びと』と視点はほぼ同じです。



前回との相違では、「よりわかりやすい」ことを目的にし、容易に見られる・入手できる「映画」「小説」のひとつひとつをタイトルに、階級差を意識させる部分の解説を深めています。



前回はある事象について関連するものとして参考文献や事例の紹介がありましたが、今回は作品軸なので、その作品を見ることによって、そこに表れる階級意識がわかりやすくなります。本当、あちこちに当たり前のようにちりばめられています。



特に面白かったのは、「使用人も役割を演じる」という箇所です。今回の本はイギリス的階級の象徴としての「使用人」を中心にしており、タイトルの『メアリー・ポピンズ』にも、それが出ています。



また、言葉・発音にどれだけ階級を示す要素があり、それが映画化や翻訳や翻案でどれだけ原作の要素を損なうのか、という部分についても、面白いですね。『英国カントリーハウス物語』には、20世紀のあるイギリス貴族が財産を失い、使用人として働くことになるものの、発音が立派過ぎて「解雇される」などというエピソードもあるぐらいです。



文中に出てきたミットフォードの話は、後日書きます。


『レベッカ』

ヒッチコックの作品です。『不機嫌なメアリー・ポピンズ』で、「完璧に見える前妻と、ハウスキーパーと戦う後妻」という構図で紹介されており、面白そうなので買いました。まだ見ていません。



レベッカ [DVD]



AMAZONでは在庫切れになっていますが、安売りDVD(1500円ぐらいでしたか? セール品)で店頭に行けば置いてあるかと思います。



ついでに、見たかったドストエフスキーの『罪と罰』も入手です。



罪と罰 [DVD]



こちらは以前から見たかったもののレンタルビデオに無く、仕方なく借りたのが同名の『罪と罰』。ところがこの映画は作成された年代に翻案されていて、ラスコーリニコフもソーニャもイメージが違ってがっかりしてしまいました。



罪と罰 [DVD]



ストーリーも今ひとつで、舞台となっている国の事情を知っていれば見方は変わるかもしれませんが、ドストエフスキーファンには嬉しくない作品でした。



前者の、今回買った方はソビエトで1970年に作成されたものなので、個人的には「背景世界の描き方」に大注目しています。元々ロシア小説、特にドストエフスキーのバランスの悪い生活描写が大好きなので、期待しています。


DVD『ネバーランド』発売記念&『英國戀物語エマ』

ジョニー・デップが主演した映画『ネバーランド』のDVD発売を記念して、英国政府観光庁が「ウェッジウッドのマグカップ」をプレゼントしてくれるそうです。詳細は公式サイトへ。



http://www.amuse-s-e.co.jp/neverland/



明後日はいよいよ『エマ』のイギリス村ツアー(不参加ですが参加する人のレポートは楽しみにしています)。そう思って公式サイトを見ると、BIGLOBEで無料配信放送をしているとか。そして、ここにもプレゼント情報が!



http://character.biglobe.ne.jp/campaign/019/present.html



あとhttp://www.emma-victorian.com/公式サイトによると本日、28:05(午前四時ですか)から、TBSで『英國戀物語エマ』の特別放送があるみたいですね。まったく原作を知らない友人たちに強く薦められるか、というのは自分にとっての大きな評価基準ですが、結局、アニメとしては自分の中のone of themに終わってしまいました。



第五話が自分にとっていい作品だったと思いますが、回を追うごとにスタッフと自分が乖離していったのか、書きたいことが無くなりました。気持ちが乗っていると、「書かずにはいられなくなる」んですね。贅沢を言えば際限が無い、というところです。



少なくとも同人とはいえ、同じヴィクトリア朝メイドジャンル、表現手段は違えど、価値を伝えられる作品を作れるように、研鑽していきます。



明日は『逆境ナイン』。男球って来ます。