ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

入稿準備完了



結局、4人の友人に校正してもらえました。全員が「メイドさんスキー」というわけではないので、「少しは興味があるものの」という、自分にとっては最も近いライトな読者層になっています。



その中で、全体の流れとして焦点がぼやけているというか、情報の出し方や内容で、伝わりにくいもの・わかりにくいものの指摘を受けました。



初期に思い描いていた設計が変更されたり、個別に文章を作っているので、なかなか俯瞰してのものづくりが難しいので、こうした指摘は貴重です。長い間、制作を続けていると段々と「自分の知識が基準」になってしまいがちです。



今回、読者の方に「優しくない」翻訳が含まれています。章立てとして最初に持ってきましたが、友人たちから「読みにくい」と言われ、三番目に配置し直した翻訳「使用人の食事」です。実際に、あまりにも原文の文章構成がひどく、同じ用語・冗長な表現の繰り返しが続き、読みやすくするには「完全に作り変える」必要がありました。さすがにそこまで手が回らず、どうしたものかと悩みました。



結局、『英国ヴィクトリア朝のキッチン』で使われたという資料的価値を考えました。今までに作ってきた同人誌の内容を理解している、或いは同じように研究している実数不明、非常に限定的な読者向けと位置づけ、掲載に踏み切りました。



本編は小説+解説というフローで、わかりやすさを、そして自分の言葉での解説を心がけていますが、外伝は位置づけが難しく、「初めて読む人にも楽しめる」作りを目指しながらも、「冬の本編を作る自分自身の為」にも作っています。「伝えたい情報」と「伝える必要はないものの、参考文献として必要な情報が記されているもの」が今回は混在していますが、なんとか、無難な形では終われそうです。



あと、今回は巻末に短編集を2本載せていますが、巻末掲載なので現地ではそこまで目を通してもらえないかもしれません。この小説が含まれて、ようやく資料とのバランスが取れるので、ネットで冒頭部分だけでも公開しようかなと思います。入稿後に、この作業を行います。