ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『エマ アニメーションガイド』3巻

『エマ アニメーションガイド3巻』を買いました。『エマ』アニメ版に感じていたもの、自分の作る本との相違を、アニメーションガイド巻末の「参考資料」を見て、認識しました。それは、『エマ』のアニメ版は「使用人資料が少ない」点です。



久我はメイドや、働く使用人が好きです。だから、様々に当時の人たちの残した声を、彼らの記録の向こう側に見える姿を、追い求めています。この為、何かしら参考文献で当時の使用人の声や手記が出ていたら、その原書が無いか、探しています。



アニメ版『エマ』の参考資料を見ると、メイドについて扱った本が非常に少ないです。当時の事物の再現性に重きを置き、メイド以外のヴィクトリア朝要素を強めていたり、ヴィジュアル中心になっています。メイドは風景であって、読者に提案される価値・発見ではなくなってしまったように思えます。



『エマ ヴィクトリアンガイド』との重複を省いたとのことですし、確かに『ヴィクトリアンガイド』には数多くの使用人本が出ていますが、それでも、突き刺さるようなエッジの効いた「メイドに限定した」資料が、見当たりません。



参考文献の違いは、料理の材料の違いです。同じ「イギリス料理」「フランス料理」「中華料理」であっても、それが違えば、味は違います。「同じヴィクトリア朝メイド」と呼ばれるものを追い求めながら、こうした差が生まれるのは、面白いですね。