同人誌『英国メイドの世界』を、手塩にかけて育てた自分の箱入り娘のようなものです。この状況をヴィクトリア朝社交界になぞらえてみました。
校正してくれた友人たちは温かく見守ってくれた優しい叔父様たちでしょうか?(本人たちはこの表現を嫌がりそうですが)
そして、表紙のイラストとデザインを手がけてくださった方々は、社交界の舞台に出る為の立派なドレスや装飾品を仕上げてくれたデザイナーと言えるでしょうし、参加して下さったゲストの方々によって多様な教養、マナーやダンスなども教え込まれたのでしょう。
デビュッタントとなり、最初のお披露目はもちろん、王宮(的な規模であるコミケ)。氏素性も魅力も知る人ぞ知るというレベルですが、しばらく後に参加したパーティの踊りの相手が有名な方で(アキバBlog様)、「あの方と踊ったならば」と、連日のパーティの誘いがひっきりなしになったのが最近の相次ぐ完売、と重なります。
その上で、「実はお姉さんたちもいるんですよ?」というのが既刊の再委託ではないかと。末娘が華やかな光を浴びることで、目立たなかったお姉さんたちも再評価されてパーティに誘われるようになった、とも思う次第です。
が、末娘が最もすごいかと言えば、そうでもありません。
販売部数を整理していて気づいたことがあります。実は『英国メイドの世界』は、まだ『ヴィクトリア朝の暮らし1巻 貴族と使用人』の頒布部数をわずかに抜いていません。1巻は足掛け5年ぐらい頒布していましたが、資料本の性質上、色あせず、出続けました。
八年かけて作った本でなければ超えられなかった1巻を褒めるべきか、その記録を1ヵ月半で抜きそうな『英国メイドの世界』を褒めるべきかわかりませんが、長く活動していると面白い数字も出てきます。
実際は「1巻から始めて、止めてしまう方」(1巻は最も資料のレベルではクオリティが低い)も多く、必ずしも部数=いい本、でもありません。イベント会場で1巻を手にして、去ってしまった方も多くいますので。
社交界的にいえば「興味はあったけど、話してみたら……」と思われたのかもしれません。まだその頃は未熟でしたが、その頃なりにエネルギーがあったのも確かです。
なんとなく過去を振り返ってしまうのも、秋だからでしょうか。