ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

DVD『Lillie』

DVDを3話まで見ました。正しく「待ち望んでいた上流階級」の映像でした。ロンドンに出た彼女が誘われて社交の舞台に出ると、「J.E.ミレイ」(大好きな作家です)や「ホイッスラー」、「フレデリック・レイトン」という、当時を代表する画家たちの目に留まり、あっという間にモデルとして「愛される」ようになります。その上、オスカー・ワイルドまで現れ、彼女の美を讃え、礼賛者の一人になります。(オスカー・ワイルドの発音は、『Brideshead Revisited』に出てきた唯美主義者の人と同じような感じで、あれがイギリス的な『唯美的発音』なんでしょうか?)



彼女が出合うほとんどの人は「Lord」や「Lady」で、本物の上流階級が盛りだくさんです。その上、ヴィクトリア女王の長女で、後のドイツ皇帝の母になるルイーズにも面識を得て、彼女は一気に社交界の中心になります。その一方、旦那のエドワードはすっかり蚊帳の外で、趣味はヨットにフィッシング、芸術家たちに話を振られてもとんちんかんな回答しか出来ません。



そして、社交の華になった彼女は、ついに、後の「エドワード七世」、「プリンス・オブ・ウェールズ」との邂逅を果たし、パーティの中心でふたりが踊る、というところにまで到達するのでした。ひとりの美しい人が如何に社交の世界に君臨するか、愛されるか、徹底的に描かれています。今までに見た映像の中では、抜群に「貴族」「上流階級」の社交を描いているドラマです。



メイドさんは、出てくるには出てきましたが……侍女の名前は「ドミニク」。そう、スペイン人です。結構、粗野というかワイルドというか、まぁそんな感じです。



彼女は女優になるようなので、今後の展開も楽しみではあります。



貴族の衣装やドレス、「社交」を知りたい人には、オススメできる映像です。セットが「眩しいほどゴージャス」ではないように思えるのが、玉に瑕でしょうか。