ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『ドラキュラ紀元』&『ドラッケンフェルズ』

ドラキュラ紀元 (創元推理文庫)
この『ドラキュラ紀元』はヴィクトリア朝の著名人物を網羅するかのごとく勢い(実在・空想問わず)で登場させ、読んだ当時はまったく元ネタわかりませんほどにすさまじくペダンティック、そして情景描写はファンタスティック、シナリオ構築も凝っていて、面白いです。



原作者のキム・ニューマンは過去にジャック・ヨーヴィルと言う名前で、この『ドラキュラ紀元』の源流になる作品、『ドラッケンフェルズ』(ASIN:4042746012)という、TRPGウォーハンマー』の世界を舞台にした、同じくジュヌヴィエーブが主人公の作品を書いています。



さすがに源流だけあって、映像化はして欲しくないほどに凄惨で痛々しい描写が目白押し、徹底した表現力が証明される作品です。そもそもこの原作本の存在を知ったのは、角川書店刊行の『コンプRPG』です。そのあとがきで「キム・ニューマンという名前で今度は新しい作品を出す」とのことで、買ったのが前述の『ドラキュラ紀元』。



分厚い『ドラキュラ紀元』を買った当時はほとんどヴィクトリア朝に興味が無かった、というのも奇縁といえば奇縁ですね。続編は段々筆者が壊れてきて、文章を視覚化しようとすると、苦笑を禁じえない描写も多々出てきます。



尚、『ドラッケンフェルズ』の方は絶版ですが、表紙絵は山田章博さんですし、『ドラキュラ紀元』とTRPGが好きな人は、古本でもお買い得かもしれません。



13年前、10年前の刊行とは……初版で買いましたとも。はぁ……