ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

いろいろと考えている最中

考えていることは3つあります。



1:10月に投稿小説を応募しようと計画中。200枚程度。

 ・ヴィクトリア朝の話を予定。いつもどおり、ゴシックでも怪奇でも何でもないです。使用人の資料を調べていると、ゴシックが遥か遠くになります。少なくとも久我が描きたい使用人は太陽の下で精一杯生きて、笑っていて、ゴシックと並立しないと気づきました。とはいえ、一見さん用の話なので、かなりアレンジします。ヴィクトリア朝に依存しない作りで、この現代日本で創作する意味があるような筋立てを考えています。



2:12月に向けて、男性使用人編の着手計画。

 以下の5職種を予定。

 ・フットマン(エピソード、資料が多いので楽)

 ・コーチマン(やや厳しいかも?)

 ・馬丁(馬の話。コーチマンとの相違は?)

 ・ガーデナー(庭園への深入り禁止)

 ・ゲームキーパー(狩猟が上流階級のネタなのでどこまで?)

 要は自分がどこまで頑張れるか、です。



3:本編のストーリー再構築

 全然進んでいない、「公爵ジョアンとメイド・レカミエ」の話。さすがにそろそろ完結させるための準備をしましょう、ならばもう最後まで書き上げてしまおう、というところにまで来ました。完成させてから、「切り分けて同人誌に織り込めば楽!」とも思いますが、画餅でしょうか。


『夜間飛行』

夜間飛行 (新潮文庫)
『星の王子様』の筆者の本です。



最近、とある雑誌で、この本の前書きに寄稿したアンドレ・ジッド(久我は『田園交響楽』ジェルトリュード派です)の文章を読んで感動し、読み始めた本です。


人間の幸福は、自由の中に存在するのではなく、義務の感受の中に存在するのだという事実を、明らかにしてくれた点に感謝する。
『夜間飛行』サン=テグジュペリ:著・堀口大學:翻訳 新潮文庫 P11より引用


翻訳された方が非常に巧いのか、言葉が風のようで様々な面相を持ち、空の深さに吸い込まれそうなほど、透明な世界があります。言葉・漢字の表現で言うと、宝石をちりばめたような古川日出男氏が自分の中では最高峰のひとりですが、例えば、同じ漢字・言葉を組み合わせて表現をしろといわれたならば、この本と筆者(或いは訳者)は、まったく違う世界を見せてくれると思います。



そこに描かれる人々も、ジッドの言葉が表現しています。



空の上の開放感と臨場感も筆者の体験が生きており、これほど「空」を感じた小説は出会ったことがありません。飛行機が好きな人や、『天空の城ラピュタ』など宮崎アニメが好きな人にはオススメできる本です。



小説において必要なのは表現力だけではなく、どれだけの「世界」を描けるか、どれだけの「視点」を描けるか、同じ物を見ても、人の数だけ視点があり、光の当て方が違う。その中で、どれだけ非凡なものを描けるのか? 用意された、「言葉」と言う条件は同じです。



訳者の方に寄ると、この本に含まれる、『南方郵便機』の方がさらに、とのことらしいので、楽しみです。



序盤を読み始めましたが、もう震えますね。



「空」への憧れと畏怖が、乗り移るかのようです。