最近、『ローマ人の物語』3〜5巻を読み直しました。最初に読んだのは学生時代、次に読んだのは二十代後半、そして今現在三十代に入ってから、三度目です。大変興味深いのが、自分自身が変わったからか、以前気づかなかった言葉が響くのです。
以前は「人は自分が見たい現実を見る」との言葉が響いていましたが、塩野七生さんがユリウス・カエサルを書くに際して、4巻の冒頭で選んだ言葉が、今の自分にはしっくり来ました。
「文章は、用いる言葉の選択で決まる。日常使われない言葉や仲間うちでしか通用しない表現は、船が暗礁を避けるのと同じで避けなければならない」
『ローマ人の物語』4巻(新潮社・塩野七生) 冒頭より引用
わかるように伝えるのは難しい、コミュニケーションこそが重要です。ネットでは書いた情報が自分の意図しない形で解釈されることもままありますが、どのように伝わっているのかを数万のブログで自著の感想を見たという梅田望夫さんの気持ちが分かる気がします。
子供の頃に、高校時代に、読んだ本を読み直すのは大切です。中には「どうして面白いと感じていたのか?」と思う本もありますが、「こういう意味だったのか」と感じることもしばしあります。
そして不思議なことに、明日はユリウス・カエサルが暗殺された「3月15日」です。
と言う真面目な話っぽいものとちょっと違うのが、『名探偵ポワロ』の話題です。
久我が好きではない新シリーズ。そのセカンドシーズンで、寡黙なフットマン?執事? ジョージが登場します。そのジョージ、購入したDVDのパンフレットを見ると、15年以上前に放送した『名探偵ポワロ』第二話「ミューズ街の殺人」に登場した、殺された女性の婚約者役の男性とのこと。
そうして第二話「ミューズ街の殺人」を見直してみると、髪の色が白髪に変わっていますが、確かに同じ人物でした。元々、久我がイギリスに興味を持ったきっかけはこの『名探偵ポワロ』です。
「ミューズ街」が何を意味するか今はわかりますし、それに、第一話「コックを探せ」も、コックとメイドが出てきたところも、今の知識に基づいてみると、違った趣があります。作品は変わらないまま、ただそれを見る人が変わる、ですね。
と言うのを昔も書いたような気がして振り返ると、ドラマ『名探偵ポワロ』(2005/04/09)にも、似たようなことが書いてありました。
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1995/09/01
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